自民党総裁選が政治ニュースの焦点になり、「ポスト小泉」をめぐって3人の候補が毎日テレビに登場しています。首相が交代するといっても、安倍氏はじめ候補の3人とも小泉内閣の人たち。小泉首相が積み残していく多くの問題を次の人が「継承」していくのでは困ります。「改革政治」が私たち国民にもたらしたもの、そして今後の課題を検証してみます。
●「小さな政府」は増税と負担増をもたらした
小泉首相のかかげた「官から民へ」、「小さな政府」は当初大きな支持を得ましたが、実態は残念ながら、国民に大きな負担を強いる「改革」ばかりでした。日本社会に大きな格差が生じたことも指摘されています。
個人に対して定率減税の廃止や高齢者への控除の縮小・廃止など4兆円の所得増税、他方、企業に対しては1.8兆円の減税が行われました。住民税が今年6月支払い分から税額7〜10倍という信じられない増税になった高齢者の方もあります。さらに、住民税の税率を、現在の5、10、13%の3段階から一律10%に(来年支払う分から)。5%の方には2倍の増税になります(所得の高い人には減税)。
「小泉後」には消費税の引き上げもいよいよ本格検討に入りますが、税金を「誰が負担するのか」を再検討する必要があります。史上空前の利益をあげる銀行業界をはじめ、負担能力のある大企業に負担してもらいましょう。
●社会保障:「自己責任」では生きられない
年金は「未納」問題で大騒ぎになりましたが、結果残ったのは毎年つづく保険料アップ。2017年まで厚生年金・国民年金とも、どんどん上がっていきます。
介護保険制度は大幅に見直され「保険あって介護なし」といわれる状況です。利用者からは「ヘルパーさんやデイサービスの時間・回数を減らされた」「車いす、ベッドがレンタルできなくなった」「ケアマネジャーがみつからず介護保険が利用できない」などの悲鳴があがっています。さらに介護保険料も全国で引き上げられています(杉並では3000円→4200円)。
障害者の方の支援費制度は自立支援法の成立ですべてのサービスが1割負担に。例えば福祉作業所で働くのに逆に利用料を払わなくてはならなかったり、今後「障害程度区分」が導入されるなど、利用しにくい制度になります。福祉も医療もお金がなくてはうけられず「生命の沙汰も金次第」となりつつあります。
小泉政権の「自己責任」「弱肉強食」を転換して、誰もが安心して生きられる十分な社会保障をもう一度構築する必要があります。
●憲法、米軍基地、自衛隊をどうするか
小泉政権の外交は、アメリカへの追随姿勢がきわだち、米軍基地再編のための3兆円負担が批判を浴びました。イラクへの自衛隊派遣は国民の強い反対にあいましたが、航空自衛隊は今もってイラクで展開しています。それどころか、米軍などへの物資輸送を主任務としてイラクでの業務を拡大しています。さらに、次期政権では世界のどこへでも自衛隊をすぐに派遣できるようにと「恒久派遣法」の検討も予定されいます。
そして、次期首相と目されている安倍氏は「憲法改正」「教育基本法改正」を政権の課題として正面から掲げていますが、このように軍事力を前面に出す政策は長期的に見て日本の国益にも反することです。外交面でも「小泉改革の継承」ではやっていけないところにきています。
●靖国問題とは
8月15日に「ほとんど公式」参拝をした小泉首相ですが、靖国を巡って、何が問題なのか、もう一度整理してみる必要があるように思います。中国・韓国がいうから行くとか行かないとかいうレベルの話ではないし、まして「心の問題」などというのは論外です。先日新聞で「靖国は本質的には重要な国内政治問題だ」と書かれた方がありましたが、全くそうです。
歴代首相の参拝が問題になってきたのは、基本的には、国家神道が軍国主義思想の支柱になってきたことに対する反省であり、政教分離原則に対する違反が問題にされてきました。靖国参拝違憲訴訟において「憲法違反」という判決が出された例もあります。
いま、中国や韓国との関係に影響していることから、外交政策として靖国が語られることが多いのですが、基本は私たち日本人が侵略戦争に対してどういう姿勢をとるかが問われているということです。それは外国に対しての姿勢であると同時に、私たち国民自身が思想信条の自由を侵されないという保証でもあるはずです。政教分離が侵されたとき、思想信条の自由が侵されます。
「私の信教の自由だ」と小泉首相が言ったとき、宗教を持たない自由も含む国民の信教の自由が、逆に侵されているのであり、そのことに私たちはもっと敏感でなければならないと思うのです。
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