松尾ゆり

わくわくレポート144号 2012年1月

 新年を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。昨年は、思いもよらない大震災の惨禍と原発事故に見舞われ、多くの方が大切な家族、家、故郷をなくされました。あらためてお見舞い申し上げます。

 大震災を経て、今の政治が諸問題を全く解決できないことがますます明らかになりました。野田政権のやったことは、消費税引き上げの決定、TPP参加、沖縄防衛局長の傲りたかぶった暴言とアセス書類の提出強行、そして、誰が見ても偽りでしかない原発「収束」宣言等々、ことごとく国民への負担と不安の押しつけでした。自民党以上に自民党らしい政権ともいえます。

 11月には大阪市長・府知事選挙が行われましたが、橋下市長のような危うい政治家に支持が集まるほど、国民は政治に閉塞感を感じているということです。

 さて、私、松尾ゆりは、昨年区議会選挙を戦い、皆様の多大なるご支援にもかかわらず、残念ながら議席を失う結果となりました。しかし、その後の様子を見るにつけても、杉並区政をなんとかしなくてはとの思いは、ますます強くなっています。  今年も皆様とともに、「住民自治の力でつくる、福祉のまち杉並」をめざし、地域から政治を変えるため奮闘してまいります。

行革でうまれたお金は再開発へ!?
杉並区新10年プラン

 杉並区は田中区長のもとで一昨年から新しい「基本構想」「総合計画・実行計画」を検討してきました。昨年末にはこれらの案が公開されましたが、そこから読みとれるのは、「行革でお金を生み出し、再開発事業へ投資」という区政の姿です。

【1】 まちづくり

 計画では、荻窪駅周辺の再開発が重点とされています。また西荻の都市計画道路や外環道にも積極的です。その理由は「周辺地域(中野や吉祥寺など)に比べ杉並区が相対的に埋没していく懸念」と述べられていますが、私たち区民はそんな風に感じているでしょうか。

 繁華街とは違った杉並の落ち着いた環境、流行の店舗や大型店は少ないけれど、近所のなじみのお店で世間話をしながら買い物ができる庶民的なまちに愛着を感じている方が多いのではないでしょうか。商店街振興を考える上でも、新宿や吉祥寺と競うのでなく、杉並の良さを伸ばしていく方がよいはずです。

【2】 福祉

 介護保険が始まって10年以上になりますが、使えるサービスは次々と制限されてきました。高齢者福祉は介護保険だけでは足りません。保険以外の区が行う介護サービスは全く不十分です。計画では、特養ホームの増設などが確かに盛り込まれてはいますが、建設助成だけでなく、運営面での補助がないと施設の質は保てません。

 障害者福祉の分野でも高齢化は深刻な問題です。また、福祉作業所も不足しています。住むところ、働くところ、どちらの運営も事業者は大変な思いをしています。区の補助や対策は遅れています。リーマンショック以来、貧困問題が大きくクローズアップされましたが、計画では一切触れられておらず、区が深刻にうけとめていないとわかります。

【3】 前区長時代と変わらない行革・民営化

 前区長時代に職員を1000人削減したことは、区民サービスの低下を招きました。区民に直接関わる仕事は民間委託が進められ、区民の悩みを職員が直接知る機会が少なくなりました。適正な人数とは、減らすことばかりではないはずです。

 今回の計画では3年間で200人の職員削減を目標とし、前区長時代以上に厳しい削減となります。保育園・学童クラブや図書館の民営化が心配です。

 保育園、学童の保育料はじめ、区民の手数料・利用料の値上げも計画されています。しかもそれは、毎年の「残ったお金の半額以上」を区が積立するため。そのお金がまちを破壊する再開発につぎこまれるのではむくわれません。

【4】 旧態依然の区政

 区長交代で、杉並区が大きく変わるのではという期待を抱かせたのもつかのま、今回の計画では旧態依然の区政の姿がはっきりしました。

 杉並区政は国や都に従順で、他区のようすを気にして新しい事業になかなか踏み出さないと、以前から言われてきました。特に福祉では国が削減している今こそ、区政が責任もって進めてほしいと思いますが、体質が変わらないのはとても残念です。杉並区民は活発な市民運動が、先進的な福祉サービスや環境保護などに取り組んできました。今後も住民自治の力で区政を動かし、変えていきたいものです。

「脱原発」の活動にとりくみます~署名にご協力を~

■2つの署名にとりくんでいます

脱原発1000万人署名

 郵送の方には同封しております。署名いただける方はお手数ですが、ご返送いただけると助かります。署名欄は全部埋まらなくてもけっこうです。

「原発都民投票」の署名

「原発をやめるか続けるか」を都民投票で決める直接請求の署名です。2月9日締め切りです。対面してご署名いただかなくてはなりませんので、署名用紙をお送りできません。ご協力いただける方は、松尾ゆりまでご連絡ください。

松尾ゆり

終の住処(ついのすみか)を守る

 昨年秋、特別養護老人ホーム「サンフレンズ善福寺」の見学会に参加しました。同施設は2007年8月、杉並区内で初めての全室個室特養として開設されました。我が家のようにすごせる場所として、長年の市民運動の理想を託した施設です。各個室には、それぞれ個人宅から使い慣れた家具や日用品を持ち込むことができ、また、トイレも各部屋ごとについています。

 たとえば起きる時間も一斉起床ではなく、これまでの施設と違う、個人の生活ペースを中心とした介護を行っていると所長さんは説明されました。

 悩みはそのために人件費がかかり経営が厳しいこと。公費による支援が求められます。実は、この施設では何度かボランティアをさせていただきました。ご利用者さんや職員さんとの対話は、教えられること、励まされることがたくさんありました。皆様に心から感謝です。

区立小学校の芝生シートから9万ベクレル

 杉並区の学校で校庭の芝生養生シートから高度の放射能汚染がわかりました。報道された堀之内小学校では9万ベクレル/kgの放射能が検出されました。区役所に尋ねたところ、堀之内小のシートは全部あわせると152kgあり、つまり1350万ベクレルの放射能がシートに集まっているということです。さらに、堀ノ内小だけでなく、区内各校で同様のシートを使用しているので、合計では少なく見積もっても2億ベクレルの放射能がたまっていると考えられます。たまたま地面に落ちないでシートに集まった放射能ごみを、区は、安易に焼却して空気中や水中に飛散する危険を冒すのでなく、「放射性廃棄物」として処理するよう東京電力と国に要請すべきです。