松尾ゆり

わくわくレポート100号 2008年4月

 2002年から発行してきた「区政レポート」が100号を迎え「わくわくレポート」と改題しました。これからも応援をよろしくお願いします!

 春がやってきました! 新年度を迎え、学校や職場のさまざまな変化にあわただしく過ごしておられる方も多いのではないでしょうか。

 さて、3月に閉会した杉並区議会では、2008年度の予算が審議されました。一般会計は過去最大規模(1546億円)、公共施設建設の計画が目白押し。他方、福祉はますます縮小され、しかも役所の仕事を企業に明け渡す民間委託が一段と進められていきます。


介護認定厳しく、訪問介護も利用制限

 2006年、介護保険制度が改正になり、ヘルパーさんの利用などが厳しく制限されるようになりました。「特に杉並区は利用制限が厳しい」とは他区の介護事業者の評判です。そのため、利用額が大幅に減っています。杉並区では介護認定も厳しいといわれます。それなのに保険料は逆にぐっと上がりました。

松尾ゆり

杉並育ちの「配食サービス」をばっさり削減

 杉並区独自の制度である「配食サービス」(一人暮らしの高齢者に食事を届け安否確認を行う)は今年度予算で突然3割削減され、事業者の中に動揺が広がりました。「配食サービス」は、杉並区の女性たちが、自らの介護の苦労の中から手作りで育て上げてきた杉並育ちのサービスなのに。

松尾ゆり

 また「移送サービス」(身体が不自由な方の病院などへの送迎を行う)では、営利企業との競争でやっていけなくなったNPOが撤退しました。結局は競争力のある営利企業だけが生き残ることになります。区はことあるごとに「NPOなどとの協働」を強調しますが、ボランティアから育った良心的なNPO、事業者を犠牲にして、わずかばかりの予算を削っている実際を見ると「協働」はまやかしにすぎません。


「平等を追求すると不幸になる」!?

 他区では高齢者福祉のために独自予算をつける例が出てきているのに、杉並区ではなぜ逆に予算を削ってしまうのか。「人は生まれたときから能力や環境が異なっている。それは神様が決めたこと。むりやり平等にすれば間違いがおきる」(予算委員会での答弁)という山田区長の考え方が根底にあります。

 「行政の役割は最低限のセーフティーネット。それ以上は余計なお世話、自分でやればいい」という区長。とにかく福祉がキライらしく、しかも「これは私の信念」と開き直り。このような区長のもとでは高齢者はもちろん、私たち区民は救われません。

 高齢者福祉だけでなく、児童福祉も問題。保育園も学童も希望者があふれている状態。この事態は何年も前から予測できていたのに、手をこまぬいていた結果です。


小売店が激減、区は打つ手なし


松尾ゆり

 商店街の衰退が言われて久しくなりますが、この数年、特に小規模店が急激に減っています(表)。象徴的なのはJR阿佐谷駅正面にできる大型マンション。銀行の跡地という一等地にありながら1階にも一切店舗を入れないことが問題になっています。区は法的に問題ないと静観していますが、まちづくりの観点からも取り組みが求められます。

 杉並区のアンケートでは「大規模店舗の出店で大いに影響がある」とする小売店が44.4%。大型店規制も課題です。「アニメ産業」にはなぜか力の入る杉並区ですが、ずっと比重が重く重要な産業である商業の振興には無策。


「後期高齢者医療制度」は「姥捨て山」

 4月から始まった「後期高齢者医療制度」。だいたい「後期高齢者」なんて失礼!ですが、中身はもっと問題。

 まず75歳以上の人だけの健康保険制度自体、世界的に例がない、いわば「姥捨て山」。また、
●75歳になると強制的に「後 期高齢者」制度に加入
●これまで扶養家族だった人も保険料支払いへ
●保険料は原則年金から天引き  (年金の手取りが減る) などの問題に加え、都道府県単位で決まる保険料は医療費をたくさん使うほど上がっていく仕組みです。これから高齢化がますます進み、当然この保険の加入者と医療費は増えていきます。保険料がどんどん上がっていくことになるでしょう。

 また、高齢者の医療費を抑制するために、定額払い制度(1つの病気に関して決まった額までしか保険が利用できない)などの導入も検討されており、要注意です。


まるでバブルな発想の「減税自治体構想」

 杉並区長選の公約であった「減税自治体」構想。一般会計の中から毎年1割(約150億円)を積み立てて、その利子で区財政すべてを賄うという、まるでバブル期のような構想です。「減税」といわれると「いいことかな」と思うのですが、それは70年後の話。そんな余裕があるならいま減税をするのが筋です。

 福祉や教育にかけるお金をどんどん削って、そのお金を運用にまわすなど筋違いもいいところです。2%で100年運用するというけれども、現在の区の運用実績は約0.5%。さらに金利や物価の変動なども予想され、「無税化」できる保障はどこにもありません。(この問題については2月4日テレビ東京の特集で松尾ゆりの発言がオンエアされました。)

 今年度一般会計は過去最大規模ですが、その理由は、おもに高齢者をターゲットとした増税の影響、それから、東京など一部の都市だけが恩恵を受けている「好況」の結果です。しかし「好況」だったのは昨年前半までの話。サブプライムローン問題や原油・原材料高により、すでに経済は縮小傾向にはいっています。

松尾ゆり

 そもそも大多数の区民は「戦後最長の景気回復」などとは全く無縁。それどころか区民生活は悪化し、生活保護率はこの10年で2倍、小中学校の「就学援助」(経済的に困難な家庭に給食代や教材費を援助する制度)も2割以上に達しています。

 私たちが払った貴重な税金を、区民の生活と営業を守るために使おうとしない山田区政。区民生活の改善のためには、区政の転換を図っていく以外にありません。


和田中夜間塾 進学塾に委託、学校を民営化


●和田中学校関連記事≫

和田中

 2007年末の計画発表からマスコミを騒がせてきた区立和田中の「夜間塾」(通称「夜スペ」)。成績上位の少数の生徒だけを選んで難関高校合格をめざす進学特訓コースです。大手塾が学校の施設を無料で使い、有料授業を行うのは、公益性・公平性の観点から問題があります。松尾ゆりは2月議会の一般質問でこの問題を追及しました。(以下質問要旨)

学校支援本部は会計が不明朗

 杉並区は「学校支援本部の主催だから塾が授業しても問題ない」と批判をかわしました。しかし、支援本部は営利活動をしてもいいのでしょうか。また400万円以上の公費が支援本部に入っています(2006年度実績)が、会計が公表されておらず不明朗です。

和田中は「ショールーム」?

 民間人校長の藤原氏はホームページ上で、学校は新しいととりくみの「ショールーム」と宣言。子どもたちの顔がTVで大写しになるなど生徒は商品扱いです。

ルール違反の業者選び

 特定の塾を、公正な競争(入札など)を経ずに校長が指名。契約書類もずさんで、公的な手続きとして問題があります。また、サピックス(SAPIX)は教材が著作権侵害で訴えられており、企業倫理にも問題があります。 無責任な教育委員会

 最悪なのは、数々の問題があるのに、詭弁を弄して校長の独走を追認、手助けしてきた教育委員会です。猛省を促します。

「営利性は薄い だから営利事業ではない」??

 予算特別委員会でも「夜間塾」について「営利事業であることは認めるんですよね?」と質問したところ「営利性はあるが薄いと認識している」との答弁。「薄い、ということは営利ですね?」「営利性が薄いので営利事業ではない」「ええ~~っ??」(ここで時間切れ)

 こんな屁理屈がまかり通っている教育委員会の現状は目を覆うばかりです。区立に子どもを通わせている親としても、許せません。

 【和田中夜間塾問題では、雑誌『世界』4月号「和田中「夜スペ」何が問題か」(藤田英典氏)に松尾ゆりの教育委員会傍聴記などが引用されました。また『週刊金曜日』3月7日号にもコメントが掲載されました。】

 傍聴ありがとうございました!
「和田中についての一般質問ほんとに良かったです。思っててモヤモヤしてたことを、すべて明快な言葉にして頂き、スカッとしました。特に最後の教育委員会批判、委員長の丸田さんによーく考えてほしい。教育委員は杉並の教育に対する責任と情熱を取り戻し、闘ってほしいです!」(Tさん)


わくわくの日々

●イラク戦争開始からこの3月で5年がたちました。破壊され尽くして今も軍事衝突が続くイラク。イラクから引くに引けないアメリカはサブプライムローン問題で経済的にも破綻しつつあります。自衛隊をいまだにイラクに派遣したままの日本では、基地の米兵による犯罪が続いています。日本は自立しなくては。

●区議会のホームページから本会議が動画で見られるようになりました。意外な効果として、これまで野党の質問には絶対答弁しなかった区長がやむなく答弁に。区民に「見られている」ことがやっぱり一番大事です。

●TV朝日のバラエティ『女神のアンテナ』で松尾ゆりの活動の様子が紹介されました。「偶然テレビをつけたら松尾さんが出ててビックリ」「大変なお仕事なんですね。がんばって」など多くの方から感想をいただきました。ありがとうございました。

●2008年4月から杉並区で一斉にごみの分別が変わり、混乱が起きています。我が家の集積所でも最初の週は大量の取り残しが出ました。清掃リサイクル委員会で「もう少し時間をかけて分別変更を徹底していかないと混乱するのでは」と指摘してきた通りになりました。

●さらに問題なのは「家庭ごみの有料化」。今年度から検討が始まります。

●金銭負担も問題ですが、「ごみを排出する人が悪い。ごみ問題は個人責任」という考え方が間違っています。ごみになるものを作らないよう企業に求める「拡大生産者責任」をもっと厳しく追及すべきです。


沖縄の暴行事件に抗議!


松尾ゆり

 2008年2月10日、またも沖縄の米兵による少女暴行事件が起きました。松尾ゆりは米大使館などへの抗議行動とデモに参加しました。米大使館の過剰警備にはびっくり。どこの国の警察なのか!? 「事件の根絶には米軍基地の撤去しかない」という沖縄の女性の訴えに全く同感です。