
あんさんぶる荻窪の交換は等価交換ではなかった
●2016-03-04
2016年3月3日杉並区議会予算特別委員会の最初の質問は、あんさんぶる荻窪の財産交換に関連するものです。税務署があんさんぶるに引っ越すため、あんさんぶるにある施設が玉突きで引っ越すための施設を建てなくてはなりません。そこにからくりがありました。この財産交換は等価交換だとばかり思っていましたが、等価の財産交換をした上に、さらに税務署の行先を区が保障しないと、この交換はできません。すなわち負担つきの等価交換とでもいいましょうか。これは賛成、反対にかかわらず、基本的な情報なのでここにもとづいて考えなければならないと思い提起したものですが、最後の部長の答弁は論点をそらしています。それとも本当にバランスシートがわからないのだろうか。(以下、質疑の要旨)
(松尾)天沼三丁目複合施設の複数年度にまたがる予算のうち、区債はどの程度活用するのか。
(斉藤財政課長)今年度については5億4800万円予定している。来年度については債務負担行為31億円のおおむね70%ぐらい。
(松尾)子ども子育てプラザについては割合が大きい?
(斉藤財政課長)子ども子育てプラザについては児童厚生施設ということで、上限80%まで借受ができる。
(松尾)補助金という話もあったが、可能性があるのか。
(斉藤財政課長)正確な数字はいま所管で都、国と調整中。プラザについては一定程度補助金が見込める予定。
(伊藤児童青少年課長)児童厚生施設の設置にあたっての補助、子ども子育て3法による事業の設置補助がある。国の補助の中で最も有効な策をとっていく。
(松尾)全体としての建設費が39億円くらいといわれている。うち30億円くらいが起債で賄われて将来的にはこれを区民負担で返済する。現在の子どもたちは荻窪北児童館が廃止され居場所がなくなって、しかも大きくなるとこの借金も担う。その観点から、このスキームの考え方を質問する。
先日の総務財政委員会でキャッシュフローについての試算が出た。あらためて原点にかえっていろいろ考えるきっかけとなった。
まず6300平米の用地獲得という原点に帰った時に、区の説明では、財産交換によるしか取得の方法がないというが、これをたとえば、現金で買うとなったときにはどういう問題が生じるか。
(福原施設再編担当課長)想定としては、荻窪税務署が建て替えをしたのこりの土地ということになると思うが。6300平米(全部)ということになると、税務署建て替えを全く考えないということになる。現金で買うほかない。
(松尾)税務署の問題が出てくるから6300平米を全部買うのは不可能ということ。お金で買いたいと思っても税務署があるから、税務署がどこかに行ってもらわないといけない。移転先を見つけてあげなければいけない、それがあんさんぶるということになったと理解している。
他方、税務署が現地で建て替えをして残りの地面に特養を建てるという案もあるが、その場合にはどういう問題が起きるか。
(福原施設再編担当課長)税務署が現地建て替えを行った残りの土地ということになると、その土地に特養を建てられるのか、国がほかの用途に使うのか、全く未定となるので。
(松尾)建てられるとしても面積が狭くなる、200床が建つかどうかわからないという話。
私どもは、交換と言われて、当然等価交換だと思ってきたわけだが、いま話していると、条件がついている。税務署の行く先をなんとかしないと、この交換はできない。
あんさんぶるの交換について、等価交換のように見えるんだけれども、実は、国は税務署の建て替えしなくていいメリットが、見えないんだけどある。
そのメリットがどこについてるのかなと考えたところ、はたと気が付いた。
天沼三丁目複合施設を建てて、空いたところに税務署が入る。これをやらないと交換は成り立たないですね。
(福原施設再編担当課長)税務署の建て替えが解決できるということではおっしゃるとおり。
(松尾)最初から、なんで新しい建物を(天沼三丁目に)建てなきゃならないのか不思議に思っていたが、要は、区が区の負担で税務署の移転先を確保しないと成立しないということをいま確認した。
Win-Winの交換でお互いにメリットがあるという。しかし、資産の総額、金銭的な負担を考えると、区の持ち出しによって成り立つ、逆にいうと持ち出さないと成り立たない交換だ。
私もうかつだったが、天沼三丁目の施設を建てないと交換が成り立たないということは、言ってみれば、税務署が建て替えるのを肩代わりしてあげるようなもの。本来国家予算で行う建て替えを、区の負担で行うということ。そうなると、地方自治体の最小の経費、というところを逸脱するんじゃないかと思うが。
(白垣政策経営部長)先ほど来聞いていたが、論理展開が私どもには難しい。等価交換ではなくて区が税務署を肩代わりして建て替えてあげるという指摘だが、あんさんぶる荻窪を交換して、6300平米の用地をかわりに手に入れる。資産として残る。委員はかねてから120億とか130億かかるとか言っているが、それは点でみた場合。線で、長期的なスパンで見れば、決して損するということでもないし、資産が手に入るというところを考えれば、国に代わって税務署を建て替えてあげる全く損な交換などということはありえない。
(松尾)資産の交換は対等だ。お金で払ったとしても等価。だけど、そのうえに余分な事業を我々はやるんだということ。それをやらないとこの交換は成り立たないということを確認した。もっと早く気がつけばいろいろ論理展開できたが、今更だが、みなさんもよくよく考えていただきたい。

- あんさんぶる荻窪の交換は等価交換ではなかった(予算特別委員)(2016年3月)
- あんさんぶる荻窪財産交換の問題点がぞろぞろ(総務財政委員会の発言)(2016年3月)
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