10月9日決算最終日の意見開陳
意見開陳は、大きい会派順に代表1名が賛成・反対の立場からそれぞれ意見を演説します。だいたい15分から20分ぐらい。ここは私も大きい会派なみに演説ができます。

ただし、差別があります。3人以上で幹事長会を構成する「交渉会派」は黙っていても議事として進行しますが、「少数会派」は「ほかに意見はありませんか」と言われて、手をあげて指名されるという儀式を毎回お決まりでやります。事前にちゃんと事務局が「意見開陳しますね」と確認に来ているにもかかわらず・・・。 

それから、議会報も、交渉会派の意見開陳は発言者の顔写真入りで長々と載るのに、少数会派はどんなに立派な発言をしても、全く掲載されません。なんでこんな差別をされるのか理解できません。

決算委員会での質問については「決算特別委員会日誌」をご覧下さい。

●決算についての意見

杉並わくわく会議・松尾ゆりです。2007年度各会計決算について意見を申し述べます。

現在、全世界的に経済危機が深まり、恐慌の再来かとまで言われる中、昨年度の決算を拝見しますと、なにか別の世界のような感じすらします。これまでで最も規模の大きい一般会計、そして、公債費に前年の倍近い予算をとって、いっきに区債を償還したという非常に景気のいい決算です。

われわれ庶民の暮らしは決して景気がよくなかったけれども、この数年は景気上昇局面であったということから、多国籍企業の本社が集中する東京都が全国で一人勝ちして税収が増加し、その結果、区もうるおったという東京都特有の面が大きかったのでしょう。
私は区内外にこのことを話すときに、「でもね」と話を続けます。「区が豊かだからといって区民が豊かなわけではないんです」と。これからその中身について縷々申し上げたいと思います。

●山田区長の2大政策が破産した年

しかしその前に、当該2007年度の政策上の事件を申し上げなくてはなりません。それは、山田区長の2大目玉政策であった、レジ袋税と住基ネット離脱が、ともに破産した年であったということです。

「すぎなみ環境目的税」いわゆる「レジ袋税」は、2002年に区民と商店街の強い反対をおしきって制定されましたが、結局一度も実施されることのないまま、昨年度「レジ袋有料化条例」が制定されるに至り、今年第2回定例会で廃止の議決がなされました。また、住基ネット問題は、昨年11月に杉並区敗訴の高裁判決が下されて裁判は実質的にはそこで終結をいたしました。

杉並区長山田氏の名を全国的にひろめたこの2つの政策がいずれも、あとかたなくなろうとしていることについて、どのように受け止めたらよいのでしょうか。

●住基ネット接続には反対

とりわけ、住基ネットに関しては、現在、全面接続へ向けて着々と準備が進められているところですので、一言言っておかなくてはなりません。

2002年に区長が離脱を表明して以来、今日まで続いている住基ネット離脱ですが、区長は2003年の区長選で再選をかちとるや否や、住基ネットへの原則接続へと方針を180度転換しました。しかし、そのことが区民にはほとんど知られないまま、今日まできています。
区長は8月1日付広報のコラムで「全員接続を求める高裁の判決が確定した」と表現しましたが、これは誤りであって、裁判所は接続を求めたりしておりません。接続を決断したのは区長自身であって、裁判所ではなく、責任転嫁することは許されません。

住基ネットについては、本来判決のいかんに関わらず、離脱を継続すべきですが、どうしても接続したいというなら、区長自身の責任において接続へと政策転換したことを区民の前にはっきりと表明すべきです。

レジ袋税も同様です。「課税自主権の活用」と意気込んで制定したレジ袋税ですから、レジ袋有料化で目的が遂げられたなどというのはスリカエ、ごまかしにすぎません。税として失敗したことははっきり認めるべきです。

この2つの政策がともに破産したことは、山田区政のありようを象徴していると思います。うちあげるときは、選挙も視野に入れて、マスコミ向けに華々しく打ち上げるが、失敗しても責任をとらず、こっそりと幕引きをするという態度は、真剣に区民生活を守り、区政に責任を負う態度ではありません。

●行革は限界

さて、決算の内容にはいります。決算特別委員会で申し上げましたことのほかに、何点かを補足して、意見とします。

まず、第一に行政改革が限界に達しているということです。行政事務の合理化そのものは否定すべきものではありませんし、また、区債の償還を進めることも悪いことではありません。しかし、行き過ぎた「財政健全化」のために、区民サービスが犠牲になっている現実があります。

ビジネスの世界では、企業の経営権を握って徹底したリストラを行い、みかけ上の財務状態を改善し、転売して利益を得る、ということがあります。今の区長のやり方は、これを連想させます。

区の財務状態を、数字づらだけよくするために、肝心な事業費を犠牲にしていくのでは、企業ならともかく、区民の税で運営する地方自治体としては本末転倒です。この点から「減税自治体構想」にも賛同はできません。

「行政評価書速報版」によれば、区全体の事業のうち「コストを下げる余地はあるか」に対し65.6%が「ない」と答えています。また、「現在の事業費で成果を向上させることができるか」は「できない」が35%。どちらも2004年以来最高。このとおり区役所内部から、「もう限界を超えている」という声が出てきているではありませんか。

●多数の非正規労働者が支える区政

委員会の中で職員数について質問しました。この3年の間、正規職員が300人減る間に、非常勤職員、民間委託先の従業員があわせて800人以上もふえています。暫定の数字でありますが、今年4月1日時点で計算すると、なんと正職員は46%にすぎず、非常勤などのほうが多くなっていることがわかりました。

非常勤、民間委託等の労働条件の問題、官製ワーキングプアといわれるような問題については委員会で申し上げましたので繰り返しませんが、もうひとつの問題は非正規化が区民のサービス低下に直結しているということです。

職員の問題については、答弁のなかで、たびたび「少数精鋭」という言葉が出ました。正職員だけみれば確かに少数になっております。しかし、区の事業において働く人は、人数が減るどころか逆に増えており、しかもその方々の多くが、パート、アルバイトといった非正規労働者で、事業について特段のノウハウや知識経験を持ち合わせない方々、あるいは、待遇として専門職の仕事を期待されていない方々といったほうが正確ですが、そういう状態になっています。

「少数精鋭」ではありません。区の行政サービスを担う人の人数は、山田区長就任以来なんと2000人近くも増えています。そして、低賃金化しています。「少数精鋭」とは全く反対で、「多数の素人」が杉並区のあらゆる行政サービスを担っているということのほうが実像に近いはずです。

専門的な知識、経験をお持ちの職員さんが現場の第一線からどんどんいなくなり、区役所は管理的な仕事しかしなくなっていく、その結果何が起きているか。一例をあげれば、福祉の現場で、苦しんでいる区民の声が区役所に届かなくなっているという事態が起きているわけです。

●商店街、中小自営業に冷たい区政

第二に、昨年の決算でも同じことを申し上げましたが、産業無策ということです。
緊急融資の政策がプレス発表されました。けっこうなことです。しかし、既存の融資の枠内にすぎず、追加的な予算措置がなされたわけではありません。

委員会でも本会議でも、商店街にかかわる先輩議員がたが、中小自営業者の経営が大変でなんとかしてくれと訴えておられました。私も全く同感でありますが、残念ながら、区長あるいは区幹部の答弁は、「景気対策は国の仕事である」あるいは「それぞれが自分の努力で経営を」という、他人ごとのようなものです。これまでの杉並区の財政、雇用、そして街づくりまでも支えてこられた商店や中小自営業者の方々に対して、こんな考え方では、この街はいったいどうなってしまうのだろうと暗澹たる思いにかられます。

経済危機が深まる中、目先の経営支援などの対応も今後いっそうせまられていくこととは思いますが、同時に、長期的視野で当区の産業を発展させる政策がいまだにあきらかでないことはさらに問題ではないでしょうか。

●ガンダム像に2400万円

産業分野では、アニメ産業振興が強調されています。アニメ人材育成として行われている「アニメ匠塾」について資料を確認したところ、このかん区がお金をかけて育てた32名の人材の半分以上がアニメ産業に就労しておられないことがわかりました。この事業は本当に杉並の産業振興につながるのでしょうか。2400万円もかけてガンダムの銅像を立てることが杉並にとって本当に必要だったのでしょうか。とてもそうは思えません。

●削減された福祉

第三に福祉施策のいっそうの後退をあげなくてはなりません。

委員会では介護保険の給付適正化について質問しましたが、高齢者、障害者を問わず福祉にかかわる方々が、口をそろえておっしゃるのが、杉並の福祉は隣接区よりも劣悪だ、なんとかしてくれ、ということです。これはほとんど悲鳴に近いのです。

当該年度は介護保険事業計画第3期の2年目にもかかわらず、介護保険準備基金が減るどころか、逆に前年にくらべ倍増しました。サービス給付に5億円の不用額が出て、8億円あまりの基金が積み増しされたためです。いかに、サービス給付が減らされているか、区民が福祉の削減にあえいでいるかのひとつの証明であります。

各介護事業所は経営難に直面しています。物価高の対策については要望を申し上げました。根本的には報酬が少なく、十分な待遇を保障できないために離職率が高いという、人材難の問題があります。

区に福祉人材の確保のための施策を求める声が高まっていますが、区は全く手をうとうとしていません。

現在区は保健福祉事業計画、介護保険事業計画、障がい福祉計画の見直しを進めているところであります。担当部局の皆さんも、区長も、ぜひ、福祉現場に足を運び、現場がどれだけ困窮しているか、利用者も事業者も職員も、どれほど苦労をしているかをよくよく知った上で、福祉政策を充実の方向へ大きく見直ししていただきたいと思います。

●公共性、公益性について

最後に、公共性、公益性ということについて考えてみたいと思います。

区は「民間との協働」をひとつの旗印として進んできました。たしかに民間が請け負ったほうがいい事業や区民の参画で風通しがよくなった部門などもあったことでしょう。
しかし他方、NPOや市民団体からは「これでは行政の単なる下請け、あるいは肩代わりではないか」という声もさまざまなところでよく聞かれます。また、個人情報に関わる問題点についても委員会の中で指摘したところです。

さらに、プライベートセクターが関与することで、逆に不透明になったり、非効率や無駄遣いにつながった部門も少なからずあるのではないでしょうか。

企業への業務委託についても、公共性・公益性の点から、厳しいチェックがされるべきでことは、いうまでもありませんが、あわせてNPOや任意団体、個人との協働について述べます。

●和田中地域本部事務局長、突然の退任

和田中民間人校長の問題をこの間私はとりあげてまいりましたが、民間との協働による負の側面ということを感じ、なんとも腑に落ちない思いで、調査してきたものです。
夜間塾の導入もさることながら、和田中地域本部が2000万円もの規模で事業を行っているなどと、区民の誰が知っていたでしょうか。和田中の保護者ですら、いまだに知らないのではないかと思います。

先日、和田中地域本部の事務局長が年度半ばの9月に突然交代しました。その理由は、会計処理の不明朗さが内部で問題になったことであるときいています。

和田中夜間塾をめぐっては差し止め訴訟も提起されていますが、収益事業や企業寄付も含む地域本部の会計が適正な処理をなされていなかったこと、そして、地域本部に対する区の監督・監査が全く不十分であったことを考えると、公共性・公益性には、疑義が生じます。はたして、地域本部自体に学校の校舎を無料で使用させることが適切なのかどうかも、大変疑わしくなってきていると指摘せざるを得ません。

●「民間だから」でチェックが甘く

いつも和田中ばかりひきあいに出すのは申し訳ないので、もうひとつの例をあげると、同じように学校支援の活動として、放課後の子どもの見守りをやっている学校で、1回1時間半程度立っていただけで、学校サポーターとして2200円出る。こんなにもらっていいのかしらと悩んでいるお母さんたちもいます。こう言ったら失礼ですが、介護労働よりずっと割のいいアルバイトになってしまいます。これなどは「協働」の美名に隠れた無駄遣いではないでしょうか。

「民間との協働」事業を増やそうと、やらずもがなの事業をわざわざやっている例も見られます。たとえば、「子育て応援券」の対象事業者には、個人が自己負担するのが当然であるような、習い事の教室などが数多く登録されています。税金の使い道として適切とは思えません。

本来、行政の効率化やサービスの抱負化を目指して行われたはずの「民間との協働」であるのに、現状では「民間ならば何でもOK」と言わんばかりのけじめのなさが見受けられます。区の事業に関わって得しちゃった、などということは、金額の多寡を問わず許されません。

税金を投入し、あるいは公共の施設を使って事業を行うからには、当然にも、議会や区民により、厳しいチェックがなされ、きちっとけじめをつけなくてはなりません。本来の公共性、公益性とは、特定の人の利益にならない、区民みんなの役にたつという意味だと思います。「民間との協働」が、その点からみて色々と問題をかかえていることを指摘し、事業の精査を求めます。

●「子育て応援券」の目的は

4点にわたって、申し述べました。時間の関係で詳しくは申し上げられませんが、このほかにも、福祉分野では、保育園の定員不足に対するとりくみの遅れ、学童クラブの劣悪な保育状況、自立支援法、特に移動支援サービスの削減など。環境・まちづくり分野では、三井グラウンド開発、外環道問題などのまちづくりの問題、公的住宅政策の不在、杉並病を放置していることなど。教育分野では、教育基本条例制定の動き、師範館問題、杉十小をはじめとする学校での安全管理の問題などの問題があり、政策を転換すべきと考えます。

なお、決算特別委員会の質疑の中で「子育て応援券」に関して、その目的が、日本人の人数を増やすことであるかのような、矮小な論調が一部にみられましたが、区の福祉施策が外国人住民にも等しく給付されるべきであることはいうまでもないことです。区民の2%を占める外国人住民に対し、区が偏狭な純血主義に陥ることはよもやないことと思いますが、念のため申し添えます。

以上、意見を述べてまいりました。杉並わくわく会議として、平成19年度杉並区一般会計歳入歳出決算および国保、老健、介護保険各会計決算認定に反対することを表明いたします。

最後になりましたが、今回の決算審査におきましては、多くの職員の皆さんが資料作成にご協力下さり、また区政の様々な分野につきまして、丁寧にご教示下さったことに、心より感謝申しあげ、締めくくりといたします。