松尾ゆり

わくわくレポート145号 2012年3月

介護保険料大幅アップ、サービスは増えず

 4月から介護保険制度が改正されます。問題は、サービスが増えるわけでもないのに、介護保険料が大幅にアップされることです。杉並区の場合、基準保険料(第5段階)が4,000円から5,200円へと3割もアップ(所得によって金額が違います)。全国的にも5,000円台と言われています。

 サービスでは介護と看護を組み合わせた「複合型」や24時間対応のサービスが新しくつくられますが、対応できる事業者が限られている一方、利用者負担が高く、どの程度普及するかは未知数です。これまでの介護保険の不便が解消されることにはなりません。

 また、医療行為(たんの吸引等)を介護福祉士が行えるようになりますが、なかには看護師でも難しいケースもあり、不安が残ります。さらに医療行為の範囲を拡大する動きもあり、安全性が問われます。

 厚生労働省はこれまで、
●利用者の自己負担のアップ(1割から2割へ)
●ケアプランの有料化、
●軽度の人(要支援、要介護1~2)のサービス削減→ボランティアに依頼(?)
 …などを提案してきました。今回の改正には盛り込まれないものの、これらも、今後心配な点です。

誰のための消費税引き上げ?

 消費税引き上げが大きな論点になっています。「財政難だから仕方がない」という声も聞こえますが、消費税だけが財源ではありません。

(1)所得税・法人税

 所得税は累進課税ですが、高所得者の税率はピーク時の75%から現在の40%、法人税は43%から30%へと引き下げられています。さらに、法人税では「租税特別措置」という優遇があり、大企業では法人税を10ポイント程度減税しています。

松尾ゆり

(2)「輸出戻し税」

 「輸出戻し税」(輸出還付金)といわれるしくみをご存じでしょうか。輸出大企業たとえばトヨタなどは、外国に売った商品分の消費税額が「転嫁できなかった」という理由で還付されます(実はその分の消費税は下請けの中小零細企業が発注者に転嫁できず自己負担しています)。

 その額は3兆円以上にのぼり、私たちが苦しい中から払った消費税のなんと約4分の1は、輸出戻し税として消えていることになります。他方、これらの企業にとっては消費税は高ければ高いほど儲けになり、10%、15%となれば笑いがとまりません。経団連などが消費税引き上げを推進するはずです。

「外環の2」を知らない石原知事

 八ツ場ダムなどとともに事業再開となり予算がつけられている外環道ですが、地上の立ち退きが生じないように「大深度地下にする」と約10年前に国と東京都は方針を決めました。ところが高速道路の「足場」のはずだった道路の計画が「外環の2」の名前で残っていることが、その後明らかにされました。

 立ち退き地域からは「母屋はなくなってひさしだけ残るようなばかな話だ」「外環道が地下にもぐるというから泣く泣く承知したのに、今度は地上にもつくります、どいて下さいと言われても、行くところはない」と反対の声が上がっています。

 昨年末、定例会見で記者から「外環の2」について聞かれた石原都知事は「道路計画として、今残っているの?」と発言、「知事はこの計画を知らないの?」と波紋が広がりました。責任者の知事も知らない道路を東京都はつくるのでしょうか。

脱原発署名へのご協力ありがとうございます


「原発都民投票」を求める署名

 多くの方のご協力ありがとうございました。事務局によれば都内で30万人もの署名が集まり、選挙管理委員会に提出したとのことです。この署名にもとづいて今度は都議会が審議することになります。

「さようなら原発1000万人署名」

 こちらも多くの皆様がご協力下さり、ありがとうございました。こちらは、現在全国で500万筆余りが集まっています。さらに期間を延長されたとのことですが、杉並わくわく会議・松尾ゆりにお寄せいただいた署名は、ひとまず2012年2月末で提出いたしました。