減税自治体構想
…というが、区の財政はいったいどうなっているのか…
1.「減税自治体構想」とは
2010年最初の議会に提案される予定の「減税自治体構想」ですが、その内容は
(1)毎年150億円(杉並区の一般会計予算の約1割)を貯金していく。
(2)そのお金を運用し、利子で住民税を減税する。
(3)10年後に10%減税。20年後に15%減税。この調子でいくと、そのうち無税になる(かもしれない)。
…というストーリーです。どう思いますか?
「毎年10%は使わないんだから、その分最初から減税すべき!」「そのお金で保育園をばんばん建てて!」等々、もっといい使い道が他にいくらでもありそうです。だいたいこれまで区は「財政が厳しいから我慢してください」なんて言ってたのに、実はお金があった…?
2.家庭の貯金と同じこと?
「減税自治体構想」を宣伝する漫画のパンフレットでは、主人公が「初めは疑問をもったが家計や企業に置き換えてみたら納得できた」と話すシーンが出てきます。山田区長もさかんに「家庭や企業が貯金するように区が貯金するのはあたりまえ」と発言しています。
しかし、ここには大きな誤りがあります。
家庭や企業の収入は個人や企業の努力による収入ですが、区の収入は私たちが納めた「税金」。個人の甲斐性で資産形成をすることと全く異なる区の貯金を故意に混同して、問題をすりかえています。
税金は強制的に徴収される「公金」だけに公正かつ効果的に区民のための事業に使われなくてはなりません。「貯金」は最も能のない使い道です。すべてが税で賄われる区の予算のうち1割が強制的に「貯金」されるのは愚の骨頂。
3.「行革で借金を減らした」はウソ
山田区長は「就任以来10年で職員1000人を減らして借金をほぼゼロにしました」とのべ「だから、今後も同じように我慢してお金を貯めましょう」と言います。しかし行革はもう限界。過重労働の結果、職員にはうつなどで病欠する人が増え、アンケートでも「コスト削減の余地なし」との答えが多数。
そもそも職員を減らして大規模に民営化を進めたことは全く経費削減になっていません。
下の表は1999年と2008年の区財政を比較したものですが、歳出面での人件費(給与、共済費など)の削減効果は31億円。それに対して委託費が51億円増えているので、民間委託は逆に歳出増加要因になっています。「これからも行革を推進して貯金」には根拠がありませんし、無理です。それどころか、必要な行政サービスがどんどん削られていくことになりかねませ
ん。

4.杉並区が「エライ」わけではない
一方、歳入面を見ていただくと、特別区税(国の制度変更による増税)と特別区財政交付金(都と区の分担に応じた分配金)が合計300億円近く増えました。これはこの間の景気回復、それも東京だけが一極集中で潤った結果です。
ですから、何も杉並区がエライわけではなく、23区は全て区債(借金)が減っています。
過去8年間(1999~2007年)で比較すると、最も減った港区では20%以下になりました。杉並区は40%余。23区平均は52%余ですから、飛び抜けてすごいわけでもありません。まして「山田区長のリーダーシップのおかげで借金が返せた」というのは大間違いです。
5.結論~貯金どころではない~
これからの時代、ますます不安定になる経済情勢。税収も落ち込みます。他方、区民生活には地域経済対策や福祉のお金がますます必要に。そんな中で「予算の1割程度を必ず貯金する」などと決めてしまえば、まさに「自縄自縛」。杉並区民は税金だけ払って行政サービスを受けられない状態になります。

