わくわくレポート128号 2010年5月
結局「辺野古」へ舞い戻った鳩山内閣
鳩山首相が沖縄を再訪、仲井真県知事や名護市・稲嶺市長らと会談し、普天間基地移設先は「辺野古周辺で」と述べました。昨年の衆議院選挙で「最低でも県外」と語った自らの言葉を完全に否定したことになります。しかも、米政府との合意を優先した結果のこの決定です。仲井真知事は首相に対して「大変遺憾」「きわめて難しい」と伝えました。
4月末には9万人が集まって「県外移設」を求める集会が開かれ、県知事、県議会、県内市町村長など立場を超えた「オール沖縄」の意思が明確に示されています。
この日沖縄では、県庁前で多くの人たちが「怒」のプラカードを持って首相を迎えました。県議の方々は議会棟前で座り込みをしました。沖縄の人々は普天間基地撤去、県外移設でまとまっています。本土の私たちが、声を上げ、政治を動かすときがきています。
山田区長が新党結成
~区長に辞任を要請しました
山田宏杉並区長は、中田宏前横浜市長らと「日本創新党」を立ち上げ、参議院選挙の準備を進めています。
山田氏は、昨年来「日本よい国構想研究会」「よい国つくろう日本志民会議」などをベースに、新党結成の準備を進めてきましたが、これらの会の政策は、「つくる会教科書」を採択したことで知られる山田氏自身のきわめて右翼的な信条そのままに、復古的な道徳観・国家観、侵略戦争の肯定、弱肉強食の「自己責任」などが中心的な政策としてかかげられ、これらは「新党」の理念にそのままうけつがれています。
「新党」に参加している杉並区議ら地方議員の顔ぶれも、それぞれの地域で極右ととらえられている人ばかりで、この党の素顔が大変よくわかります(地方の首長たちは「応援団」に名前を出しながらも、党への参加には二の足を踏んでいます)。
一方、新党結成が報じられて以降、私たちのもとには「新党活動をやっていて、区長の仕事はできるのか?」「区長をやめて新党に専念すべき」という声が次々に寄せられました。党首として新党設立の活動に熱中する人に対し、区長の高額な給与を区民が払い続けることには、区民感情から強い抵抗があって当然です。
こうした状況をふまえ、「杉並わくわく会議」では、5月6日、山田区長に要請書を提出しました。私たちの要請書提出後の翌日、新党は「基本政策」を発表しましたが、その内容はあきれるほど薄っぺらなものです。
法人税の引き下げと消費税の引き上げ、道徳教育の強化、公務員の削減。さらに、集団的自衛権の行使の容認と日米同盟強化。もちろん「憲法改正」も。
「首長新党」のはずなのに、自治体での経験に根ざした政策などひとつもありません。ただただ自分たちのイデオロギーを「地域主権改革」という言葉でコーティングしているだけ。「首長新党」は国政にうってでるための飾りでしかありません。
山田区長はずっと「国政に戻るための足がかりとして区を利用しているのではないか」と言われ続けてきましたが、今回、自らそのことを証明してしまったようです。
<区長に対する要請書要旨>
- 区長は「日本創新党」設立に党首として関わると報道されています。新党は参議院選挙での議席獲得をめざすそうですが、区長の出馬は未定。しかも、新党の党首と区長を兼務するという区長の行動は不可解です。
- 結成されたばかりの新党の体制づくりや国政選挙をかかえる多忙な党首が杉並区長という重責を果たしていけるとは思えず、党の仕事に追われ、区長の仕事がこれまでに比べおろそかになるのではないかと、区民は危ぶんでいます。
- また、党首の職務の比重が重くなっていく中、杉並区が区長としての高額の給与を払い続け、間接的に党務を支援することには、納得できません。
- 新党にとっても、党首が国政選挙の先頭に立って闘わず、区長の地位に恋々としていたのでは士気が上がらないでしょう。
以上を踏まえ、私たちは区長に対し、「日本創新党」党首と杉並区長の兼務をやめ、区長を辞任することを求めます。