松尾ゆり

わくわくレポート154号 2013年5月

真の「主権回復」とは

 4月22日都内で「『オール沖縄』に連帯し、真の主権を取り戻す集い」が開催されました。沖縄県議・玉城義和さんは、保革を超えて県内がまとまって「オール沖縄」で基地問題に取り組み、昨年9月のオスプレイ配備反対集会、さらに今年1月の東京集会には、県内全41市町村長および県・市町村議員、各団体代表が上京して政府に「建白書」を提出したことを報告、それにもかかわらず、オスプレイが配備され、基地問題は全く解決されないと批判、「沖縄の基地問題は、日本が真の意味で主権国家になれるかにかかっている」と発言されました。

 元レバノン大使・天木直人さんは「米軍を撤退させる、辺野古に移転させない、全国の国民が沖縄に連帯して主権を取り戻す。これほど大事なことはない」「憲法9条を変えてはいけない。アメリカが押し付けたというが、むしろアメリカが一方的に憲法を変えさせてきた。日米安保を変えないかぎり憲法を守っても日本の苦しみは救われない」と発言されました。

 4月28日、サンフランシスコ講和条約発効の日を政府は「主権回復の日」として式典を行いましたが、同時に発効した日米安保条約により、アメリカに従属した政治が今日まで一貫して行われてきました。「日本は本当に主権を回復しているのか」との問いに対し、あらためて私たちは真剣に取り組んでいかなければなりません。

待機児童数を見直したが

 保育園不足が問題となっている杉並区ですが、今年は待機児童数の数え方を変更して、発表しました。4月1日時点で認可保育園を希望したが入れなかった人は1680人。しかし杉並区が発表した待機児童は、新しい数え方でも285人。認可外保育施設(東京都の認証保育所、区の保育室、保育ママなど)を利用した人たちを除いているためです。これでは、ひきつづき実態とは大きくかけ離れています。

 「内定した仕事を辞退した、仕事をやめた、育児休業を延長、ベビーシッター・ベビーホテルを利用」などの場合、これまでは「待機児童」にカウントしていなかったのですが、今年からはカウントされます。これらのケースがこれまでカウントされていなかったことにあきれます。保育園に入れていないのに、認可外施設でも預けていれば待機ではない、としたり、仕事をあきらめた人は、これ幸いと外していたのです。

 新聞によれば、田中区長は「区はこれまで厳格に国の定義を守ってきた」と発言していますが、このような数え方をしてきたのは、23区の中でもほぼ杉並区だけです。最も甘い(行政に)基準で待機児童を数えてきたのです。国が基準を緩和したことはもちろん間違いですが、区も都合良く便乗してきたことを、本当に反省しているのでしょうか。杉並区は公立認可保育園を建てず、民間の参入を待つ方針です。そんな姿勢では今後の保育需要に到底対応できないのではないでしょうか。

松尾ゆり

「外環の2」めぐって、住民無視の東京都

 外郭環状道が地下を通る高速道として着工されましたが、地上部街路(外環の2)については杉並区はじめ各地区で「話し合いの会」がつづいています。住民は「地下にもぐったはずの外環の地上部道路があるのがおかしい」と追及していますが、都は「別の都市計画として存在している」としています。そればかりか、昨年は突如「外環の2」の一部分だけが抜き打ち的に事業認可されてしまいました。

 5月8日に開かれた「杉並区話し合いの会」では、「住民と都の間に大きな食い違いがあり、もう一度根本的な問題を話し合おう」という委員の提案もありましたが、何の答えもなく無視され、他方、東京都側は、議事に直接関係のない説明を一方的に棒読み、委員や傍聴席から抗議の声がわきました。

 「外環の2」計画の存在についても、また、昨年の事業認可についても、何度も質問されているのに、都が誠実に回答したことはありません。「話し合いの会」なのに、東京都は住民の声を聞く気がなく、一方的に説明を終わらせてしまえば、それでよしと言わんばかりの姿勢です。

 小平市では、道路建設をめぐる住民投票が行われます(なんと1962年の計画が今頃浮上!)東京都はここでもやはり、住民説明会では、一方的に説明するばかりだったといいます。東京の残された自然環境を守るため、都は心を入れ替えて、住民との対話を尊重すべきです。