松尾ゆり
わくわくの日々

文教委員会
指定校変更制度について

●2015-09-26

指定校変更制度とは:区立小中学校は住所によって通学する学校が決められています。いろいろな事情で指定された学校以外に行きたい場合に、教育委員会に事情を届け出て認められるケース=事由が定められています。1~8号までの事由が認められますが、今回は7号事由の運用の変更について報告がありました。

(松尾)
 学校希望制度については、2008年4定一般質問で希望制の廃止を求め、質問した。当時は、地域との結びつきが薄れてきていること、また、校舎が新しいとか、「学校が荒れている」という風評、などによって、学校が選ばれているような事例が増えていたこと。また、そのことにより学校規模の変動が大きくなり、ひいては、学校運営に大きな負担となっていることを指摘した。当時は、この指摘に対して「学校希望制度はおおむねうまくいっている」と教育委員会は答弁したが、3年前、学校希望制度の廃止に至る報告書の中では、私の指摘したことは、教育委員会からも問題点として出され、結果、学校希望制度は廃止していくという方針に変わったということだと思っている。それは、こうした問題点について、教育委員会も改善の必要を感じたということだと思う。

 ところが、いよいよ全面的に希望制度が廃止されようというときに、この7号事由により、結局希望制度が温存されるのではないかという危惧を感じ、質問をする。以下3点ほど質問する。第一に、「特色ある教育活動」を選ぶということになっているが、「特色ある教育活動とは具体的に何か?

(整備教育センター統括指導主事)
 特色ある教育活動については、各学校において、たとえば環境教育やキャリア教育など学校に求められて中で、その核となるもの。教育課程にも位置づけ行っているもの。

(松尾)
 ちょっと意味がわからない。環境教育とか、キャリア教育か、どの学校でもやっているし、また、校長先生によって、環境教育に力を入れる方、キャリア教育に力をいれる方、いろいろあると思う。また、校長先生が変わると学校の方針が変わるケースもある。「特色ある教育活動を選ぶ」というと一見よさそうだが、実態は変わっていくし、どの学校でもある程度の特色はそれぞれ出している。「特色ある教育活動」を選ぶ、ということはいまひとつぴんとこない。

 第二に、審査の方法。審査基準を拝見したが、主観的な判定にならざるをえない感じをうける。上限以上の人数が来た場合、点数の高い順に決めるのだと思うが、そもそもどれほど意欲的かとか、書類上の審査で順位をつけられるものなのか。

(学務課長)
7号事由についての申し立ては、平成26、27年とやってきているが、そこで用いた審査基準よりわかりやすい、公平性のあるものとなっていると考えている。新1年生の保護者にも周知していくので、ご理解いただけるものと考えている。

(松尾)
 第二次審査は志望先で行われるということだが、基本的に、学校としては子どもが増えてほしいので、希望してくれれば、ありがとう、といって合格にしちゃうんじゃないか。それから、不登校とか、いじめとかの問題が小学校であったということは、当然学区の中学校、隣の中学校に伝わっている可能性が高い。個人をマスキングするというが、いろんな情報経路、出した文章の内容、もしかしたら筆跡などから、子どもが判別されることもありえなくはない。その場合に、受け入れ側の学校が排除してしまう危険性はないのか。

(次長)
 学校希望制については、平成14年度の発足当初からさまざまな意見をいただいた。そのなかで、平成23年度にPTAの関係者、CSとか地域本部の関係者、たくさんの方に参加いただいて、さまざま検討して見直しの方向が固まっていった。今後、学校希望制度のよかったところ、志望理由を具体的に整理して、一定程度応える道を残していくという検討会のまとめにそってこのかん検討してきて今に至っている。

 志望した熱意とか切実さというものを仕組みの中で判断してやっていくということ。テストでマルかバツかというものではないので難しさもあるが、学校の恣意的なことにならないように、これは、校長会等通じて共有していくし、適切な運用を行っていく。

(松尾)
 三番目に理念をお聞きしたい。希望制度は一応全面廃止ということになるが、この7号事由がかなり裁量の広い形で残され、学校を選ぶ、という形の学校進学を残していくのか。今まで、選ばれない学校、子どもが減っていく学校は、地域や学校の努力が足りないんじゃないかと、ともするとマイナスの評価を加えられる部分があったが、そういった負の面も踏まえて、ある程度学校を選べるという部分を残していくという考え方なのかどうか。

(学務課長)
 指定校変更制度というのは、基本的に住所地の学校、指定された学校に行っていただくという大前提があり、そのうえで、個々のいろいろな事情に応じて、転居して前の学校にいきたいとかきょうだいがいるとかの事情に応じて教育委員会が認定した場合にかぎって認めるというもの。希望したからすぐ認めるという制度ではない。そのうえで、今までのここの学校に行きたいという子どもたちの意欲を一定程度認めて受け入れようと今回制度化したもの。

(松尾)
 たしかに中学生で、この学校にはこの部活がない、という話はよく聞くので、ある程度、そういった選択の余地が残るのはやむを得ないと思うが、区は、地域と学校が協力しあって教育活動を盛んにしていくという考え方に基づいており、学校の良しあしを保護者が選んであげて、よりよい教育を、ということではなく、どこの学校にいっても、地域と学校が協力しあって、よりよい教育を作り上げていく、そういった姿勢を教育委員会自らも示していただきたいと思う。そういう意味で、あいまいな「特色ある教育活動」という項目ではなく、たとえば中学生の「特定の部活を志望するため」といった明瞭な理由のみ認めるということも考えられるかと思う。

(次長)
 前段の部分は委員の思いと全く同感。こういう制度のあるなしに関わらず、学校が開かれ、魅力を高めていく不断の努力をしていくことは非常に重要。そのうえで、後段の部分だが、これまでの学校希望制度は、理由のいかんを問わず希望できた。この7号事由が全く違うのは、具体的な志望理由にもとづいて、特定の学校を希望する道も選択肢としてあるということなので、これまでよりは確実に整理してきていると思っている。今後の運用の中で適切な制度運用になるよう、ひきつづき学校を支援して、教育委員会としてもしっかりやっていきたい。

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