決算委員会での発言(意見開陳)は、大きい会派順に代表1名が賛成・反対の立場からそれぞれ意見を演説します。だいたい15分から20分ぐらい。ここは私も大きい会派なみに演説ができます。
ただし、差別があります。3人以上で幹事長会を構成する「交渉会派」は黙っていても議事として進行しますが、「少数会派」は「ほかに意見はありませんか」と言われて、手をあげて指名されるという儀式を毎回お決まりでやります。事前にちゃんと事務局が「意見開陳しますね」と確認に来ているにもかかわらず・・・。
それから、議会報も、交渉会派の意見開陳は発言者の顔写真入りで長々と載るのに、少数会派はどんなに立派な発言をしても、全く掲載されません。なんでこんな差別をされるのか理解できません。
決算委員会での質問については「決算特別委員会日誌」をご覧下さい。
2008年度杉並区各会計決算の認定について杉並わくわく会議として意見をのべます。
2008年度はサブプライムローン危機の影の中ではじまり、年度半ばの9月にはリーマンショックが起き、いっきに経済危機へなだれ込むという大きな変化の年でした。それと同時に山田区政10年の節目の年として、さまざまな新機軸が打ち出された年でもあり、こうした点から評価をしていく必要があります。
●民間委託推進の結果、賃金不払い事件が
まず第一に民間委託を積極的に進めてきた区政のありかたを問わなくてはなりません。当該2008年度も、多くの事業が民間委託されました。物議をかもした納付センターをはじめ、保育園、学童クラブなどの事業が委託されています。
ところで、今回の決算特別委員会を前にして、杉並区に関わる大変な出来事が明らかになりました。
東宝クリーンサービス社は、一昨年からセシオン杉並、和田区民集会所、高円寺北区民集会所の3所の受付・清掃業務を区から受託していましたが、区内にとどまらず、23区のほとんど、さらには都や国の施設のさまざまな公共サービスの現場を請け負っていました。その中には当区のような受付・清掃業務のほか、自転車集積所、学校用務などがありました。現在わかっているだけで、2億円の不払い賃金が発生しており、杉並区の関係だけでも約1000万円にのぼります。
この問題は杉並区のみならず、都内を中心とする全国各地で雇用と生活に関わる社会問題となり、民間委託の今後のあり方に大きな衝撃を与えています。労働組合も結成され、今後破産した会社との交渉にあたることになります。
●「委託先の雇用問題は区に責任ない」!?
私を含め何人もの委員から、この件についての質問がありましたが、区の答弁は「事業は適正に履行されていた」「委託先の雇用条件、雇用関係の問題であり、区には全く責任がない」との繰り返しで、区の事業の中で起きたこの不祥事に対して、なんら反省の感じられないものでした。
当該の職員の皆さんは、長年同じ施設で受付業務を守ってこられました。毎年のように委託事業者が変わっても、業務に慣れた職員さんたちが変わらず業務を継続してきました。
区が「履行は適正だった」と胸を張った、その業務は、企業が経営破綻し賃金が払われないにもかかわらず、一人ひとりの職員さんが区民のためにと懸命に取り組んだ下さったおかげです。
委員会の質疑の中で、また本日も、この件に関して「ひとつの事例をもって民間委託すべてが悪いというのは間違い」というすじ違いの発言が、議会、行政の双方からありました。このような物言いは、この事件を極めて甘く見ているといわなくてはなりません。
質疑の中でも申しましたように、賃金不払いは契約書に明記された関係法令遵守に対する明確な違反であるばかりでなく、重大な人権侵害であります。この点、拉致問題に多大な精力を注ぐ区長と区役所が、私たちの身近で起きた人権侵害に対し、きわめて鈍感であるのはどういうわけでしょうか。
現在なお2ヶ月分の賃金が未払いとなっている職員さんたちから、昨日お手紙をいただきました。今年4月時点ではすでに会社が危なくなっていたのに」「会社には委託上の落ち度はない、との区の言葉は現場と状況を全く無視しており、悲しい」「私たちも区民です。見捨てないでください」と書かれています。
区の施設だから安心して働けるとがんばってこられた方たちが、このような仕打ちをされたことに対し、それでも単なる「1つの事例」といえるのでしょうか。このような認識で区政運営がこれまでなされてきたことに、深い憤りを感じます。
●起こるべくして起きた事件 労働条件にも規制を
これまで区は民間委託に非常に積極的で、しかも、議会などで委託先の労働条件を問われると「法を遵守して適正にやっていると考える」と答え、区が雇用しているものではないので労働条件には関知しないとの姿勢で一貫してきました。
今回のように労働条件でトラブルが起きても区が責任を負わないことこそ民間委託の最も本質的な問題点であり、区が委託を進めてきた最大の狙いでもあります。事件は起こるべくして起きました。
経済危機のもとで、このケースだけでなく、区が積極的に「官製ワーキングプア」をつくり出していることは、重大な問題です。
この事件を教訓に、区は民間委託に関して、慎重姿勢に転じるべきであり、民間委託する場合でも、これまでのように「労働条件には不介入」ではなく、区としての一定の規制を設けていくべきです。
質疑の中でも申しましたが、再発防止のための、公契約条例の制定、あるいは、最低でも契約時における労働法制遵守の明記、さらに、区のサービスを担うにふさわしい最低賃金が設定されるべきであることを再度指摘します。
これだけの事件を引き起こしておきながら「民間委託はこれからも積極的に進めていく」との答弁がありました。なんら反省のないこのような姿勢こそまさに今回の事件を引き起こした元凶ともいえるものです。
このように、委託先の職員の人権を無視し、効率一辺倒に走った区政運営は、見直す必要があり、認めることはできないものです。
●地域図書館の指定管理者は終わった制度
民間委託に関連して、現在進められようとしている地域図書館の全館指定管理者導入について質問しました。
区は当該年度に行われた図書館経営評価をふまえて全館指定管理を決定したと報告しましたが、質疑の中では「経営評価は館どうしの比較のためにやったものではない」ということも明らかになり、全館を指定管理にしなければならない根拠は全く示されていません。
全館指定管理方針には、区図書館協議会から強い懸念が表明され、区職員労働組合も図書館分会を中心として反対の立場をとり、きょう現在妥結していません。図書館に関わってきた区民団体からは区議会にも陳情が提出され、署名運動が展開されています。
「この方針を再検討してほしい」という区民の見解に、谷川俊太郎さん、泉麻人さん、池田香代子さんらほかの区内在住の有識者が賛同しています。
区職労が主催した講演会には、多くの住民が参加しましたが、ここで講師は図書館の指定管理は国段階では否定的な見解がすでに主流となっていることを指摘しました。コスト面で必ずしも有利といえないのに、図書館の本来の使命がそこなわれること、また、運営上のリスクが大きいことから、専門家の間でも批判されています。また、全国的にみても導入は数%にとどまっており、もはや失敗した事業形態といってもいいぐらいです。それなのに、杉並区がこれから全面導入しようとしていることは、すでに時代遅れといっていいし、杉並区の文化を大きく後退させるものであり、改めて反対を表明します。
●公務員を減らしたら歳出が増えた
第二に、山田区政の財政運営全般について、とくに「人を減らして借金を返し財政健全化してきた」との区の認識の当否について、質疑の中で検証しました。
10年間で職員を1000人近く削減した結果31億の歳出減となったが、いっぽう、委託費が51億円増えており、民間委託によってかえって経費が膨らんでいます。これだけガリガリと人員削減をやり、職員に負担を強いて節約をしてきたという割には、財政効果はないのです。人を減らしたことによって歳出は増えていることが確認されました。民間は公務員より常に効率的で常に安上がりだというのは迷信のようなものです。
それではどうやって財政が改善してきたかというと、特別区税と都区財調交付金の大幅な増加でした。これは「行革効果」などと比べ、ケタ違いです。主に税制改正の影響による特別区税の増収と、数年前からの景気の回復による都区財調交付金の増収あわせて270億円あまりです。したがって、歳出面の節約ではなく、おもに歳入面の改善によって、この間の財政健全化がなしとげられてきたことは明らかです。
山田区長が就任以来10年間ものすごくがんばって借金を減らしてきたと言いますが、当該年度も区債の無理な繰り上げ償還が実施され、そのために区民の生活と福祉が犠牲にされたことは見逃せません。
借金をへらしたことは、別に山田区長の専売特許ではなく、23区はどこも例外なく起債残高が減っています。これは、前にも申しましたが東京23区に独特の現象です。大企業の集中する東京だからこそ実現した、東京ひとり勝ちの恩恵をこうむったにすぎません。
10年の財政の実像を正しく把握して、その上で議会も区民も共通の認識として区政を論じる必要があります。
●不況の中、「減税自治体構想」推進は危険
ところで、今後の景気動向を展望すれば、特別区税も財調も決して明るい見通しとはいえません。現に来年度の財調はすでに大幅減額という報告がでています。
当該2008年度には減税自治体構想研究会が終了して答申が出されました。
来年度第1回定例会に、減税自治体のための構想実施にむけて条例が提案されるとのことです。
ゲームのように議論をしているうちはまだいいでしょう。しかし、これから、先行き見通しの暗い経済情勢のもと、長期にわたって区財政の手足を縛る減税自治体構想は絶対に認められないと指摘します。
●保育園を増やしてこなかった区の怠慢
第3に福祉、特に保育について述べます。当該2008年度は、急激な保育需要の増加への対応を迫られた年度でもありました。
保育についても検証しました。区はつねに「突然申し込みが増えて」というのですが、それはちょっと違います。実は2006年度から保育園の入園希望者は大きく増えてきました。しかし、区は、対応しようとせず、ずっと手を拱いてきました。
認可保育園を建てて欲しいてほしい、とりわけ0・1歳の入園が厳しいという声に対して、もっぱら認証保育園で対応し、認可は建てないと明言してきました。そのため、昨年の経済危機を待たずとも、すでに入園できない保育園の希望者はどんどん増えていたのです。
山田区政の10年間に0歳児の入園希望者は480人も増えたのに、認可保育園の0歳児定員は48名しかふえなかったことは、保育に対する区の姿勢を象徴的に示しています。
この区の姿勢こそ、今回の保育園不足の最大の要因でした。
保育だけでなく、高齢者の施設についても同様に、区はこれまであまりにも姿勢が低く、たとえば急増する特養待機者にも対応できずにきました。また、在宅の高齢者にたいするわずかなサービスすらも削減され、当該年度は配食サービスの補助金が大幅に削減されたことも忘れてはなりません。
●区立幼稚園が待機児対策の犠牲に
保育のあおりをくらった区立幼稚園の問題について質問しました。
区立幼稚園の保護者から、私はメールなどでたくさんの意見をいただいています。説明会にも足を運び皆さんの声をお聞きしました。区は「ご理解いただいた」などといいますが、説明会でもほとんどの意見は区立幼稚園をなぜ変えてしまうのか、という疑問と抗議の声です。一般的な幼保一元化の意義については認めるというだけのことであって、今回打ち出された区独自の「子供園」については、理解しようにも中身が不明なので理解しようがないのです。内容が全く白紙状態なのに、幼稚園の中身を変えてしまうこと、定員が大幅に減らされることだけが決まっているという、最悪の提案です。何も決まっていないのに、なぜ来年度からなのか、納得のいく説明は得られていません。
これまでなんの落ち度もなく、すばらしい運営をしてきた区立幼稚園が、区の怠慢のために待機児対策の犠牲になろうとしていることは、まったく理不尽であり、認められません。
図書館問題も子供園も、もちろん減税自治体構想も、多くの事業があまりにも性急に進められようとしています。まるで、区長の退任にあわせた花道のようだ、との、区民の声が届いています。
これまでにも、区長はマスコミむけのパフォーマンスを行ってきました。あっさり接続に転じてしまった住基ネットも、レジ袋有料化にトーンダウンしたレジ袋税も、また、新たに始められた土日開庁も同様です。退任まぎわに、ひと花咲かせて目立ちたいというだけの利己的な理由で、多くの区民を巻き添えにするのは勘弁していただきたいと思います。
●「認可保育園を規制緩和すべき」?
認可保育園についての区の認識についてですが、ひきつづき大きな疑問符がついています。
区長も担当部局もくりかえし「国の基準にがんじがらめの認可保育園は規制緩和すべき」との論をのべています。前にも指摘しましたが、国は最低基準を示しているだけであって、それはナショナルミニマムを守っていく上で最低限必要なことです。子どもたちが劣悪な環境におかれることのないように示されている国基準は、それでも現場からは不十分だと指摘されているレベルのものです。それが気に入らないというのであれば、国基準をはるかに凌駕する区独自の基準を創設することこそ区の使命だということを指摘しておきます。
●和田中「夜スペ」、教科書問題
第4に教育分野で、2008年度は、まず、和田中夜間塾いわゆる「夜スペ」事業が本格化しました。これは区の事業ではありませんが、和田中公社を無償で貸し出し、月に2万4000円も月謝をとる営利事業に使わせたことは不当であるとして現在訴訟で争われています。
また、小学校の教科書採択が行われましたが、この採択では、今年度中学校教科書採択をにらんで、教育長自ら「教育指導要領の変更のため移行措置の2年間は同じ教科書がよい」との方向付けを行ったものです。また、教育委員は、ひきつづき「つくる会」に偏った選任が行われました。その結果、今年、中学校の歴史教科書に、再度、扶桑社版「つくる会」教科書が採択され、杉並区は再び全国に恥をさらしました。
杉十小の児童転落という、あってはならない事故が起こりました。この事件に関して、現場の教員と校長に責任をおしつけ、設置者としての管理責任を回避した区の態度は許せません。
●杉並中継所閉鎖と杉並病、外環道問題
第五に環境問題では、3月には杉並病の原因施設であった杉並中継所が廃止されました。廃止自体は遅すぎたともいえる当然のことでしたが、この廃止によって、杉並区の名前でよばれた、この新しい公害の解明に手がつくのではなく、逆に、なかったことのように葬り去られようとしていることは、区長の選挙公約にも反し、これも、杉並区の歴史に汚点として残ることでしょう。
また、外環道地域PIに多くの住民が参加をして課題検討会が行われましたが、区はこのかん、外環道に対して、毅然と反対をして来ず、今年に入って、着工を前提とした要望を国との間にとり交わしたことは、大きな後退であり、国幹会議の事業決定に道を開いたことを指摘します。
以上、意見を述べてまいりました。杉並わくわく会議として、2008年度杉並区一般会計歳入歳出決算および国保、老健、介護保険、後期高齢者医療各会計決算認定に反対することを表明いたします。
最後になりましたが、今回の決算審査においても、多くの職員の皆さんが資料作成にご協力下さり、また区政の様々な分野につきまして、丁寧にご教示下さったことに、心より感謝申しあげ、締めくくりといたします。
