
わたしたちがめざす新しい杉並区政
●2010-06-22
山田前区長の突然の辞任により11年の山田区政が終わり、新しい区長が選ばれようとしています。今こそ、区政を一新し、区民が主人公のまちに変えていくべきときです。
この文書は、「杉並わくわく会議」のメンバーと協力者の皆さんの共同作業として、4回に及ぶ討論を通し、現時点で私たちが考える「新しい杉並区」像を描いたものです。
ここから出発して、区政を私たちの手に取り戻し、ともに新しい杉並区をつくりあげていくことを、区民の皆さんによびかけます。
区民が主人公のまちへ
- 住民自治にもとづき、住民が主体となって、知恵を集め、じっくり討論できる機会を十分にもうけ、その内容を反映させた、新しい杉並区基本構想を制定すること。
- 形骸化している各種審議会、協議会のあり方を改め、その委員選考にあたっては選考基準を明らかにするなど透明性を高めること。また、行政情報の公開を進め、事業の計画段階から区民に十分な情報提供を行い、区民の声が区政に反映する仕組みをつくること。
公的責任にもとづく質の高い区民サービス
(1) 適正な職員配置と行政の質の確保
- 行き過ぎた職員削減と民営化を見直し、適正な職員配置を実現し、直営で行うべき事業は直営に戻すこと。とりわけ、偽装請負を疑われる民間委託の職場には早急な改善を行うこと。
- すべての区民に必要十分な行政サービスを提供できるよう、「小さな政府」論に与せず、適正な規模の自治体組織と必要な予算をきちんと確保すること。
- 職員が行政サービスの現場で区民と対話し、協力しあって事業の改善と充実を実現できるよう、余裕をもって働けるようにすること。区民の立場に立つ誠意ある職員を育て、確保すること。
(2) 公契約条例の制定
- 公契約条例を制定し、委託企業の適正利益と適正な労働条件を確保すること。区が委託先労働者にも雇用者としての責任を全うすること。
福祉・保育を急いで充実する
(1) 高齢者福祉の充実が急務
- 特養、グループホームなど高齢者施設の増設とあわせ、区独自の在宅介護サービスの拡充を行うこと。
- 高齢者在宅介護と医療の連携を進めること。また認知症対策の研究・啓発を進めることと平行して家族支援を強化すること。
- 国に対して介護保険等の制度見直しと充実を求めること。保険料等の低所得者の負担軽減を進めること。
(2) 保育園・学童保育の増設で子育て世代に安心を
- 認可保育園を大量に増設して、区の責任で公的保育を充実させること。
- 危険な「詰めこみ」になっている学童保育の環境改善を緊急に行うこと。すなわち、登録制を定員制に戻せるよう、学童保育の増設と職員の増員を行うこと。
- 保育としての質を確保できない「子供園」事業は即刻募集を中止すること。
- 国が進める保育施設の規制緩和と安易な幼保一元化には反対すること。
(3) 障害者サービスの充実
- 障害をもつ人も、まちで自立して暮らせるよう、サービスを拡充すること。特に、グループホームの建設推進と職員配置への支援を行うこと。また、区の移動支援事業では、量的な拡充とあわせて利用者の使いやすい制度への改善を行うこと。
(4) 生活保護対策の充実
- 生活保護の必要な人の増加に対して対策を充実すること。職員の増員できめこまかな対応を行うこと。
(5) 福祉人材の育成・確保
- 福祉の職場で働く人の低賃金を解消し、人材を確保するため、区として補助金や人材育成のための研修を保障すること。
雇用問題、産業政策に真剣にとりくむ
(1) 雇用不安の解消と住宅の確保
- 深刻な雇用不安にさらされる区民、特に若者の雇用確保対策を強化すること。
- 若い人たちが杉並に住みつづけられるよう、公営住宅の増設や家賃補助など住宅政策を充実すること。
(2) 産業振興、特に商店街対策を行うこと
- 放置されてきた産業振興計画の改定にむけ検討を再開すること。まず、産業実態調査を実施すること。産業振興は雇用創出の面からも重要な政策として位置づけること。
- 区内産業としての比重が大きい商店街対策を重視すること。商店街振興のための空き店舗対策など、検討と実施を進めること。
住民自治にもとづき杉並らしいまちづくりを
(1) 住民との対話で時代を超えてすみよいまちをつくる
- 開発優先、環境破壊のまちづくりをやめ、住環境と景観を守るため、高さ制限など開発規制を強化すること。
- 杉並区の誇る自然環境調査をいっそう充実させるとともに、調査結果をまちづくりに活用し環境と生物多様性を守るための体制を整えること。
- 外環道計画の抜本的な見直しと玉川上水の保全を喫緊の課題として取り組むこと。
- 「杉並病」被害者の健康調査と救済、また、公害の経験を今後の環境対策に活かしていくための、原因究明と記録の保存を行うこと。
(2) 杉並らしいのびやかな教育の復活
- 教育行政への区長の介入を一掃し、教育委員会の独立性を確保するため、教育委員の準公選制を導入すること。
- 「つくる会教科書」、「師範館」など山田区政時代の右翼的な教育政策を即刻やめること。
- 教育における競争原理、市場原理の支配をやめ、杉並らしいのびやかな教育を復活させること。学校希望制は原則廃止すること。
- 和田中地域本部の特定企業との結びつきをやめさせ正常化すること。
※和田中関連記事≫
(3) 社会教育の活性化と市民文化の創造
- 図書館、科学館、博物館など社会教育施設を充実させ、もっと活用すること。区民の主体的な社会教育活動の活性化により、杉並独自の市民文化がつくられていく創造的なまちをめざすこと。
- 区民の活動は行政の下請けであってはならず、区の協力は区民の自由な創意にもとづく活動への支援と位置づけること。
(4) 平和と多文化共生、女性政策
- 「原水禁運動発祥の地」としての杉並区は平和政策でもっと積極的に発信を行うこと。
- 住民が国籍にかかわらず地域で共生できるよう、多文化共生の政策を積極的に進めること。特に外国籍の子どもたちの教育への支援を急ぐこと。
- 山田区政のもとで冷遇されてきた女性政策を、区民と協力してもういちど再生させること。
以上
「杉並わくわく会議」と有志による区政政策プロジェクト