区立幼稚園廃止と図書館指定管理に反対

区立幼稚園の「子供園」化、図書館の指定管理者制度に反対しました

 松尾ゆりは、2009年12月8日の杉並区議会本会議において、区立幼稚園の廃止(「子供園」化)、および地域図書館6館の指定管理者指定に反対して意見をのべました。

●トップダウンで決定、議会も機能不全

松尾ゆりの杉並区議会報告 文教委員会付託の4議案について意見をのべます。幼稚園と図書館の2つの問題には共通点があります。

 ひとつは、そのやり方の問題です。きわめて拙速であって、これを実施すればどういう影響があるか、など、熟慮のあとが全く見られないことです。

 たとえば、区立幼稚園の問題については、庁内の検討会で決定した方針といいますが、この検討会は4回しか開かれていません。この間の審議の中で、子どもたちの処遇、育成の中身、人員配置など、事業開始にあたって絶対に必要な内容ですら、全く不明で、答弁も時によって変わるような状態でした。これでは責任ある行政とはいえません。

 このようなことになったのは、昨日も申しましたが、現在の杉並区が、区長のトップダウンで物事が進んでいく体質になってしまい、区民の利益が後回しにされているからです。今回のこの2つの事案についても、国政に転身をもくろんでいるといわれる区長が、マスコミに登場するためのネタとして、突如提案され、事業の内容をつめる間もなく、来年度実施が至上命題となっています。

 そして、さらに、許し難いことに、区民、関係者からの強い反対と働きかけにも関わらず、議会内の「区長与党」を標榜するみなさんがこれらの事案に反対をせず、唯々諾々と賛成に回っていることです。

 区立幼稚園保護者の皆さんから、そして図書館利用者団体の皆さんから、区議会には陳情が署名をそえて提出され、審議が期待されましたが、文教委員会では審議されずに店ざらしになっています。区長にたいし、対抗し、牽制すべき議会がまったく機能不全に陥っています。なれ合いと言われても仕方ありません。

 その結果、私たち区民が営々と築いてきた、区立幼稚園のすぐれた教育、そして公共図書館のネットワークが危機に瀕しています。これは区長による文化の破壊です。

 郷土杉並に誇りをもつ議員の皆さん、私たちのもっともすぐれた財産を破壊に導く、このような議案に賛成をしてはならないということを強く訴えます。
 
●幼保一元? 作ってほしいのは認可保育園

 以下、個別の議案について意見をのべます。まず議案第63号子供園条例です。

 第一に幼保一元化の問題点です。区は安易に「親の就労形態を問わず幼児教育を」などといいますが、親の就労形態こそ、幼児の生活にとって、生命にもかかわる決定的なものです。

 保育園は、「保育に欠ける」子が全生活を委ねることができる施設でなくてはならず、そのために、幼稚園とは全く違う成り立ちをし、全く違う運営をしてきたのです。「就労形態にかかわらず同じ条件で」ということでは、逆に親が家にいる子と、いない子の差別を招きます。

 子どもによってお迎え時間が異なることについて、委員会答弁では「こうしたことを通じて子どもがたくましくなる」などという、とんでもない答弁がありました。このような辛い目にあった子どもたちは、もしかしたら、一生消えない心の傷を負うかも知れないのです。そのことに対して、誰がいったい責任を負えるのでしょう。

 保育園の保護者の方は「私たちが建てて欲しいのは、保育士さんがちゃんと配置されている認可保育園。子供園では安心して子供をあずけられない」と説明会で発言しています。保育園をのぞむ保護者は、こんな半端な、安心感のない施設に預けたいとは思っていないのです。

 同時に保育園の保護者からの「幼児教育のニーズが高まっている」などというのも間違っています。保育園でも幼児教育は立派にやっています。私は3人の子供が10年間保育園でお世話になりましたが、小学校に入っても、なんら幼稚園の子と保育園の子で学力面などの遜色はありません。これは、子供園を正当化するこじつけでしかありません。

●誰にも役に立たない「いいとこなし」の施策

 国の認定子ども園と違う、区独自の育成プログラム、などと言っていましたが、今回明らかにされたその内容は、既存の幼稚園や保育園のカリキュラムをもっと粗雑にしたようなもので全く独自性はありません。

 しかも、保育の側からみれば、認可保育園でも、認証保育園ですらもなく、国の認定こども園でもないため、人員配置や最低基準などが何の規制もうけません。規制を受けないことが、区長の望みなのかもしれませんが、これでは入園する子どもたちを守ることができず、大変不安です。

 私立幼稚園の先生方からも、強い批判の声をうかがいました。これまで3年保育は私立、2年保育は区立とのすみ分けがあったのに、区側が何の相談もなく、突然3年保育を打ち出したことは民業圧迫であるとの趣旨は、請願として議会にも提出されています。

結局この施策は、区立幼稚園の保護者にとっても、保育園の保護者にとってもいいことがなく、また現場の職員さんたちにとっても、私立幼稚園にとっても混乱を招くだけ、さらには、募集定員を修正したために、待機児童対策にもほとんど役に立たないという、いいとこなしの施策になってしまいました。

 このような議案に賛成する要素は全くないと思います。

●図書館の全館指定管理、関係者は認めていない

 次に、議案第65、66、67号 図書館指定管理者の指定について述べます。

 6月に「地域図書館をすべて指定管理とする」という方針が突然発表されて、衝撃が走りました。区の図書館協議会は、このことについて臨時の会議を開き、行政に対する強い不信感、指定管理についての懸念を表明しました。図書館利用者団体は、方針を見直してほしいという趣旨の要望書を提出、さらには、署名活動が展開されました。職員団体である杉並区職労の図書館分会は、全館指定管理方針に反対して数ヶ月間交渉をつづけました。

 図書館協議会では、その後二度の会議がもたれましたが、いずれも、この方針に対して、多くの委員が強い懸念を表明し、協議会には決定権がないものの、指定管理は望ましくないとの意見も出されています。区職労は、今年度の提案については妥結したものの、全館を指定管理とする方針には反対の姿勢を貫いています。このように、区民、関係者は、この方針をいまだ認めていません。そのことを議会は考慮すべきです。

 指定管理者制度の問題点については、一般質問で詳しく申し上げました。

 いま、指定管理者制度は全国的にも曲がり角にたっており、総務省の調べによれば、昨年度全国で1200の施設が、指定管理者制度をやめているそうです。とりわけ、図書館の指定管理者制度は、もともと導入をためらう自治体が多く、全国的にも進んでいません。

 すでに指摘したように、国レベルでは、文科大臣の答弁、国会の附帯決議などに明らかなように、公共図書館の指定管理者制度導入は望ましくないという姿勢に転換しています。

 いまごろ、全館を指定管理者にするという杉並の方針は、全国的な趨勢から大きく遅れをとっています。このような方針は本来即刻撤回すべきです。今回この3議案が可決されると6館については指定管理の図書館となりますが、全館を指定管理とする方針については、ひきつづき、凍結、再検討を求めます。

●図書館のグランドデザインこそ必要

 そもそも、図書館に関する基本方針がつくられていないことに驚きました。浦安図書館の元館長・常世田良氏の講演をききましたが、転換期であるいま、地域の情報拠点としての図書館の存在意義は、単に本を借りることにとどまらず、私たち地域住民の生活保障にとって決定的なものになりつつあるとのことです。このような情勢をきちんと把握した上で、長期にわたって、杉並区民の生活を支えていく図書館に転換すべく、基本方針、グランドデザインの策定を求めます。

 以上をもって3議案に反対する意見とします。