あんさんぶる荻窪の移転先工事契約に反対しました
●2016-06-17
2016年6月16日杉並区議会最終日、あんさんぶる荻窪の財産交換による移転先(天沼三丁目複合施設)の工事契約の採決があり、私は反対意見を述べました。要旨は(1)築12年しかたっていないあんさんぶる荻窪を引っ越す、しかも引っ越し先を33億円もかけて建築することは浪費。(2)税務署側にとっても、現地新築と経費は変わらずメリットはない。荻窪税務署は耐震基準を満たしておらず危険な状態が続いている。(3)特養建設のためにあんさんぶるを交換する必要はない。
(以下は原稿ですので、実際の発言とは異なるところがあります)
議案第54号(仮称杉並区立天沼三丁目複合施設複合施設棟建設建築工事の請負契約の締結について)について意見をのべます。
本議案は、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署等用地の財産交換のため、国家公務員宿舎跡地に、福祉事務所など、あんさんぶる荻窪の諸機能を移転する施設の工事契約です。
あんさんぶる荻窪の財産交換については、区議会でもこれまで多くの議論が行われて来ましたが、やはりこの計画は、非常に無理があり、また道理がないことを指摘せざるをえません。
第一に、本議案の複合棟は、これまでの区議会のやりとりの中で明らかになったように、あんさんぶる荻窪の児童館以外の諸室の移転先となるものであって、施設としての新たな意義が見いだせないこと。あんさんぶる荻窪を現状のまま存続させることが区財政にとって最も経済的であることです。
あんさんぶる荻窪は30億円をかけて建設されてからまだ12年しかたっておらず、にもかかわらず、はやくも新築して移転するため33億円の工費を費やすことは区財政の浪費以外のなにものでもありません。
「地域包括ケアのバックアップ機能」を備えるといいますが、現在でもあんさんぶる荻窪の福祉事務所、社会福祉協議会、成年後見センターなどの機能、また区役所本庁舎の介護関係の部署が十分役割を果たしているところ、それらを統合するのかと思いきや、本庁舎の機能を移転するわけでもなく、単なるあんさんぶるの受け皿にすぎません。そもそも、特養という施設サービスと在宅サービスという異種の拠点が併設されることの意義は小さく、その点からも、当該施設の建設の大義はありません。
あんさんぶる荻窪は移転の必要はなく、税務署移転のために、あえて新築して区民の財産を浪費することは認められません。
第二に、財産交換を区長が提案したことから、荻窪税務署は改築ではなく移転となり、区側は、そのことによる国のメリットも主張しますが、国側にはむしろデメリットといってよく、なによりも、区民の安全という点から大きな問題をかかえていることです。
荻窪税務署の2011年度建てかえを区長がストップした時点で、荻窪税務署の改築費用は約11億円と積算されていました。今回、あんさんぶる荻窪を廃止して税務署が移転してくる際に、国の担当者によれば、あんさんぶる荻窪は全面ガラス窓やラウンドの設計、吹き抜けの体育室など事務室には不適、かつ膨大な書庫を設置するための構造的な補強が必要とのことです。現在の財務省の積算では5億円あまりとなっている改修費用はこれらの費用を見込んでいないので、現地新築と同額程度になる可能性もあります。経済的なメリットがほとんどありません。それならば、わざわざ中古の建物を改修するのでなく、現地に新築したほうが税務署のメリットが大きいことは自明です。
駅前に移転することについても、税務署は現在地で支障なく業務しており、駅前である必要はないこと、また国の側から駅前を要求したことはないとも、確認しています。
問題は、こうして建て替えがのびのびになっている間も、耐震強度に問題があると指摘され、すでに6年も前に建てかえが必要と判断された税務署の建物で、いまだに業務が継続され、区民がリスクにさらされていることです。
第三に、区は財産交換の理由を特養建設のためと主張していますが、いまのべたように税務署が現地で建て替え、残りの土地を区が取得するか国から賃貸すれば、あんさんぶる荻窪という大きな不動産を提供し、それに加えて今回の33億円の施設を建てるという膨大な資産を費やすよりもずっと経済的だということです。
区側は、こうしたスキームは実施できないと強弁してきましたが、私や他の議員が国の担当者と直接面談して確認したように、区が考え方を変えれば、国は検討するとのことです。こうした指摘をまるで虚偽であるかのように述べる区側や一部の議員の発言がこのかんありましたが、大変遺憾です。最小の経費で最大の効果という地方自治体の使命にもとづき、事実を謙虚に検討すべきと指摘します。
以上、膨大な区民の財産、また国の財産を無駄に費消する建築工事にかかわる本議案には反対いたします。
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