松尾ゆり

わくわくレポート142号 2011年11月

TPPへ強まる反対の声

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加をめぐり、反対の世論が高まっています。政府は、APECを前に「参加表明」するとのことですが、民主党内ですら根強い反対が続いています。

 昨年10月に当時の菅首相が突然TPP参加を打ち出し、その後「バスに乗り遅れるな」とマスコミあげて宣伝が行われてきましたが、ここへきてその問題点がようやく広く知られるようになってきました。

 リーマンショックから3年、いまだに立ち直れないどころかいよいよ危機にはまりこむアメリカが、日本を食い物にして活路を見いだそうとしているのがTPP。当初、農業関係者がいちはやく反発し、農業への影響が主に取り上げられてきましたが、農業ばかりでなく、医療分野や金融、雇用と日本経済に全面的に打撃を与えるものです。例外なき関税の撤廃、さらに非関税障壁とみなされれば、あらゆる政府の規制も否定されます。日本という国の主権が危ういといっても過言ではありません。

アメリカのいいなりの政治をやめよ!
TPP参加を許さない!

11月19日(土)13:30~ さいたま共済会館6Fホール

TPP参加をめぐり、日本が進むべき方向を、農業、医療、など各界の方々が語ります。また、特別ゲストとして原発に反対した前福島県知事・佐藤栄佐久氏が発言します。
主催:自主・平和・民主のための広範な国民連合 全国総会特別企画
(どなたでも参加できます)

介護保険料、自己負担とも引き上げ?

 厚生労働省は、来年度へむけた介護保険の制度改正の中で、介護保険料の引き上げ(65歳以上の全国平均で月5000円超に)と自己負担の引き上げ(現在は全員1割負担→所得に応じて一部2割負担)などを検討していると報じられました。

 また、施設にかかるお金を極力減らすために軽度の人の入所を制限する、ケアプランを有料化、などの利用者負担増も考えているようです。

2000年に発足して以来、介護保険は、当初の「誰もが安心して介護を受けられる」という看板がすっかり色あせました。介護する家族とご本人の負担はさらに増すばかりです。

「基本構想」案に意見を出しましょう

 今後10年の区政の方針を決める「基本構想」は11月11日から1か月区民意見募集(パブコメ)が行われます。11日付広報に案と募集のお知らせが掲載されますので、ご覧の上、皆様もご意見をぜひ出してください。

 「杉並わくわく会議」では、福祉をもっと重視し大きな目標とすべき、行政の責任をあきらかに、まちづくりが再開発に偏る心配がある、などの意見をまとめて、区と審議会に提出しました。

理想の特養ホーム、道は険しく

 先日、特別養護老人ホーム「サンフレンズ善福寺」の見学会に参加しました。同施設は2007年8月、杉並区内で初めての全室個室特養として開設されました。施設だけれど、我が家のようにすごせる場所として、長年の市民運動の理想を託した施設です。各個室には、それぞれ個人宅から使い慣れた家具や日用品を持ち込むことができ、また、トイレも各部屋ごとについています。定員が34名と小さい施設ですが、入所を待っている方がなんと300人と聞いてため息。

 所長さんのお話をうかがいました。これまでの施設で当たり前に行われていた介護、すなわち、入浴やトイレなどを、時間で決めて、流れ作業のように順番にするやり方ではなく、一人一人の生活のペースを大切に、たとえば起きる時間も一斉起床ではないし、入浴も脱衣から入浴、着衣と一連の流れを同じ職員が介助するというやりかたをとっているそうです。悩みはそのために人件費がかかり経営が厳しいこと。公費による支援が求められると思いました。

 実は、この施設では何度かボランティアをさせていただきました。ご利用者さんや職員さんとの対話は、教えられること、励まされることがたくさんありました。皆様に心から感謝です。