松尾ゆり
わくわくの日々

公園の保育園転用など(保健福祉委員会)

●2016-09-19

 2016年9月16日保健福祉委員会では、保育園に関連する報告がいくつもあり、驚くような答弁もいろいろ出ました。
・向井公園にできる保育園の運営事業者は昨年職員の1600人中300人が離職している。
・板橋区の認可保育園で死亡事故があったが、この事業者が杉並区で運営している保育施設を保育課が知らなかった。
・保育緊急対策本部長である区長は頻繁に本部に顔を出し、直々に指示を出している。土日もメールで指示、など。
 以下は私の質疑の中で、公園の保育園転用に係わる発言の要旨です。

● 見切り発車に抗議

(松尾)保育園の運営事業者の選定について。6月の委員会では「地元が合意をしていないのに見切り発車でやることだけはやめてほしい」と強く申し上げたが、その日の夕方に募集が公表された。このことは大変遺憾であり強く抗議しておきたい。

 その後、事業者が決まったことを知ったが、今日に至るまで委員会で審議する時間がなかった。その間に、公園が解体、更地化されて、9月には工事が始まってしまっている。ここで点数がどうの、選定の経過がどうのと言っても大変空しい。こうしたタイミングについて、これは議会の対応でもあるが、考えていただきたい。

● 現地視察せずに選定

(松尾)さきほど(上井草保育園の民営化についての答弁で)現地を視察して実績を確認するということだったが、今回のプロポーザルに関しては現地視察をしていない。これまで区立の委託、指定管理などの際に既存園を視察、評価が逆転したこともあったと思う。現地を見ていないとすれば、なぜか。

(田部井子ども家庭担当部長)上井草は区立保育園で園児がそのまま移行する。これまでも民営化は慎重に慎重を期すということでそういう形をとってきた。その他の場合は、書類審査、ヒアリングなどで選んでいる。

(松尾)新規に開園される園で、しかも新しい事業者もいる。書類には理念を書いていても、実際は現場を見ないとわからない。百聞は一見に如かずで、現場にいくとわかることはたくさんある。保育の質を確保するためにをどうやって、きちんと現状を見た上で審査していただくことが必要なのではないかと思う。

● 選定したのは誰かわからない

(松尾)選定委員会が誰なのかわからない。今後もこのメンバーで選定を行うので公表できないということは理解するが、これだけの数を選定した人が誰なのかわからないという状態で事業が始まっていく。メンバーが最後まで公表されないと、透明性に問題が出てきてしまう。どう考えているか。

(高沢保育施設担当課長)平成26年に落ちた事業者からいやがらせがあり、委員に二度と杉並区の仕事は受けられないと言われた。選定委員会に支障が出てくるようなことは避けたい。東京都の児童福祉審議会委員についても非公開。委員会は27年7月に設置し、告示した。メンバーについては安定した評価を得るために継続が大事。

(松尾)過去のトラブル、配慮の必要性はわかるが、公開性、透明性も必要。一定期間続けてたら、交代することも公平性の観点から必要では。今後は考えていただきたい。

● すべて1社応募で競争性に問題

(松尾)公募はすべて1社応募で決まっている。競争性がないとの指摘もある。ある事業者は決定の以前から井荻で人を募集していた。これはどういうことなのか。端から決まっていたのではないか。

 またいくつかの業者は、認可保育園の実績があると書かれていても去年からとか、はなはだしいのは今年初めて認可をやったところもある(下記参照)。実績をどう評価されているのか。

(中村保育施設整備推進担当課長)今回多くの事業者から問い合わせいただいた。結果としてそれぞれ1社になった。高井戸みどり公園については2社から申し込みがあったが辞退となった。また、6月(注:実際は5月)から職員募集していた件は、先々を見据えて募集をかけた、また、その地域の人材を掘り起こすという意味で募集をかけたというところもあったのかという認識。

(高沢保育施設担当課長)1社だけ(今年から認可を始めたところが)ある。親会社が認可保育園のプランニングの会社。そういう意味での認可の実績がある。その他は区内で実績のあるところ、また複数の認可保育園をやっているところ。適切な事業者を選定したと考えている。

(松尾)その1社とは別に、去年から認可に参入したところもある。認可外の経験はあるのかもしれないが、認可保育園の運営実績としては1年余りというのは短い。

 プランニングをやっているという会社は、今回の一覧の中にある他の2か所の保育園の設計もしている。この会社が声をかけてくださって呼んできてくれたのか。ある会社の方が、この会社のいうことを聞かないとお仕事が来ないので、と言っていたのを聞いた人もいる。そういった事前の調整とか、きれいにきまった中には、事前の調整があったのではと想像させてしまうものがあるが、そのへんは大丈夫か。

(中村保育施設整備推進担当課長)事前の調整などは一切ない。

● 事業者と住民の話し合いを区が妨害

(松尾)(他の委員の質問への答弁で)一方的に指示を出すことはないとおっしゃったが、この夏何をしてきたか振り返っていただきたい。8月の初めに近隣の方と事業者と区と話し合いをしたときに、区側は課長はじめ、いきなり席を立った。もう話し合いはしませんといって。事業者が「私たちは住民と話し合いをする」というから、今後は事業者さんと話し合いましょう、といってその時は終わった。次の週に事業者が話し合いを持つことになったが、突然その日に事業者が区役所に呼びつけられ、説明会をやめろと言われ、説明が聞きたければ区役所でやる、住民は今から来いという電話が入った。事業者ががんばって自分たちは行く、と言ってくれたから話し合いができたが、そういうことが起きている。そういう指示を出しましたよね、一方的に。

 それと、同じ時、事業者は、設計変更も考えられるので、その案も持ってきてみなさんにお見せしますと言っていた。そうしたら保育課から、代替案は出すな、最初の案以外は見せるなと指示があったので出せませんと言ってきた。これは一方的な指示じゃないんですか。

(中村保育施設整備推進担当課長)多少の誤解があろうかと思う。8月初めの話だが、個別に向井公園の隣接の方と話をしたいと考え、その際、直接的に建設に影響を受ける方々のみとお話ししたいとセッティングしたが、実際にはそれ以外の方々も来た。話し合いの状況としては、ヤジがたくさん飛ぶような状況。区としても運営事業者としてもスムーズに話し合いができないと考え、その後の話し合いについては区役所のほうに個別に隣接の方のみ来てもらうと考えた。向井公園以外の施設についても基本的には区役所に来ていただく。区役所は時間的制限もない。設計の変更の案を見せるな、という指示ことについては、区役所としては一切していない。

(松尾)それこそ、理解が全然違うと思う。まず、8月6日までに個別に説明し、そののち工事に入りますと言った。ところが6日に約束していた人は、お昼に電話がかかってきてドタキャンされた。結局、説明がないままに翌週工事に入ったんですよ。そののちに区役所が来て個別に説明するというが、地元の人たちは個別だとわからないこともあるし、ひとりだとうまくいえないこともあるから、いっしょに説明を受けたいとおっしゃった。また「直接影響を受ける方々」とおっしゃるが、工事をやればトラックが通るところもみな影響を受ける。それからもっといえば、公園がなくなったことによって影響を受けている。その人たちも参加してほしいと、近隣の人たちが言ったんですよ。だから皆といっしょに話し合いをした。

 それから、大変失礼な言いようだと思うが、ヤジがとんだとかなんとか言っているが、私が見たところ、代表者の方が淡々と質問されていた。それに対しての誠意ある回答が得られなくて堂々巡りの印象を私は受けた。

 次に、事業者と話し合いをすることになったとき事業者を止めたのは区役所側。はっきり言って課長ですよね。いま、運営事業者もそのように考えたと言ったが、運営事業者は前の日からこの場所でということを近隣の方に約束していた。なぜ区役所で個別にやる話に変わるのか。区役所が指示出したからだ。事業者がそう言っている。それから、設計について出すのを止めた覚えはないと言ったが、事業者がウソをついたということか。

(中村保育施設整備推進担当課長)決して事業者がウソをついたということではない。事業者とは何回も打ち合わせしながら進めている。説明会で示した設計案が、近隣への音の配慮、北側の下井草保育園の日照など総合的に環境面で、これがベストの案だと考えたので、その案でいかせていただきたいと説明をした。

(松尾)設計図に関しては事業者がはっきり区役所に止められたと言った。近隣の方たちは、できるだけいい形で、できれば設計変更してもらって、園庭利用だとかで、区民側にも開放してもらえたらと考えて、事業者と話し合いたいと考え、事業者も別の案を持っていると、聞いたところによると構造計算までしたと言っていた。それを止めたのは区役所。

● 民間保育園の指導監査

(松尾)板橋区の死亡事故について、杉並区内のどこで保育園をやっている事業者かが把握できていないとか、危機感がない。都の指導監査のもとに認可外保育園、認証保育園はあるということだが、指導監査、どのくらいの頻度でやっているか。

(渡辺保育課長)杉並区については都から通告があったのは5園程度。

(松尾)この間新聞に出ていたので、ご覧になったと思うが、都の認可外保育園の監査は20数%しかできていないという数字が出ている。ある研修会で都の担当者の話を聞いた。2人のチームで9チームで都内1800か所の監査をやっている。よほど悪質と思われるようなところを重点的にやる以外は何年に一度しかできない状態。だからこそこうした重篤な事故が起きてしまう。都の監査なんて全然あてにならない。先ほど指導係の人数もお聞きしたが、こうしたところを強化して、今後ますます増えていく保育園の安全を確保していただきたい。

(有坂保健福祉部長)当然、これから保育園が増えていくので、指導監査の部門は強化していくべきと考える。私どもも力をつけて適切な運営をしていきたいと考える。

● 最後に

(松尾)最後になるが、地域と事業者の話し合いに関して、近隣と事業者と相互の話し合いに関しては、当事者の意思を尊重すべき。近隣の方々があれだけ強い気持ちで公園を守りたいと言っていたのに事業が進んでしまっている。今後できる園と地域の関係をどう作っていくか非常に難しい微妙な課題がある。区は見守っていく、大変なことがあれば手を貸してあげるという形にしていただきたい。区が主導してあなたはこれをやっちゃいけないとか、大勢で集まっちゃだめだとか、一軒一軒しかだめだとかではなく、当事者がこうしたい、という形で進めるようにやってほしい。

▲ページの上に

わくわくの日々

▲ページの上に