2007年末に発表された和田中の夜間塾(夜スペ)問題を発端に、松尾ゆりはこの1年、教育行政の問題点を追及してきました。
和田中では進学塾が大手を振って有料授業や進学指導を行う一方、主催の「地域本部」は不当に高い参加費をとり、それにも関わらず決算報告すらしていません。公立学校なのに、「やった者勝ち」の状態です。「いったい杉並の学校はどうなってしまうのか」と暗澹たる思いにとらわれることもしばしばでした。
山田区長主導で「競争原理」「マスコミ受け優先」の方針が貫かれる杉並の教育行政は今年も大きな課題をたくさんかかえています。
(1)学校選択制が招いた歪み
先頃前橋市や江東区が学校選択制の中止や見直しを発表して注目されています。
杉並区では2001年から「学校希望制」として導入されましたが、実は、それ以前から、事情がある場合には学区外への進学は認められていました。なぜあえて選択制?という、区の審議会や保護者アンケートの疑問の声を押し切って強引に実施されたのは、「競争原理」「自己責任」という区長の主張が強力に働いたからです。
学校選択制のもとでは学校どうしが子どもの取り合いに走り、各学校は「集客の目玉」づくりに追われる一方、たとえば和田中で学区の子どもが3分の1しかいないと言われるように、地域の学校としての根拠がゆらいでいます。「選択制」は杉並の学校教育を大きくゆがめてきたのではないでしょうか。
練馬区ではPTAや学校の先生が参加した検討会で、今後の方針を検討しています。杉並でも現場の先生たちの意見をよく聞いて、見直すことが求められています。
(2)「つくる会」派教育委員2名を再任
杉並区は4年まえアジア侵略戦争を正当化する「つくる会」の歴史教科書を採択しました。このとき積極的に賛成した2人の教育委員、大蔵雄之助氏と宮坂公夫氏の任期切れを前に、再任の同意を求める議案が区長から提出されました。
山田区長が個人の政治信条に合う教科書を採択するためだけに教育委員会の人事を私するようなことは許されません。松尾ゆりはこの議案に反対意見を述べ、その後、退席しました。他にも多くの議員が退席したために、議場に残った自民、民主他の議員では定足数に届かず、採決ができなくなりました。しかし約1時間後、公明党が賛成にまわることで結局再任が可決されたことは残念でした。
今年、中学校教科書は採択替えの年です。全国的に恥をさらした4年前の愚を杉並区が再び繰り返すことのないよう声をあげていきましょう。
(3)中学生レスキュー隊って何!?
杉並区は「中学生レスキュー隊検討懇談会」を設置して、レスキュー隊の全校設置をもくろんでいます。
地域の防災に協力するという趣旨なのに、やっていることは、レインジャー部隊のようなロープわたりの訓練や、海上保安庁での「不審船」問題の見学など、地域防災の枠を大きくはみだしています。 「懇談会」では「全校設置。顧問教員を決め、部活として位置づける」ただし「ユニフォームや合宿の費用は区費で支給」と提言。
そもそも心身ともに未熟な中学生を、地域防災の担い手とし、危機管理の一端にくみこむことには、児童保護の観点から大きな問題があります。校長先生たちのアンケートにも「学校教育の中では行えない」「生徒の安全確保に懸念」「ショー的な訓練には疑問」などの声が出されています。子どもたちに制服を着せて「部隊」をつくってご満悦なのは誰でしょうか。
(4)神明中統廃合計画ついに撤回!
あしかけ5年に及んだ神明中の統廃合問題がついに決着しました。地元町会や保護者、同窓会が統廃合計画には納得いかないと、署名を集め、区議会や教育委員会に陳情して運動した結果、これまでの「学校適正配置基本計画」が見直され、神明中の統廃合計画も白紙撤回されました。区行政が一方的に決めて押しつけてきた計画に住民が疑問を呈し、完全勝利したことの意義は大きいと思います。
しかし、統廃合計画は今後、別の学校を対象としてあくまでも進められていく予定です。地域の歴史ある学校を統廃合することがはたして区民のためなのか。学校を残しつつ施設を活用する方法はないのかなど、多面的な検討が必要ではないでしょうか。
