松尾ゆり
わくわくの日々

「保育緊急事態宣言」で公園を保育園に転換する件など審議

●2016-05-18

 新年度が始まって間もない2016年4月18日、区長が記者会見を行い、今年度の保育園増設数を1000名からいきなり2000名に倍増すると宣言しました。そのために、児童公園が廃止される本末転倒の事態です。つい先日今年度予算を審議したばかりの区議会は、2か月とたたずに臨時会を開き補正予算を審議することになりました。5月17日には委員会で、18日は本会議で審議が行われましたが、とりいそぎ、本日18日の本会議での私の討論を掲載します。(これは原稿ですので、実際の発言と一部異なります)

補正予算についての意見

(2016年5月18日杉並区議会本会議)

 議案第41号補正予算(第2号)について意見を述べます。
 本議案は、保育園増設のための緊急対策の予算です。関係者の努力には頭が下がります。しかし、今回のプランが総合的に見て、本当に子どもの福祉を進めるものなのかという根本的な疑問があり、賛成することはできません。第一に、委員会でも多くの指摘がありましたが、子どもの遊び場である身近な公園・緑地を保育園用地に転換することへの疑問です。

 子どもは保育園だけで育つわけではありません。体を動かして遊べる場所は、杉並区のような都市部だからこそ、公的に確保する必要があります。公園では保育園の子どもも遊んでいます。地域のみどりが減り、環境が悪化することも子どもの成長にはマイナスです。本議案には公園の構築物の解体・撤去の費用が含まれ、これを認めることはできません。

 第二に、保育の観点から見ても、目標のたてかたにムリがあることです。待機児解消は皆の願いですが、「待機児ゼロ」は保育行政の目標の一部にすぎません。2000人の保育定員には短時間勤務の方も含めて、おそらく700~800人の保育士が必要となります。それだけの人員を来春までにいっきに確保することは非常に困難ですが、区は事業者まかせにしています。結局は保育の質低下、さらには事故にもつながりかねません。目標でムリをすることは、保育現場にムリを強いることになります。

 第三に、中長期的な見通しがないことです。今年度中に2000という目標の先は全く示されませんでした。私は都市計画公園への保育所設置の特区についてただしましたが、着手時期は全く未定とのことです。来春までにできるものだけしか対象にしないのでは、その先もしばらく高止まりするだろう保育需要に対応できません。待機児童の増加にあわてふためくのでなく、まずは腰を据えて中長期の計画をたて、着実に増設をはかっていくべきです。

 第四に、進め方の問題です。私たち区議会議員にも、計画全体が知らされたのはわずか1週間前です。まして住民の皆さんは、当該地域の方でさえ、ほとんど計画を知らされていません。しかも時間がなく計画修正はできないと区長はおっしゃる。これでは理解が得られません。

 以上の理由をもちまして、本議案には、大変残念ですが、反対といたします。

総務財政委員会での質疑要旨

(2016年5月17日杉並区議会本会議
委員外議員として質疑を行いました。委員の質疑すべてが終わって初めて許可されるので、5時をまわりました。)

(松尾)今回の補正予算、保育園をふやさなければいけないということに反対する人はいないと思う。私も子どもたち3人保育園にお世話になって、保育園に入れないつらさも知っているので、目標たてて進めていただくことじたいはよいと思う。また、認可保育園を整備することが必要だということも、私は一貫して訴えてきたので、認可中心に進めていく方針に区が転換したことについてはいいことだと思う。
 にもかかわらず、今回の提案に関しては、2000名を来春までにやることに非常に無理があると思うし、きょう一日ずっと皆さんが追及されてきた大きな問題があると思う。質疑の中で、この間の区の対応にまずいところもあったと、率直に反省の弁も聞かれたが、そういったことのツケが区民、まして子どもたちに回るのではいけないと思う。その立場からお話させていただく。
 先ほどから問題になっている、井草センターと向井公園のことを中心にうかがう。私も下井草に住んでいる。この2つをかかえる桃五学区は隣の学区で、すぐに相談がきた。地域には衝撃が走った。この間、地域にも説明してきたというが、どのような対応をしてきたかをうかがう。

(堀川地域課長)地域区民センターに関しては、協議会委員、町会、自治会、防災会にご意見をうかがった。近隣の施設にも説明したところ。

(松尾)協議会、町会の方々に話をしたのはいつごろなのか、近隣の施設とは幼稚園のことか。

(堀川地域課長)4月、区長が緊急の対策を発表した18日以降。19日から動き始めた。

(松尾)町会、自治会に話をするのは当然としても、そこを使っている子どもたち、それから、保育園も使っているということだが、保育園への情報提供はあったのか。主にはうわさなどで騒ぎになっているのが実態だと思う。町会の幹部に話をしてもなかなか一般の会員まで伝わらないのは実感としてわかるはず。そこに説明をしてもどうなのか。
 先ほど、ここを選んだのはなぜかという質問があり、道路付け、広さという説明があったが、ほかに、この向井公園を選んだ基準は?
 地域の方によれば、この公園こそは一番なくしてはいけない公園。児童館に隣接しており、ボール遊びができる。小学生が非常によく利用している公園である。なぜここを選ばれたのかというのは、みなさん非常に疑問に思っている。

(中村保育施設整備推進担当課長)選定の理由は、先ほどから答弁していることに加え、隣地に区有地があり代替地として使うことができることも大きな理由。

(松尾)地域の偏在という話も出ているが、結局のところ、道路付けがいいとか平坦であるとか、土地が正形であるとか、そういった理由から選ばれているようで、利用実態が考慮されていない。
 地域の人にきけば、他の公園、例えば、お母さんたちに聞けば、どっちかと言われたら銀杏稲荷だね、とか、そういうご意見もあると聞いている。そうした地域の意見や利用実態が反映されていないと感じる。
 ついでに言うと、先ほど利用実態を調査しているかという質問に対して、答弁は非常に実態がわかっていないと思った。きょう傍聴の方もいらしている。あらためて確認させていただいた。先ほどの話では向井公園は5~7人利用しているのを見たとか、センター前の広場は子どもたちがするっと来て、ちょっと遊んで帰る、みたいな印象だったという話もあったが、時間帯とか曜日によって相当違う。学校が終わったあとの夕方4時とかの時間帯は子どもたちが相当な人数、向井公園や原っぱで10人、20人の規模でかなり遊んでいるとのこと。また、向井公園に関しては、隣が児童館なので、児童館の学童クラブの子どもたちもここを使用している。保育園卒園したら、今度は学童クラブですから、その学童クラブの子どもたちの遊び場としてもここは重要。
 向井公園、井草センターについて、地域の利用実態と、役所が把握しているものと乖離があると感じる。

(高沢保育施設担当課長)利用実態については、占用許可などの状況も確認して、青少年委員会の子ども運動会とか保育園の防災訓練とか餅つき大会とか、ウォークラリーの会場、児童館のイベント、駐輪場、球戯場、また現場に私も何度も行った。把握していないということではなく、そういう実態は我々も重々把握している。

(松尾)把握しているのなら、こうした大勢の方が実態している場所について、地域にろくに知らせもせずに保育園転用を行うということを決めるのは不適切ではないかと思う。
 今朝ほどから話を聞いていて、この2つの公園について、また久我山東原公園について、利用者が多くてどうなのだろうという話のなかで、代替地、あるいは計画の一部変更ということも話し合いの中で変更する余地があるのかなと思えるような答弁もあるが、実際のところどうなのか。

(田中区長)出した計画については、これをやりきらないと、来年の春560名の待機児が出るという予測があるので、この計画についてはなんとしてもご理解をいただいて実行をするということが私たちの立場。
 全く使われていないところというのはないと思う。どこもそれなりの役割を果たしている施設。それはそれで地域に貢献しているし、皆にいろんな思いで愛されて利用されてきた。ただ、560名の待機児、あるいは今後も保育需要が高まってくるだろうということを考えたとき、ゆずりあいという気持ちでご理解をいただくことも大切なことではなかろうかと思う。どこも、使っていただいているというところ。向井公園にしても、遊び場として隣地については購入してあり、代わりの用地として活用できる。それから、井草地域区民センターについては西側に公園がある。久我山の公園についても、全部保育でクローズにするという手法をとるわけではない。
 ただ、それぞれ今まで使われているところが一歩も譲れないということになると、この時点で来年の待機児童560名ということは、別の手法で解消するとしても100人単位で解消するのは容易なことではないと思う。500名以上に待機児が膨れ上がるということになると取り返しがつかないことになってしまうので、何としても、ここは計画どおり、ご理解をいただきたい。つくるに際して、区民の皆さんのご要望の中で、実現できることについては可能な限り真摯に誠意をもって対応していきたいと思う。

(松尾)全面的に中止とかいうことになると、区長のおっしゃるように難しいかもしれないが、代替地とか設計、どういう活用ができるのか、ということについて、今後説明会の中で話し合い、多少の変更を加える余地があるのかどうか。先ほどから聞いていると、ていねいにやっていくとか、地域の人の意見を聞いてとおっしゃっているので余地があるのかと思われるのが。

(高沢保育施設担当課長)これまで答弁しているとおり、可能なことはきちっとやる。ただ、限られた時間もある。

(松尾)多少の余地があるんじゃないか、いや、時間がないんでということなんですが、どのくらい時間がないのかを教えてほしい。

(高沢保育施設担当課長)間違いなく8月から工事に入る、それから事業者の選定については7月の頭には決まっている、ということ。

(松尾)7月の頭くらいで、多少の時間はあるというような話があったが、そのかんに話し合って、若干の位置の変更とかたてつけの変更とかは可能なのか。

(中村保育施設整備推進担当課長)これから住民説明会で話すが、日照の関係とか、園庭はどこまでとか、建物はとかは、周辺の皆様のご意見をいただくと思うので、できるかぎりということにはなるが、対応させていただきたい。

(委員長)15分になったのでまとめていただきたい。

(松尾)聞きたいことは山ほどあるが、最後に違う観点から1問だけ質問させていただく。さっきも話に出ていた都市計画公園の話だが、すでに特区が認められて保育園建設を始めている区もあるとうかがうが、杉並区としては特区申請はいつごろ、どんなスケジュールで進めるつもりか。また、どのくらいの時間がかかるか、例えば来年の春は無理としても、いつごろから始めて、いつごろまでにできると考えているか。

(高沢保育施設担当課長)世田谷については計画から3年後になされた。世田谷も荒川も何十万平米の公園の中ということで、杉並で可能なところはどこなのか、また、近隣も含めて調整可能なところはどこか、土木担当とも調整しながら、今後つめていきたい。

(松尾)いつからやりますかと聞いたのだが、未定ということでよいのか。それから、私は世田谷区に電話をかけてきいたが、世田谷の場合は、制度じたいの提案から始めているので、それと比較して、それほどはかからないだろう、1年半とかそのくらいで、できるかもという話を、個人的意見としてではあるがうかがった。できるだけ早く着手したほうがよいのではないかと思う。そのへんのスケジュール感をうかがう。

(高沢保育施設担当課長)これまでの議論もいただいているので、これについては慎重に、土木担当部との調整もあるので、できるところは計画していき、できれば保育課として詰めたい。

▲ページの上に

わくわくの日々

▲ページの上に