●保育園の「最低基準」が危ない
厚生労働省は地方分権改革推進委員会(委員は猪瀬直樹・東京都副知事ら7名。前身の規制改革推進会議は「かんぽの宿」問題のオリックス宮内会長が委員長)の答申にこたえて、保育園の最低基準を緩和することを発表しました。
「最低基準」とは、子ども一人あたりの部屋の面積、園庭の面積、職員の配置などの「最低の」基準を定めたもの。今回厚労省は園庭の面積などを自治体の判断に任せること、また保育室などの面積を東京など都市部に限って一時的に自治体判断とすることを認める方針です。東京はもちろんですが、今後他地域も緩和されていくおそれが非常に強いのです。
総選挙では国民生活を急速に悪くしてしまった「改革政治」に対して批判が集まりましたが、保育園の例ひとつとっても、新政権は規制緩和などを自民党以上に積極的に進めていこうとする姿勢が見えます。財界がずっとやりたくてできなかったことを、政権交代のドサクサのうちに決めてしまうことは許せません。
●戦後復興時代のままの貧しい基準すら…
先日、全国社会福祉協議会の方に話を聞いたところ「そもそも最低基準が1948年に作られたとき、日本は戦後復興の途上であり、この程度の基準でやむを得ない、今後徐々に向上させていこう、という合意だったはずのものが、60年たっても改正されていない」ということでした。戦後の焼け跡時代のままの全く不十分な基準を改正するどころか、さらに規制を緩めようというのです。
●都市部は詰め込みでも我慢しろ?
東京には「認証保育所」制度があり、認可保育所よりも狭い面積でつくった保育園に公的補助が行われてきました。今後、自治体独自の判断で基準を定められることになると、「結局、認証保育所のような条件の劣る保育施設を認可してとりこむだけで、保育施設の増加に必ずしもつながらないのではないか」という指摘もあります。
「子どもは生まれるところを選べない」のです。東京に生まれた子どもは詰め込みでも我慢しろというのはおかしな話です。
●杉並区の保育政策がとても心配!
杉並区はつい先頃まで「認可保育園はつくらない」と明言し、待機児問題は、もっぱら認証保育所で対応してきました。待機児があまりにも増加してしまったため、やむをえず認可保育園を含む保育所の増設方針を出しましたが、上記のような保育園の規制緩和が行われるならば、待機児の多い杉並区では、認可であれ認証であれ、保育施設の「詰め込み」が起こるのではないかと、大変心配です。
保育園の保護者がつくる団体「保育園を考える親の会」は「保育所にかかわる国基準の堅持・向上を求める緊急アピール」(下記に抜粋)を発表し、賛同署名を募っています(保育園を考える親の会のHPで署名できます)。
都市部の待機児童問題は、一刻も早く解消しなければなりません。とはいえ、国基準以下の保育条件となり、働くために、子どもたちにとって望ましくない環境を選択せざるをえなくなることは、保護者の本意ではありません。子どもにとって最低限である国基準を満たした保育施設を、緊急にふやしていただくことが必要です。自治体が財政優先になり、「詰め込み」による待機児童対策に流れることは、子どもたち、すなわち日本の将来に禍根を残すことになります。
●保育園を考える親の会HP≫
●保育所にかかわる国基準の堅持および向上を求める
緊急アピール PDFファイルをダウンロード≫
