わくわくレポート155号 2013年7月
都議選終わる 語られなかった真の争点
都議会議員選挙が終わりました。結果は大方の予想どおり、自民党・公明党の完勝(全員当選)でした。投票率は43.5%と前回より大幅に下がり史上ワースト2。政治に期待できない都民の心情が現れています。
今回の都議選は「参院選の前哨戦」といわれました。国政に結びつけられるのは首都の選挙の宿命とはいえ、都政には都政の、都民生活の課題があります。
今回の都政でいえば、「アベノミクス」と連動し、規制緩和を前提にした都心の再開発や外国企業誘致「特区」など、私たちの都税を注ぎ込んで行われる大プロジェクトの可否、福祉・医療の民営化、予算削減の是非などが問われるべきでしたが、全くといっていいほど語られませんでした。ますます都民から離れていくであろう今後の都政を都民として厳しくチェックしていきたいと思います。
2つの講演から。日本の進路を考える
最近参加した2つの講演会。日本がこれから世界の中でどのように生き延びていくのか、大きな時代の節目にさしかかっていると感じます。
日中関係‥‥丹羽宇一郎前中国大使の講演
「アジアの平和・日中関係の再構築を!」より
(講演の中から一部ご紹介 ※文責は松尾ゆり)。
- アジアの発展の基礎は日中が国交正常化し、平和に進んできたことにある。それを成し遂げたのは国民の力であって、政治家の力ではない。
- 世界の領土問題が武力によらず解決した例は極めて少ない。第一次世界大戦が1発の銃弾から始まったように尖閣で偶発的な事件が起こらないとはいえない。
- 日中両国はいま、お互いがいやがることばかりをやっているが、首脳同士が「尖閣諸島不戦の誓い」を話し合い、武器をとらないことを決意すべき。
- 尖閣問題は「棚上げ」と言っていけないなら、お互いに「お休み」ということにしたらどうか。しかも「忙しいお休み」にして、漁業協定、海難救助、資源など、課題を解決する時間にあてるようにする。
TPP‥‥鈴木宣弘・東大教授の講演
杉並区内の4つの市民団体が共同開催した「TPP参加!私たちの暮らしはどうなるの!?」より
(講演の中から一部ご紹介 ※文責は松尾ゆり)。
- 自民党総選挙公約は「TPP反対」だった(注)が、政権をとった途端、参加表明。これは国民に対する詐欺だ。人として恥ずかしくないのか
- 農業だけの問題ではない。北海道で農産物の関税ゼロになったら人が住めなくなる
- 沖縄もサトウキビが壊滅したら尖閣諸島のように無人の島が増える。一次産業はまさに領土問題だ
- 学校給食で地元の食材を使うことも、TPPでは非関税障壁として訴えられることになる
- 米国世論調査でも78%がTPPやFTAには反対。TPPは米国民の雇用を奪うとして労働組合も反対している。日本でも雇用が奪われるが、連合はTPP賛成。それでいいのか
- TPPを国会で批准するときがくる。そのときまでに、国民的な議論を喚起しなければならない
(注)自民党総選挙ポスター「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」はウソ公約としてネットでも話題に。
高井戸公園計画で民家立ち退き??
久我山にあるNHKグラウンド跡地は、現在公園として活用されいます。この場所はこれから、隣接する財務省、王子製紙のグラウンド跡地とともに「都立高井戸公園」として整備されていくことになります。災害の際の広域避難所にもなる広々とした公園ができていいなあと思っていました。
ところが、ある会合で地元久我山の方の発言を聞いてびっくりしました。公園の計画予定地の中に、民家約1000戸が含まれているというのです。
しかも、その地権者の皆さんには、直接には何の知らせもなかったため、計画決定以前には気づかなかった人が大半。決まってから、住民の強い要望でやっと説明会が開かれたとのこと。
民家の立ち退きがなくても、公園は十分機能します。住宅地を含まない計画に変更を求めたいものです。 また、公園の隣には道路の計画路線もあり、杉並区は「まちづくり基本計画」でこの道路を優先整備道路としています。こちらも多くの立ち退きが発生するおそれがあります。