松尾ゆり

わくわくレポート146号 2012年5月

国内すべての原発が止まった

 5月5日、北海道電力泊原発3号炉が点検のため停止し、国内の原発全てが停止しました。これを原発のない日本、原発のない世界の第一歩にできるかどうかが問われています。

 大飯原発再稼働をもくろむ関西電力など電力会社と政府は、この夏の電力不足をしきりに言い立てていますが、たとえば環境団体代表の田中優さんは「偽装停電の夏をゆるすな」と、情報隠しによる原発必要論に警戒をよびかけています。

 福島原発の大事故から1年余り、いまだに事故機の状況はわからないままですし、事故の責任がどこにあるのか、追及すら始まっていない状態です。国民の多くは原発をやめてほしいと思っているはずですが、それを現実にするのは、私たち自身の「原発やめよう」というがんばりにもかかっています。

介護保険料大幅アップ、サービスは増えず

 4月から介護保険制度が改正されました。問題は、サービスが増えるわけでもないのに、介護保険料が大幅にアップされることです。杉並区の場合、基準保険料(第5段階)が4000円から5200円へと3割もアップ(所得によって金額が違います)。全国的にも5000円台と言われています。

 サービスでは介護と看護を組み合わせた「複合型」や24時間対応のサービスが新しくつくられましたが、対応できる事業者は限られており、導入した自治体は半数程度。これまでの介護保険の中心的なサービスだったヘルプサービスはますます削られ、最低単位がたった20分となりました。サービスを受けるほうも困りますし、ヘルパーさんも生活できる賃金にはなりません。一報。介護職の待遇改善の補助金は打ち切られ、サービス利用料の中に組み込まれたため、利用者負担がさらに増額となります。

 医療行為(たんの吸引等)を介護福祉士が行えるようになりましたが、なかには看護師でも難しいケースもあり、不安が残ります。さらに医療行為の範囲を拡大する動きもあり、安全性が問われます。

厚生労働省はこれまで、
○利用者の自己負担のアップ(1割から2割へ)
○ケアプランの有料化
○軽度の人(要支援、要介護1~2)のサービス削減
→ボランティアに依頼(?)などを提案してきました。
今回の改正にはもりこまれないものの、これらも、今後心配な点です。

松尾ゆり

「総合こども園」で保育園さらに入りにくく

 民主党の子育て支援の目玉「子ども子育て新システム」に関連する法案が近く審議入りするとのこと。足りなくて困っている保育園と、余って困っている幼稚園をいっしょくたにすれば、保育園不足を一挙に解消できるとする(安易な発想)「総合こども園」がその中核ですが、多くの問題があります。

 幼稚園側からは、乳児を預かる困難さやそのための施設充実の負担、また、教育機関としての独自性を尊重する点で疑問の声があります。保育園側から見ると、家庭にかわる子どもの生活の場として厳しい基準に守られ拡充されてきた経緯があり、これを契機に基準を緩和されることへの危機感が強くあります。

 両者を一緒にする「総合こども園」により、児童福祉法が明記する政府・自治体の「保育する義務」も削除されるといわれます。つまり保育園入所は完全に「自己責任」にされ、入れなくても役所は知らん顔してよいということです。

 今でも保育園に入るのは大変なのに、お金のある人はますます高い保育料を払うことになり、お金のない人は保育園を容易に見つけられないか、あっても劣悪な環境の保育園ということになる可能性があります。小さな子どもたちがとても心配です