松尾ゆり

わくわくレポート135号 2010年11月

尖閣諸島に北方領土。問題山積の菅政権

 尖閣諸島の事件に、北方領土へのロシア大統領訪問。対中外交、対ロ外交で失点を重ねる菅政権に、自民党などからは「弱腰外交」との批判もあがりました。

 しかし、領土も守れないような外交をしていることの根源には、むしろ、自民党時代から続く「対米従属外交」が横たわっているのではないでしょうか。
 戦後日本の政治、外交は、常に、アメリカの顔色を見て行われてきました。尖閣諸島事件でも日本政府はアメリカ側が「日米安保の対象」と言ったことでホッとするような情けない状態です。「ひとりでは決断できない国」と足元を見られているといってもいいでしょう。同じような問題は何度でも起きてきます。

 しかし、政府もマスコミも「こういうことがあるから日米同盟を強化して守ってもらわなくては」と、いっそうの従属を言い立てています。情けない限りです。
 真に独立した国になり、自主外交を行わない限り、領土も守れません。それには政治の転換が必要です。

●TPPでも…

 さらにはTPP(環太平洋経済連携協定)も大きな火種になっています。今回開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)では参加表明を見送ったものの、協議にはオブザーバー参加となっています。加盟国間の関税をなくしてしまうTPPは、食料安全保障の点からも、地域経済振興からも国益に沿うとはいえません。特に輸出競争力の低い農業、水産業から強い反発が起きています。

 11月10日には東京で農業団体などが3000人の集会を開いて反対を訴え、また、与党の民主党の中でも鳩山前首相を中心にTPPに慎重な議員連盟結成の動きが出てきました。ここでもまた、菅首相のアメリカ追随の政治が大きな問題をかかえています。


保育対策、国に申し入れたが

 杉並区では来年度200名以上の待機児童が予測され、国の「待機児解消チーム」に田中区長が申し入れ。その内容は「認可外施設をたくさん作っているんだから、がんばる自治体には支援を」というものですが、果たしてそれはよいことなのか。

 区みずからが無認可施設を量産している杉並区の現状は決してほめられたものではありません。無認可を増やしては当座助かったとしても、応急措置でしかなく、認可保育園をつくらなければ解決しません。

 そもそも今年4月の「待機児23名」が数字のトリック。認可保育園に入れなかった人は実は656名にのぼります。夫婦で正社員フルタイムでも、何年も認可保育園に入れず待っている人もいるのが杉並の現実です。


ゆり発
杉並版「事業仕分け」

 杉並版「事業仕分け」が14、15日の2日間行われました。8つのテーマごとに1時間ずつ。なかなか興味深く、勉強になりました。

 なかでも「アニメ産業支援」については同感するところが多々ありました。ある委員は「アニメ産業が東京に集積するのは根拠がある。人と情報が集まることがクリエーターには必要だから。しかし、杉並区の集積にはそのような根拠はない。産業政策としては別の分野のほうがよいのではないか」

 別の委員は「アニメミュージアムは、練馬に東映ミュージアムがある。民間のもので十分」「アニメ匠塾(人材育成事業)だって専門学校があり行政がやることはない。廃止すべき」どれも正論。

 2日間の結論は、「コールセンター」縮小。「子育て応援券」廃止を含めた抜本的見直し。「路上喫煙対策」整理統合、縮小。「アニメ産業支援」廃止を含めた見直し。「土日開庁」縮小。「急病医療情報センター」縮小。「みどりの助成」現状維持。

 そして「南伊豆健康学園」廃止。南伊豆健康学園は利用者からの存続要望の強い事業。委員の中からも「必要としている子どもがいる。存続するためもっと努力すべき」との声がありました。