決算委員会
児童館、ふれあいの家、失語症について
●2015-10-09
決算特別委員会3回目は福祉関係なので、児童館の再編について詳しく聞きました。「継承発展」などと言っているが、児童館という器がなくなれば、分散された事業は結局縮小されます。区は「児童館廃止」という言葉を避けて「継承・発展」と言い換えていますが(「継承」じたいが「元のがなくなる」という意味を含んでいると思うが)、来春にも1館目が「廃止」されることを確認しました。福島原発事故以来「事故」じゃなく「事象」という言葉が妙に目につきますが、言葉は正確に使いたい。「事故」は「事故」。「廃止」は「廃止」。でないと議論ができない。
<以下質問・答弁の要旨>
児童館の再編について
(1)放課後等居場所事業
(松尾)
児童館の再編についてうかがう。まず、放課後等居場所事業。最初に再編の対象となる和泉学園および現在改築検討中の桃二小において、活動スペースはどのように確保されるか。
(子どもの居場所づくり担当課長)
具体的にはこれから学校と詰めていく。和泉学園は開校したばかり。学校とこれから検討していく。
(松尾)
専用スペースはない?
(子どもの居場所づくり担当課長)
専用ではないが、学校には多々活用できる場所があると思う。学校と協議してきめる。
(松尾)
今後再編対象となる児童館についても、学校内に専用スペースをもうけないのか。
(児童青少年課長)
学校改築などで、多目的室など整備されていく。こうした、学校施設として使いながら放課後に使えるような部屋をつくっていく。
(松尾)
一昨年11月に児童館で行われた説明会の説明資料のQ&Aの6番を読み上げてください。
(児童青少年課長)
「小学校で実施する放課後等居場所事業では、これまでの児童館のように子どもたちが自由に遊べるのですか。」「これまで杉並区の児童館が果たしてきた機能で、『誰でもがいつでも自由に利用できる』ことは大切にしていきたいと考えています。学校内での実施にあたっても、この点を継承していきます。」
(松尾)
今、とても大切なことをおっしゃったと思う。学校内の施設を「いつでも自由に」利用できるのか。
(児童青少年課長)
私たちが目指しているのはこういうもの。ここへむけてモデル実施をしている。
(松尾)
課長の気持ちはとてもよくわかるが、実際には学校をいつでも自由に使うのは大変難しいのではないか。また、児童館は学校がある日に学校に行かず朝から来ていても、事情があれば理解してもらえる場所。学校ではそうはいかないのではないか。
(児童青少年課長)
放課後等居場所事業は基本的に放課後、また夏休みなど長期休業期間中が考えられる。そのなかで、現在児童館再編のなかで整備をはかる「(仮称)子どもセンター」、また地域コミュニティ施設など、子どもたちの多様な居場所を確保していく考え方。
(松尾)
児童館は図書室、音楽室、図工室などを自由に利用することが可能ですが、学校はどうか。具体的に和泉学園の場合はいかがか。
(児童青少年課長)
学校との協議をしていくが、学校にも図工室、音楽室などがある。特別教室の使い方も含めて協議していく。
(松尾)
区は「学校という広いフィールド」と説明してきたが、使うのは大変難しいのではないか。小学生の一般来館を代替するはずの放課後等居場所事業はきわめて限定的にしか利用できないものであると指摘する。
(2)ゆうキッズ(乳幼児親子居場所事業)
(松尾)
ゆうキッズについて。計画では「学童クラブ移設後の学校などを利用して現在と同規模の実施場所を確保」とある。しかし、現実に学校で受け入れることはできるのか。
(児童青少年課長)
第一次プランでは学童クラブの午前中を利用したゆうキッズは計画していない。小学校区単位で整備していく方針。学校を使うのは1つの方策で、必ずそれを利用するということではない。
(松尾)
いまのところ難しいというが、今後の可能性は。
(児童青少年課長)
さまざまな施設を活用していく。必ず学校を使うという考え方ではない。
(3)中高生の居場所
(松尾)
次に中高生の居場所について。和泉児童館は区内でも最も中高生の活動が活発な館。特に玄関を入った正面にある中高生スペースは居心地よさそうで目をひく。この中高生スペースは、改修になったとき存続されるのか。
(児童青少年課長)
改修の中で中高生が利用できることも想定していく。いま現在の部屋がそのまま使えるかは施設の有効活用を考えながら。
(松尾)
あのスペースがとても感じがいいのでぜひ残してほしい。また、音楽室も中高生が活発に利用している。音楽室は存続できるのか。
(児童青少年課長)
音楽室は楽器演奏などに使っているが、防音に課題。
(松尾)
防音も配慮して使い勝手がいいようにしてほしい。中高生委員会も活発だが、継続するのか。
(児童青少年課長)
中高生の新たな居場所が確保されるまでの間、中高生の利用を継続していく。そのなかでは中高生委員会も継続していきたい。
(松尾)
中高生がまきこまれる事件があいついでいる中、杉並は和泉児童館も含め、中高生の充実した居場所があり、救われている。今後の再編の中で居場所が減少することがないように。
こうして再編後の姿を検討すると、現在の事業よりは縮小されることを痛感している。しかも個別の事業だけでは割り切れない「場」の機能も児童館にはある。乳幼児から中高生まで通える児童館は、子どもの成長という時間軸でみていくことができ、子どもたち自身も成長を自覚できる場所。年齢によって事業を輪切りにすべきでないことを指摘する。
(4)今後の手続き
(松尾)
児童館の最後に、今後の手続きについてうかがう。今後、和泉児童館が「(仮称)子どもセンター」に再編される場合に、条例上定めなくてはならないが、どのような手順になるか。
(児童青少年課長)
基本的には新たな施設として条例設置。そのうえで和泉児童館としては廃止。
(松尾)
児童館について区は「廃止」ということばを避けているが、条例上は廃止せざるをえないことを確認する。関連して、「(仮称)子どもセンター」についての条例が提案された場合、児童館条例の目的と役割はその条例にも引き継がれるか。
(児童青少年課長)
「(仮称)子どもセンター」の主目的としては乳幼児向けということになる。そのうえで、子ども子育て支援法にもとづく地域子育て支援事業、利用者支援事業、一時あずかり事業などを行っていく。それとあわせて小学校の放課後等居場所事業や学童クラブの「親」館機能、地域の活動ということになっていく。こうした目的を明確にしていくが、児童館という目的で設置するものではない。
(松尾)
児童館は児童厚生施設として法的に位置づけられているが、(仮称)子どもセンターは?
(児童青少年課長)
現在のところどちらにするかはっきりしているものではない。子ども子育て支援法にもとづく子どもむけの施設として整理する。
(松尾)
現在の児童館の事業が後退することのないよう、法的にも充実したものとしてやっていただきたい。
ふれあいの家
(松尾)
ふれあいの家とは何か。いつ、どのような目的でつくられたものか。
(高齢者施策課長)
国のゴールドプランにもとづき、高齢者の在宅サービスを推進するために高齢者在宅サービスセンターとして整備した。当時は在宅サービスの拠点として、デイサービスほか、配食サービス、介護者教室など。平成2年から。現在17か所。
(松尾)
友人から電話があり、お母様が通っている阿佐ヶ谷北ふれあいの家が来年春で閉鎖されるときいた。ほかの方からも、とてもいい施設で継続できないのかと言われた。法人に問い合わせたところ区との契約の関係で、最終的に決断してしまったとのことだった。閉鎖にいたる経緯は。
(高齢者施策課長)
介護保険が始まる前に、在宅サービスの拠点を緊急に整える必要があった。そのなかで区立施設だけでは難しい、特例的な手法で民間借り上げ型で整備したもの。契約期間が終了ということでお伝えした。デイサービスの継続については法人の判断。
(松尾)
区としては長期支援してきたことには感謝しているが、この施設がなくなることはショックなこと。今後、残る16のふれあいの家は継続するのか。
(高齢者施策課長)
あと3か所民間借り上げ型。区立施設のふれあいの家は、介護保険制度改正にともなう総合事業も視野にいれて地域ぐるみで対応していく。
失語症の方への支援
(松尾)
最後に失語症の方への支援について要望をまとめて2点。
第一に会からの要望として、言語療法士さんの派遣を区が補助していただきたいという点。第二に、失語症ついての啓発を進めていただきたいという点。
(障害者生活支援課長)
失語症の普及啓発にかかわる取り組みは、具体的には1月に区内の失語症支援の団体の協力で、介護専門支援員や相談支援員を対象に、失語症を含む高次脳機能障害のコミュニケーションの研修を予定している。
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