松尾ゆり

わくわくレポート165号 2014年9月

「あんさんぶる荻窪」財産交換に、まっしぐらの区政

 「あんさんぶる」と荻窪税務署の交換は、区長など一部の区幹部だけで国と交渉して決められました。区民ばかりか区職員も無視して進行しています。最終的に交換の契約をするのはまだ先ですが、区は既成事実化を進めています。

 9月議会には税務署跡地に建てる新庁舎設計の予算が提出されています。また、「あんさんぶる」2階の荻窪北児童館がなくなる代償として突然計画が飛び出した桃二小建て替え案(右のコラム参照)もルール違反です。「あんさんぶる」交換のためなら「なんでもあり」の区政になってしまっています。

「あんさんぶる荻窪」交換に反対の声を

 私は次の理由から、「あんさんぶる荻窪」交換には反対です。

(1)「あんさんぶる荻窪」は大切な区民の施設です

 荻窪駅から徒歩3分と、杉並区では数少ない、貴重なJR駅前の公共施設です。福祉の拠点としても現在地がベストで、手放すべきではありません。特に、2階の荻窪北児童館は、公園の少ない荻窪南口地域の子どもたちの貴重な遊び場です。廃止するわけにはいきません。

(2)財産交換しなくても特養は建てられます

 区は「特別養護老人ホーム建設のため」と説明していますが、税務署を移転しなくても、隣接の公務員住宅跡地を購入または賃借すれば特養を建設する面積には十分です。また、近隣の旧若杉小学校跡地など、他の区有地に建てれば用地はタダです。

 そもそも国税庁としては税務署を単独で建て替えの予定だったところ、杉並区から待ったがかかったそうです。しかし「特養の話は全く出ていない」と担当者。「特養のために」との説明はあとづけの理屈なのです。どう考えても不自然な交換。別の動機がありそうです。

(3)税金の無駄づかいです

 荻窪北児童館の遊戯室や音楽室は他の児童館に比べても格段に充実しています。また、3階の広々としたフリースペースや4階のビオトープなど、各階がそれぞれの目的にそってきめ細かく設計されていますが、これらの設備は税務署には無用です。

 30億円もかけて、まだ築10年と新しい「あんさんぶる荻窪」を税務署と交換するのは税金の無駄づかいです。さらに、新庁舎を建てるにはさらに約30億円が必要で、二重に無駄づかいです。無駄な公共事業を行うのは誰のためでしょうか?

区実行計画 保育料も値上げへ?

 杉並区の今後3年間の「実行計画」には、施設再編計画(児童館、科学館の廃止や各集会施設等の統廃合)が具体的に盛り込まれています。同時に「行財政改革推進計画」には介護保険の窓口など民営化の計画とともに「保育施設利用者負担の適正化」が盛り込まれています。保育料値上げに要注意です。

桃二小建て替え 区長の一存で

 杉並区実行計画で区立学校の建て替え計画で唐突な変更がされました。桃二小が突然最優先の学校に躍り出たのです。桃二小は今年築49年目。築50年以上の学校が小中あわせて9校(杉一、杉二、杉六、桃一、高三小および中瀬、天沼、神明、西宮中)ありますが、これらをいっきに飛び越えて、2015~16年度設計、2017年度~改築となっています。しかも、文科省が最近「校舎はなるべく70年使って」とお達ししたばかりなのに。

 なぜこんな計画になったのか。それは「あんさんぶる荻窪」交換に伴い、同所にある荻窪北児童館がなくなってしまうので、その代替施設を桃二小内につくるためとされています。老朽化した他の学校の地元では「早く建て替えを」と待っているのに、区長の一存で1つの学校が特別扱いされるような不公平なことがあっていいのでしょうか。

杉並区による施設再編説明会が開かれます

10月29日(水)7時~産業商工会館(産業商工会館について)
11月1日(土)1時半~ 旧若杉小学校(若杉小跡地、桃二小、税務署用地について)
11月4日(火)7時~永福和泉区民センター(永福南小・新泉小について)
※どなたでも参加できます。

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