松尾ゆり

わくわくレポート148号 2012年7月

 暑い夏を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

 国会では、民主・自民・公明の「談合」によって、私たちの生活を圧迫する消費税増税法案が成立しようとしています。毎週金曜日の官邸前の抗議行動、そして代々木公園に17万人が集まった脱原発集会など、人々の行動にも関わらず、大飯原発3、4号機が再稼働されました。米軍のオスプレイ配備、TPP参加など、多くの反対の声を無視して、次々に強行しようとする野田政権は、最悪の対米追随政権です。

 国の悪政に対して、地域住民の生活を守るべき区役所も、国や都の言うなりに「粛々と」行政をこなしているかに見えます。私たちは地域から、住民自治の力で政治と行政を変える活動をつよめていきたいと思っています。ご一緒に声を上げていきましょう。

欠陥税制  消費税増税に反対!

 7月末現在、消費税引き上げ法案は衆議院を通過しています。しかし、国民に多大な負担をしいる増税を黙って受け入れるわけにはいきません。

輸出大企業には「もうかる」税

消費税は売り上げに対してかかるいわば第二の事業税ですが、事業者は赤字でも納税しなくてはならず、中小企業は納税に困難を極めます。ところが、輸出大企業たとえばトヨタなどにとっては、逆に消費税はもうかる税です。輸出した商品の消費税分を「外国に売ったので転嫁できなかった」という理由で「輸出還付金」が返還されるためです。

▼消費税還付金上位企業(2010年度)

 これらの企業のお膝元の税務署は消費税が赤字!豊田税務署では1000億円以上の赤字となっています。一方、下請けの企業は発注者にほとんど転嫁できず、非常に不公平な構造になっています。

消費税の4分の1は使われず「還付金」に消える!

 輸出還付金の総額は毎年約3兆円以上にのぼり、私たちが「福祉、年金のために」と思って払っても、なんと消費税の約4分の1は、還付金に消えています。税率を引き上げなくても、この点を改善するだけで消費税1~2%の増収効果があるのですが、政府はこの点には沈黙。欠陥税制を正そうとはしません。

介護保険料大幅アップ、サービスは増えず

 4月から介護保険制度が改正されました。介護保険料が大幅に上がり、杉並区の場合、基準保険料(第5段階)が4000円から5200円へと3割もアップしました(所得によって金額が違います)。増税も予想される中、生活は益々苦しくなります。

 介護保険の中心的なサービスであるヘルプサービスはますます削られ、最低単位がたった20分となりました。また、これまで税で負担していた介護士の待遇改善の補助金は打ち切られ、サービス利用料に組み込まれて利用者負担となりました。

 医療行為(たんの吸引等)を介護士が行えるようになりましたが、実施には不安が残ります。重度の方も在宅へという動きですが、医療ケアの必要な方への在宅医療や介護の体制は全く不十分なままです。厚生労働省は、さらに利用者の自己負担を1割から2割へ、ケアプランの有料化、軽度の人(要支援、要介護1~2)のサービス削減、などを提案しています。今後心配な点です。

松尾ゆり

金曜日の官邸前!

 なんといっても強い印象を受けたのは、金曜日の首相官邸前行動。私が参加したのは大飯原発再稼働直前の6月29日でした(主催者発表で20万人参加)。

 官邸前の交差点は車道まで人がいっぱいで動けない状態。自然にわき上がる「再稼働反対!」の声。先導する人がいるでもなく、誰かが叫ぶとそれにつれて皆が唱和していくのです。若い人たちが、思い切り叫び続けている姿は迫力があります。ともかく、毎回あれだけ多くの人たちが、自分の意志だけであそこに駆けつけていることがすごい!

 その後の官邸前は、相当に規制が厳しくなっている様子です。そこまでして国民の声(「音」?)を遠ざけなくてはならないのでしょうか。

秘密保全法のヒミツ

 阿佐ヶ谷で開かれた学習会「先送りで安心?秘密保全法のヒミツ」(上智大学・田島泰彦先生講演)に参加しました。「秘密保全法」は今のところ国会上程見送りとなっていますが、大きな問題点は、
○防衛、外交だけでなく、広く(例えば、原発関連の情報も)守られるべき秘密に指定できる。
○職務的な立場以外(取材など)で秘密を知った場合、違法な手段でなくても処罰することができる。などです。

電気料金の値上げ

 「東電の値上げに納得できない! 何で10%もの値上げを鵜呑みにしなければいけないの? 零細企業には死活問題! 反対運動しているところはないの?」と自営業の知人からメールをいただきました。そうです。福島事故の責任もとらず、値上げだけがさっさと決まるって、おかしい!! というわけで、消費者団体の反対集会に参加しました。

 などの問題が指摘されました。残念ながら値上げが決まり、公的資金も投入されます。国民負担の使い道に目を光らせなくては。

まちづくり 《井荻・荻窪・阿佐ヶ谷》

 井荻まちづくり協議会に参加しています。杉並の中でも屋敷林や農地など、緑に恵まれた地域です。相続などで目に見えて減っていく緑をどう守っていくか、また、環八・西武線による街の分断、通行の不便などをどう解決するかが大きな課題です。 一方、区の主催による「荻窪まちづくり」意見交換会が開かれました。区長の公約の目玉でもある荻窪再開発。高いビルが林立し、落ち着いた住宅地・荻窪のよさが失われるのでは困ります。

 荻窪でもまちづくりの核となるはずのJRは、「駅ナカ」商法に問題もあります。各駅でJR直営のショッピングモールがつくられていますが、家賃が高くて地元のお店が入れず、どの駅も同じようなチェーン店ばかりになっています。阿佐ヶ谷では40年以上もにぎわってきたゴールド街商店街がJRに立ち退きを迫られ、存亡の危機に立たされています。「その街」らしさを、なぜ大切にできないのでしょうか。

自衛隊が23区展開

陸上自衛隊が23区をまきこむ訓練を実施しました。災害時を想定、練馬駐屯地から各区役所や施設に徒歩で向かい、宿泊、通信の訓練とのこと、杉並区役所にも2人の隊員が訪れましたが、迷彩服姿はやはり異様に感じました。折しもこの日は「さようなら原発」17万人集会の日。災害訓練を名目に治安出動の訓練が行われているのではないか。また、迷彩服の隊員が街中にいる光景を日常にしていこうとする意図があるのではないかと思えます。

署名のお礼とご報告

2つの署名への多くの皆様のご協力
本当にありがとうございました。

○脱原発1000万人署名
 全国で約800万人の署名が集まり、政府に提出されました。

○「原発都民投票」署名
都内有権者約32万人が署名して都に提出されました。石原知事はこれに「反対」意見を付して都議会に提出、都議会は反対多数で投票条例を葬りました。せっかくご協力いただいた署名を投票実現に結びつけることができず申し訳ない思いです。