松尾ゆり
わくわくの日々

久我山東原公園の陳情について(質疑)

●2016-06-08

 保健福祉委員会の陳情審査のうち質疑の要旨です

【公園か保育園かの二者択一ではない】

(松尾)先ほど、陳情者から補足説明をうかがった。今回の陳情の趣旨として、保育園に反対しているのではない。公園を守りたいということで計画を見直してほしいということ。公園か保育園かという二者択一の問題ととらえると間違いで、子どもたちのためにどうやっていい環境をつくっていくかという問題。
 私も保育園に子ども3人がお世話になった。毎日近隣の公園にお散歩に行っていた。赤ちゃんでも公園に行くので、保育園にとって公園は必要。

【杉並区の対応は異例】

(松尾)今回、メディアで大きく取り上げられているが、今回の杉並の計画の特異さがなかなか理解していただけない。改めて感じることは、杉並区の今回の進め方は異例のやりかた。3月の区議会で議案の訂正、第一次補正予算と1000名に増やしたうえで今年度が始まった。ところが、4月半ばに区長が記者会見をしてさらに1000名ふやしたという異例の事態。しかも来春までにすべてをやるという。こういった手順がほかの自治体ではやらないような異例の手順だということ。

【他区の待機児対策】

(松尾)世田谷区に電話して、区長記者会見の内容をきいたところ、2211名の整備を予定しているが、認可で30園ぐらい。杉並区みたいに数字をみてあわてて出したものではなく、今年度当初予算。世田谷区の整備の状況をきいたところ、昨年度予定したが間にあわず今年度途中に開所できるもの、また、来年度当初開所できるものもあわせて2211とのこと。世田谷区は何年か前から進めてきて、住民の反対もありながら、やっと今年開所できるところもあると聞いた。計画的にやることが大事だと思う。

【「世田谷区のようになったらとりかえしがつかない」?】

(松尾)説明会の中で「世田谷区は待機児童が1000を超えていて、ああなったらとりかえしがつかない」と何度も聞いている。「とりかえしがつかない」の意味は。

(有坂保健福祉部長)世田谷と杉並では人口規模が違うが、あの数字が杉並区の現状となったときには、杉並の土地事情では補いきれないという意味。

【話し合う時間がほしい】

(松尾)いままで区がやらなかったことのつけが住民にまわっている。そのことを皆怒っている。保育園が足りないのはわかる。だからといって公園をなくしていいわけではないというのが今回の陳情の趣旨。杉並区の失敗のつけが住民におしつけられている。公園の問題を話し合う時間がほしいと住民は言っている。2000名にこだわるあまり住民の意思を無視して進めてはならないと考える。

(中村保育施設整備推進担当課長)ここから皆さまと検討を進めていくということになると来春に間に合わない。だからこそ理解いただくためにきちんと代替の場所を検討し準備を進めている。

(松尾)きちんとって、明示できることがきちんとじゃないんですか。明示できないのにきちんとやってますといえますか。

(有坂保健福祉部長)めどは立っている。ただ相手方のあることなので具体的に示すことができない。責任をもってやっていく。

(松尾)明示できないことはきちんとしていないということ。公園の存続を願う陳情者のみなさんにしてみれば白紙ということ。区のほうではなにか考えているかもしれないが、はっきりとこういうものがあるよ、それなら公園のかわりになるね、となって初めて代替地じゃないんですか。

【杉並区はこれまで丁寧に進めてきたのに】

(松尾)先ほど議案のなかで質問した馬橋保育園の移転、新築の問題で、大変丁寧な取り組みで住民の理解を得てきたときいた。25年に意思決定以来、来年29年の開所まで3、4年かけてきちんと手順を踏んで丁寧にやってきた。そういうやり方ができる杉並区が今回にかぎって、地域の方々の反対を押し切ってやろうとしていることが矛盾していると思えてならない。馬橋保育園の事業者公募から今日まではどのくらい時間がたっているか。

(高沢保育施設担当課長)昨年9月に選定委員会設置、今年1月まで公募、1月に第一次審査、2月に第二次審査、3月にヒアリング。時間をかけてしっかりやってきた。

(松尾)それだけの時間をかけて準備して認可保育園を作っていることに敬意を表したい。本来そのくらい丁寧な手順をふみ、また、住民の中にいろんな苦情、注文、意見の食い違いなど大変ご苦労があったのをひとつひとつ丁寧に、何十回も訪問したという話もきいた。そういうやり方をなぜ今度の11か所についてはとれないのか、非常に不思議。

【久我山5丁目計画】

(松尾)久我山5丁目計画について。いつごろからこのプランは温めてきたのか。

(中村保育施設整備推進担当課長)この計画は3年ほど前から進めている。

(高沢保育施設担当課長)持ち込み方式(提案型)なので、整った段階で発表する。この間もやりとりをしてきている。

(松尾)久我山5丁目計画は、来春開所を目途としていると思うが、地域の方も「いつできるんだろう」と言っているが、所有者が難色を示しているのか。順調に進んでいるのかどうか。来春開所は大丈夫か。

(高沢保育施設担当課長)ここに限らず公募はしているので、最終的には申請ができるのかなと考えている。

(松尾)いまひとつ歯切れが悪いご答弁だが、1つでもできないと泣く人が出るという話なので、大丈夫なのかなと思う。

【公園の代替地について】

(松尾)都市公園法16条の例外規定として「代わるべき都市公園がある場合」というのがあるが、そういった場合の代わるべき都市公園の条件、時期的なものなどは。

(土肥野みどり公園課長)都市公園の保存規定の中で、都市計画事業に供するとき、公益上特別の事情のあるとき、代替が確保できるとき、また借地公園で所有者に変換するときは廃止ができる。代替の公園については、地域はその地域、また面積は同等のものととらえている。

(松尾)普通に考えて公園を廃止してはいけないとなっている以上、同等の面積、近隣が最低限の条件。住民が区長と話し合った際、代替地についての話し合いで納得されているか。陳情者の補足説明の中では、当初、利用状況また代替地を用意するということがあってのことと聞いていたが、今のところ保障されていない、探しているという返事しかいただけない。また、校庭開放が代替になるかについては、土日はサッカーや野球のチームが使っていて難しい、その脇で小さい子がジャングルジムなど使うことはできるが危険性を伴う、とうかがった。また、平日も5時までしかできない、その後の時間は遊べないということを区長に申し上げたところ「校庭開放はいらないのか」と一喝されたということだった。「公園で遊ばせたいのは親のほうでしょう」という発言もあったとのこと。住民の思いとはちょっと違う区長の発言だと思う。
 こうした話から、地域住民と区長の間の合意は成っていない。理解をしていただいたというが、こういうのは理解していただいたとは言わないと思うが。

(中村保育施設整備推進担当課長)区としては代替場所を提示している状況。一定のご理解をいただいたと考える。

(松尾)これが一定のご理解と思うのなら、この仕事の進め方を一から考えてほしい。全然理解にたどりついていない。こんなことで理解いただいたなどといって進めるならとんでもないこと。

【公園の廃止手続き】

(松尾)公園の廃止理由として「公益上の必要」という場合には、公聴会や有識者の意見聴取が好ましいという国交省の解説がある。また、判例でも、たとえばこの場合だと公園と保育園の利益を天秤にかけてどっちが重いかというときに、待機児が大変だから保育園が優先ということだけでは不十分で、公益性の判定は個別的、具体的でなくてはならないという判例がある。これは国交省が教えてくれた。今回の説明会などで聞いている範囲では、比較衡量という点で不十分ではないかと思うが。

(土肥野みどり公園課長)公聴会等が好ましいというのは逐条解説にあるが、国交省の運用指針には規定がない。今回は説明会で意見をうかがっている。公園が対象になっていることについては、区長記者会見で発表、説明会で意見を聞いている。

(松尾)個別具体的にというデータが示されていない。公園の利用状況がどうなのか、防災面、地域の交流、町会の活動、みどり、こうしたことのすべてが、久我山東原公園、私の近所の向井公園、井草区民センターの原っぱ広場、そういったところできちんと計量されて比較衡量されているとは思えない。住民の心配にこたえる意味でもきちんとしたデータを示して、説得性のある議論をしてほしい。

(渡邊保育課長)待機児560名とは最大で560名という見込み。そのなかで久我山高井戸地区については、560名のなかで80名近い待機児童が発生する可能性が高い。それに伴って認可保育所を整備する。

【区長も足を運んで】

(松尾)区長自ら現地に赴いて住民と話してほしいという他委員の質問に対し、区長、副区長も場合によっては足を運ぶという答弁があった。私の近隣にもそういう地域があり、区長のご自宅の近所でもある。地域の人たちは区長の話を聞きたいといっているので、ぜひ足を運んでいただきたい。

【公園廃止の悪しき前例に】

(松尾)これまでに公園を廃止した例があるかと本会議できいたところ、杉並区では阿佐谷南児童遊園を廃止した例があるときいた。これも様々な意見があるなか、区議会の議決を経て廃止したもの。他区の例で公園を廃止した例があるか。

(土肥野みどり公園課長)中野区であったかと思うが、そこは代替地が確保できていたと認識している。

(松尾)それは「公益上の理由」ではなく「代替地が確保できる」場合となる。文京区の礫川公園はもともと仮設だったものを待機児童のために臨時に設置しており、時限的に3年間。公園の廃止には至っていない。それから、久我山の説明会で住民の方の発言があったが、渋谷では上原公園というところを廃止しようとして、予算は通ったが、住民の意見をうけてとりやめになったケースがあるときいた。それほど、公園を転用するにあたっては、どの自治体も厳しい規制をかけていると思う。ところが、今回、この久我山以外も3か所、また井草区民センターの緑地も対象。杉並区のやりかたは非常に乱暴。杉並区がこれをいっきに進めれば、全国、都内にむけて悪しき前例になる。「杉並区がやったんだからうちも」となって、そこの住民から杉並区が恨まれたり、ということにもなりかねないと心配している。

(中村保育施設整備推進担当課長)区としては意見を重く受け止めている。そんな中でも待機児童を解消することも求められている。これに対しても応えていかねばならない。お互いが譲り合うという精神で理解いただけるよう、丁寧に話し合い、説明を続けていきたい。

(松尾)答弁がずれていると思うが、杉並区が今年これを実施すると悪しき前例をつくってしまうということについて、行政はきわめて自制的であるべき。全国に対して悪い前例をつくっちゃいけない。杉並区の行政として恥ずかしいことだと思いますよ。いかがですか。

(中村保育施設整備推進担当課長)区としてはなんとかして待機児童解消したいので、他区に対してもそのように説明していきたい。

(松尾)23区担当課長会でどんな話をしているか知らないが、そういう話はご理解いただけないのではないかと思う。

【国家戦略特区で公園利用を】

(松尾)小さい公園だとこの特区は使えないが、今回の久我山には大きなグラウンドがたくさんある。公園の予定地になっているかと思うが、都有地、また私有地もあると思う。そういうところに整備すれば、広い公園の一部につくるということで、それほど住民の反発もないと思うが。

(高沢保育施設担当課長)公園をつくるにあたっては公費の入っている公園もある。特区申請をして時間をかければ可能なところはある。

(松尾)ぜひそちらを進めてほしい。世田谷区に電話できいたところ、手続き自体は1年半くらいでできるということだった。まして区有地の公園であれば、持ち主との交渉がないので、もっと早く1年くらいでできるのではないかと考えるが。今回のような小さい公園を丸ごとつぶすようなやりかたではなく、大きな公園の一部につくる特区の制度を使っていただければ、来年4月は無理でも来年度中にできるのではないか。

(高沢保育施設担当課長)時間をかけて2、3年かければできるので、中長期的にはそういったことも計画していきたい。

(松尾)だから、2、3年かけなくてもできるんじゃないですか?

(高沢保育施設担当課長)世田谷区の実務担当に聞いたが1年とか1年半でできるという話はなかった。

(松尾)違う人に聞いたんですかね。直接担当者に電話して聞いたんですが。あちらは制度つくるところからやっているから、国が認めるまでに時間がかかった。でも、いま制度がすでにできている。

【廃止された区の施設の利用】

(松尾)科学館はいま堅牢な建物が残っているなか、ここにつくれば、かなりの数の保育室が確保できるのではないか。若杉小学校の話も出た。そういった既存の建物を活用しながら、保育室、緊急事態とおっしゃってるんだから、建物を若干整備すればできると思う。そしたら、今年度からだって入れる。今、待機の人がいるんだから、助かるじゃないですか。どうしてもこの11か所というが、ほかにも区の廃止された施設などもあるので他の手段を考えてほしい。

(中村保育施設整備推進担当課長)久我山エリアではない話になっているが、答弁する。科学館については、夏ごろ解体が始まって、年度末には解体が終了する。特養についても区は喫緊の課題としており、計画が進んでいるので、科学館に保育室は難しい。また旧若杉小は1階2階部分を保育室として使っている。また、日大幼稚園に平成30年まで貸している。そこにさらに認可を設けるのはスペース的に難しい。広いグラウンドもあるが震災救援所の機能も残っているので、認可の整備は困難。

(松尾)地域が違う、というが、地域が違う話はこちらがしている。久我山地域、下井草地域に計画が偏っていて、ここにそんなに需要があるのか、という話をしてきた。それで「そうじゃなく、保育園は学区がなくいろんな地域からも来るんです」とそちらがいうから、他の地域でも使えるところがあれば活用してくださいという話をしている。その点もう少し真剣に考えてほしい。区の南部でいえば、廃校になった永福南小や新泉小のことも言った。ここの一部を保育園、保育室として使うことは不可能ではないと考える。

(有坂保健福祉部長)このかんも区の施設はすべて総点検というか、全庁から施設をあげてもらった結果、久我山では久我山職員寮で保育園の機能を拡充するようになっている。

(松尾)廃止になった施設に1年間なり半年間なり、一時的に保育室なり、認可外になってしまうが設けることで我慢してもらって、もう少し先に、時間をかけて地元の合意を得られるような場所に、しっかりと建てていただくという時間稼ぎをすればいいんじゃないかと思う。だから、科学館とか若杉小とか言っているわけです。

(有坂保健福祉部長)29年4月に間に合わせるために、認可を軸として考えた。利用できる土地、施設を総点検したうえでお示ししている計画。

【規模縮小は】

(松尾)提案型のなかの認可保育園102名となっているが、それぞれの定員は。

(中村保育施設整備推進担当課長)60名と42名の2施設。

(松尾)公園を使って作るところは80、100、120となっている。この間の説明では、大きいところじゃないと事業者がきてくれないという説明だったと思う。60、42が可能だということ。そうしたら、11か所指定されているところを必ずしも100、120じゃなくサイズダウンすることもできるんじゃないか。

(高沢保育施設担当課長)更地については1000平米を目途にとの条件で提示、また物件についても400平米以上との条件。公園については100名規模の認可を整備する。

【見切り発車しないこと】

(松尾)最後に、いまこうやって東原公園の関係者の方々、井草のほうでも井草地域区民センター、向井公園、ほかにも反対している人がいらっしゃる。今後とも区が粘り強い話し合いを続けてほしい。決して見切り発車で、公募を始めるとか公園の解体を始めることはやってほしくない。これをやると、住民、区民と役所の間の信頼関係がずたずたになってしまう。見切り発車だけはやめてほしい。これは最低限の礼儀なので要望する。

(有坂保健福祉部長)560を超える待機児を目の前にしてやるべきことはやる。計画についてもご理解を得られるようにしたい。この陳情のような場合について代替地、これが私ども一番言われていることなので、そこについてこたえていきたい。

(松尾)確答をいただきたい。話し合いを続けると受け取ったが、そういう話し合いが続いているときに見切り発車で、事業を始める、公園の解体とか、事業者の公募を始めるということはしないですよね、と申し上げた。

(有坂保健福祉部長)これは説明会でも申し上げたとおり、区長が最終的に申し上げたとおり、計画は進めさせていただく。

※この委員会の終了直後、区は事業者公募をホームページ上に掲載しました。

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