松尾ゆり

わくわくレポート131号 2010年7月

民・自ごたまぜ会派「新しい杉並」結成
有権者をばかにするにもほどがある

 全く呆れたことに、杉並区では民主党と自民党(の一部)が一緒になった新しい会派が結成されました。国政で対立しているはずの民主・自民が一緒に…というだけでも問題ですが、それ以上に、つい10日前まで区長選で田中良候補(新区長)と千葉奈緒子候補の2つの陣営に分かれて激しく争っていた同士(のはず)なのに、こともあろうに同じ会派に合流してしまうとは何事でしょうか。

 とりわけ、千葉候補を応援していた自民党の人たち、および岩田・五十嵐議員(山田前区長の日本創新党所属)は何を考えているのか!?街にはすでに「新しい杉並」を名乗る自民党議員のポスターが張り出されており、「新しい杉並始動!」と大書されていますが、それって新しい区長になってよかった!ってこと? 自分たちは10日前まで対立候補を応援し「よろしく」とお願いしていたのに?区議たちに頼まれて千葉さんに投票した人も多かったはず。千葉さんに投票した8万人あまりの有権者に対し、ハシゴをはずすような裏切り行為ですが、申し訳ないと思わないのでしょうか。「どうせ区民は区議会のことなんか何も知らないのだから、黙っていればわからない」とでも思っているのか。有権者なんて、自分たちが指示すれば右でも左でも行くものと、ナメてかかってるのか。

 選挙は戦い。まして区長選は、勝ち負けで与野党が決まるはず。応援した人が負けたら潔く野に下り「冷や飯」を食う覚悟をしているはず。それなのに、この人たちは「千葉さん負けちゃったから仕方ないなー。でも自分が選挙で負けたわけじゃないし。今度は区長と仲良くしとかなきゃあ」という軽~いノリなんでしょうね。しかもたった10日での変節! 政治家としての最低限の節度すらなく、私利私欲で「強いモノについたら勝ち」というあさましい根性がミエミエです。

 この人たち、来春の区議会議員選挙では、自民党や創新党の候補者として民主党を批判したりするのでしょうか。同じ会派なのに? 有権者の皆様はしっかりご注目ください。また、この件についてのご質問やお怒りの声もお待ちしています。


7月30日は教育委員を任命する臨時議会です

 田中新区長になって初めての議会ですが、今回は、教育委員の任命のために臨時に開催されるものです。山田前区長のもとでの教育委員の任命は、つねに、山田氏の「つくる会教科書」採択という政治的な目的のために利用されるものでした。山田区政のもとで、教育行政は区長の思うままに蹂躙されてきました(東京都の石原知事も同じです)。それは、現在の教育委員会制度の弱点「教育委員を区長が任命する」というところにあり、これをを改めない限り、同じことは繰り返されるでしょう。区民が教育委員を選挙で選ぶ「公選制」あるいは「準公選制」に転換していく必要があります。


ゆり発
野田市「公契約条例」を視察

 猛暑の真っ盛りですが、先日、区議会の1回生(当選1回の人たち)で野田市の視察に行きました。野田市は全国で初めて「公契約条例」を制定しました。今、全国から注目されているので、ほとんど毎日、視察がとぎれないそうです。 野田市長は「官製ワーキングプアをつくらないために」という強い意思をもち、低賃金労働にならないよう市の契約を条例で規制する「公契約条例」をつくりました。労働組合や建設業界からの悲鳴が上がっていたからです。

 野田市の条例は、市の高卒職員初任給の8割などの賃金基準をもうけ、その結果、今年の入札では清掃業務などの低賃金の仕事では千葉県の最低賃金を時給で100円以上上まわる効果があったとのこと。しかし、他の職種で、すでに900円、1000円と払っている場合には賃金引き上げ効果がなく、職種別の賃金設定が今後の課題だそうです。

 「賃金や契約単価の引き上げは本来国の仕事。国が動かないから自治体でできることをやっているが限界がある。他の自治体もどんどん公契約条例を作ってほしい。そしていっしょに国を動かしましょう」というのが、担当の方のメッセージでした。杉並でもぜひ実現していきたいものです。