杉並わくわく会議・松尾ゆりは2月17日、杉並区議会で一般質問に立ちました。議会での質問を三つに分けて紹介します。これは草稿で実際の発言とは一部異なる部分がありますのでご了承下さい。
【議会質問】山田区長の政治姿勢
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1.山田区長の政治姿勢について
●「日米関係『試練の時』」とは
昨年11月に松下政経塾の「日米次世代プロジェクト」による提言「日米同盟試練の時」が発表されました。このプロジェクトは当区の区長である山田宏氏が区長の肩書きで座長を務めるものです。したがって、この文書に書かれたことは山田区長の考えに等しいものと受け止め、その世界観、歴史観におおいに疑問を持つものとして、真意を確かめてみたいと考えます。
この提言をお読みになっていない方のために、少々内容を紹介します。「日米同盟を、「広範でバランスのとれた同盟」に進化させる」というのがこの提言の主張ですが、その中身は、
○日本にとって、アジアも大事だが、日米同盟を引き続き最も重視すること
○日本が「世界の平和と安定に積極的に関与する」こと。そのために、憲法9条2項の改正と自衛隊海外派兵恒久法が必要であること
○日米の軍事的役割分担を見直し、「グアム防衛などに日本が貢献する」など。さらに在日米軍基地再編を推進すること
とまあ、ざっと紹介するとこのような中身で、これを要約すると、「アメリカの軍事力は圧倒的であり、その優位が揺らぐことは考えにく」く、「日本のパートナーはアメリカしかない」ということです。
●「アメリカこそ日本のパートナー」は時代錯誤
しかし、どうでしょうか。一昨年のサブプライムローン危機以降あらわになったように、アメリカの国力は衰退の一途をたどっています。経済力はいうまでもなく地に落ちました。
山田区長らのいう「軍事的優位は揺らがない」というのはどうでしょうか。イラク侵攻から6年。アメリカは泥沼にはまって抜け出せなくなり、中国とロシアを中心とする上海協力機構を例にとるまでもなく、アメリカの軍事的優位は、今日相対的に弱まっていると見るのが国際的常識です。アメリカがいつまでもナンバーワンという考え方は、すでに過去のものになっています。
もう、アメリカに従属するのをやめて、経済的にも、政治・軍事的にも本当の独立をするべきだ、それがわが国の真の幸福なのではないか、というアジア重視の潮流は、もはや、財界の一部にも公然と登場してきました。
先ほどご紹介したように、わが山田区長は、あいかわらずアメリカとの同盟関係にしがみつくことこそが、日本の生きる道だとおっしゃっているわけですが、むしろ、対米従属をやめ、日米軍事同盟を解消して、アジアの国々と対等平等、互恵の協力関係を結ぶことこそ、日本が経済的にも発展、繁栄する道であり、国益であると思いますが、いかがでしょうか。
●アジアを敵視する世界観は「亡国の道」
そこで次に、この提言の中で、アジアの国々について、どのように述べているかというと、北朝鮮に関しては「最大の懸念材料」であると書かれています。中国は「明示的な敵対国ではないが・・・」云々とあって、まあ、これは明示的でない敵対国といっているのと同じですね。どうもアジアとの共生の姿勢が見えない。
杉並区において、山田区長は「新しい教科書をつくる会」の歴史教科書の採択を一貫して強力に推進してきました。残念ながら、杉並ではこの教科書が採択され、全国的に恥をさらすことになってしまいましたが、この教科書こそは、アジアの国々への侵略を正当化し、非難をあびた教科書であります。
さきほど紹介した内容でも、憲法9条の改正や、自衛隊海外派遣の恒久法制定など、山田区長らのこの提言がめざすところは、まさにこのアジア諸国の危惧が的中するところになります。こうしたアジアに敵対する歴史観、世界観、および、政治方向は日本がアジアで孤立する亡国の道ではないでしょうか。
●主人に頭があがらない「大番頭国家」
さて、山田区長の別の論文に「松下幸之助が唱えた、大番頭国家日本」という言葉が出てきます。「大番頭」というのは何か。使用人の中では一番えらくて威張っているが、主人には頭があがらない。
アメリカの軍事力の後ろ盾をもって、アジアににらみをきかせ、支配する、それが大番頭国家ですね。私はそういう日本は願い下げです。「大番頭国家」には、独立国としての気概や誇りは全くありません。
山田区長は愛国心だとか、国のためにつくすということが大変お好きです。ところが、この提言は、アメリカへの従属をいっそう深めると同時にアジアの国々を敵視するものであり、国益どころか、最も悪質な売国的政治勢力を志向するものです。ご本人はアメリカに従属する卑屈な政治を志向しつつ、他人には愛国心を説くという態度は、非常に矛盾しています。
そこで、あらためてお聞きしたいのですが、常々愛国心を説いている区長ご本人は、はたしてほんとうに日本を愛するお気持ちがおありなのかどうかお答えください。
●教育勅語を復活させるのか
山田区長の政治姿勢の2番目として、教育基本条例についてうかがいます。区長は教育基本条例等の制定を今年度中に行うと発表しました。これまで、区民、区議会の多くの意見は、この条例に関する懇談会提言の文章が、家庭教育や道徳、伝統的価値観を非常に強調している点、言い換えますと、かたよった価値観でかかれているという点に危惧を持つという指摘が多かったと思います。
そこでまず、この条例制定についての、山田区長の理念をうかがいます。
区長によって創設された師範館は、構想段階当初の設立趣旨として、「戦前の教育をどのように生かすか」が掲げられていました。また、先日、セシオン杉並で開かれた杉並区の「教育フォーラム」において、パネラーのひとりが「教育勅語はなにも間違っていません」と発言したのには仰天しました。
教育勅語による教育を復活させたいという狙いを区長はこの条例によって実現したいとお考えなのではないでしょうか。戦後の教育は戦争の反省、子どもたちを戦場へと駆り出していったことへの反省にもとづき、天皇を唯一至高の価値とする戦前の教育勅語による教育とは断絶したところに形成されました。このことを、区長はどのようにとらえ、どのように評価しているのでしょうか。
●教育の独立を侵害する条例
教育条例についての2点目は、教育行政に関することです。
教育は政治権力によって左右されることがあってはなりません。しかし、山田区長はさまざまな場面で、教育行政は首長が直接行うべきだという持論を述べてきましたし、実際、区長主導で教育改革と称するものが進められてきました。
懇談会の提言はそうした区長の意を受けて書かれています。たとえば、「教育ビジョン」とその推進計画を、現在の教育委員会による策定から変えて、条例制定後は、新しく「区長部局の施策も関連することから、区として策定する」としています。杉並の教育行政を長期にわたって規定する教育ビジョンを区長部局中心で制定しようというのです。教育にたいする区長の支配に法的根拠を与えようとする狙いがあからさまに書かれています。
教育基本条例は教育の独立を侵害するものではないか、区長の見解をうかがいます。
●ブックレット、フォーラムでは議論できない
以上が、区長の政治姿勢についての質問ですが、教育基本条例ですので、1点だけ、教育長にうかがいます。
教育委員会は、ブックレットの発行や教育フォーラムで区民の意見を集め、教育基本条例制定の気運を醸成するとしています。ところが、ブックレットも、フォーラムも、懇談会提言については触れず、議論を回避しました。区長も加わったパネルディスカッションなどは、教育基本条例自体に全く触れなかったのです。
小柴昌俊さんや日野原重明さんのインタビューだけを見た人たちは、「よくわからないが、なんとなく、杉並区は教育について一生懸命考えているんだなあ」と思い、そこに教育基本条例は? と聞かれると、中身もわからず「まあいいんじゃないの」という空気になるのではないでしょうか。
教育基本条例の内容として提言されていることを、全く知らせずに、意見を言えというアンケートをするのは、卑怯というものです。アンフェアです。懇談会提言の評判が悪いから、隠しておいて、見場のいい文化人とかのインタビューを見せておいて、いざ、区民や議会が条例に賛成しそうだぞとなったら、条例の中身はこれですといって提言を衣の下から出してくるのでは困るのです。
それほど提言を離れて、自由に基本条例について語ろうというのかもしれません。それでは、あの提言は全く白紙に戻したと考えていいんでしょうか。それならそれで、あれは忘れてくださいと宣言してもらわないといけない。
私は、あの提言にもとづく教育基本条例などというものが作られることには全く反対ですし、百害あって一利無しと思っています。また、教育長はじめ、区の教育行政にたずさわる教育委員会の皆さん、教員の皆さんも、こんな条例では困ると、本当は思っているはずです。であればこそ、教育委員会は隠さずに、正々堂々と、提言の内容を前提に、条例をつくるべきか否かを議論をしていただきたい。またそうする必要があると思っております。この点について、教育長の所見を伺います。
