「教育基本法」の改正が現在国会で焦点となっています。いじめ問題や高校の履修漏れ問題など、学校をめぐるさまざまな問題が報じられていますが、そうでなくても、日本の教育レベルの低下と教育現場の諸問題は指摘されてきたところです。
それでは教育基本法にこれらの問題の根源があるのでしょうか? 基本法を改正すれば、日本の教育は改善されていくのでしょうか? とうていそうは思えません。どうも問題のすりかえがなされているようです。


教育基本法の前文には「われらは、さきに、日本国憲法を確定し(中略)この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」として、憲法の理想は教育によって実現されるという理念がかかげられています。それは戦前の「教育勅語」による教育からの転換でした。
与党の改正案では前文から「日本国憲法」との関係が削除されています。平和憲法との関係を切断することが今回の改正の目標のひとつということです。
さらに今回の改正案では「愛国心を教える」ことが新たに盛り込まれています。
※「我が国と郷土を愛する」(自民党・公明党案)
「日本を愛する」(民主党案)
※西村真悟衆院議員「(教育基本法改正のねらいは) お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。これに尽きる。」(2004年2月)
もう一つ非常に問題なのは、今回の改正案では教育における社会格差が助長されてしまうことです。
現在の教育基本法には義務教育を「9年」と明確に規定してありますが、与党・民主党の両改正案ではそれが削除されています。義務教育を小学校のみに短縮することも可能になります。
※麻生外務大臣「中学校は義務教育ではなくてもよく、職人などになりたい人は別の道を選んでもいいので はないか」(NHK9月14日)
国はすでに義務教育にかける国家予算を大幅に削っていますが、教育にかける経費をさらに削っていこうということでもあります。
また、先日、足立区は「学力テストの結果次第で学校予算に2倍以上の差をつける」案を発表して、批判を浴びましたが、内閣の「教育再生会議」で検討しようとしている「教育バウチャー制度」は、まさに、これと同じ、公立小中学校間で「競争させ格差をつける」やり方です。
格差を助長するこれらの政策は、教育のかかえる諸問題は解決しないどころか、公教育の荒廃を招くことになります。
教育とはとにかく手をかけること。そのために人材とお金を十分に配置してほしい――それが学校現場を見ている保護者としての実感です。