松尾ゆり
わくわくの日々

阿佐ヶ谷「北東地区のまちづくり」について(2019年2月18日一般質問)

●2019-2-18

2019年2月18日、杉並区議会定例会において一般質問を行いました。質問項目は、
1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

2.児童館・学童クラブについて

です。とりいそぎ、発言原稿を掲載します。(実際の発言は原稿と異なる部分があります。)

1.阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて

 一般質問をいたします。第一に、阿佐ヶ谷駅北東地区のまちづくりについて質問します。

<区民に知らされない「意見募集」>

 現在、杉並区は「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画」についての意見募集を行っています。しかし区民のほとんどはそのことを知りません。なぜなら「広報すぎなみ」には告知がなく、区のホームページトップの「区からのお知らせ」には「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画案について」と書かれているだけです。そこから意見募集を読み取るのは不可能です。

 また1月28日には「まちづくり報告会」、31日には「オープンハウス」が開催されました。25日にはこの2つの会合の案内が、珍しく「区からのお知らせ」に掲載されましたが、28日当日になって、何があったのか知りませんが、この告知が忽然と消えていました。

 あらためて、阿佐ヶ谷の説明会等の開催、および意見募集については「広報すぎなみ」及び区のホームページで区民全体に告知し、ホームページの記載も「意見募集」が行われていることが明確にわかるように書き換えるべきと考えますがいかがでしょうか。うかがいます。(Q1-1)

<「意見交換会」は名ばかり。「公聴会」を求める>

 また、これまでの「まちづくり意見交換会」は案内を地権者、居住者等ほんの一部にしか配布しておらず、いつも10人程度の参加しかありません。しかも、「意見交換」とは名ばかり、ほとんどの時間は説明を聞く会です。これでは区民の意見を十分に聞いたとはいえません。

 都市計画法16条には都市計画に係る公聴会開催の規定があります。「都市計画運用指針」ではこの条文が「縦覧及び意見書の提出とは別に、都市計画の案の作成の段階でも住民の意見をできるだけ反映させようという趣旨」であり「住民の公開の場での意見陳述の機会を確保するという趣旨であることに留意する必要がある」と説明しています。今回は杉並区の中でも学校、病院、森を含む駅前の最も公共的なエリアの地区計画です。地権者だけが納得すればいいというような話ではありえません。広く区民に諮って意見を聞く「公聴会」を開催すべきと考えますがいかがか。所見をうかがいます。(Q1-2)

<具体的な内容は隠されて>

 さてこのたび公表された計画案を読みますと、これまで「意見交換会」で区の担当者とコンサルが詳しく説明してきた具体的な規制数値等が何も書かれていません。

 緑化率、高さ制限、容積率などの数値は、この地区計画に対する、賛否を含めた判断をする際の最も重要なファクターです。例えば、けやき屋敷のみどりがどれくらい保存されるのか。50%なのか、30%なのか、はたまた10%なのかで判断は変わってきます。

 建物の規模感もわかりません。「意見交換会」では何度も地域の方から「河北病院はどのくらいの高さ、大きさになるのか。ヘリポートはできるのか。入口はどちらになるのか」などの質問がありましたが答えはなく、「高さ40mのビル」という話が出てきて初めて、だいたい10階建て、森の高さをはるかに超すビルが建つ、ということがわかったのです。

<河北病院は10階建て、杉一跡地は60mの高層ビル街に>

 さらに、杉一小跡地です。今回の計画案には「一体的な街区として土地利用の見直しを行う」と書かれています。これだけでは何のことやらわかりませんが、コンサルの説明では「中杉通り側は斜線制限を緩和、高さは60mまで可」です。

 しかもよく見ると「小学校の跡地『等』を活用」と書かれていて、地図上では杉一だけの話ではなく西友、三菱銀行も含むブロック全体の計画になっています。つまり、中杉通り東側のこの3棟の建物を「一体的な街区として」再開発し、60mのビルが並ぶ計画ということです。しかし、公表された計画案だけではここまで読み取れません。そこには「60m」という数字が欠けているからです。

 すでに意見募集は始まっていますが、今挙げたような数値はこれからでも公表すべきと考えますがいかがか。報告会で配布された「まちづくりルールのイメージ、意見交換会での主な提案内容等」という資料もあり、まずはこれをサイト上に公開することです。

<批判的な意見は削除されている>

 また、意見募集の資料には「意見交換会で出た主な意見」が書かれていますが、そこには「60mの高さには反対」とか「みどりを『できるだけ守る』というだけでは弱いのでは」といった発言は載っていません。批判的な意見は消されています。疑問を呈する声、反対の声も率直に公開すべきです。

 以上、意見募集に際しての情報提供のありかたは極めて不十分です。公正な情報提供を求めますがいかがか、見解を伺います。(Q1-3)

<「道路基盤」「法規制」が不都合なのは誰か>

次に計画案の「まちづくりの課題4 更新時期を迎えた複数の大規模建築物等」についてうかがいます。本文には「道路基盤や法規制により建物の機能更新が難しく」とありますが、「道路基盤」「法規制」とは何か伺います。「道路基盤」は中杉通りに面した建物に関しては問題があるとは思えないので、これは河北病院のことだと思われます。

 河北病院、地主さん等で構成する民間団体「阿佐ヶ谷駅北東地区を考える会」が2017年に区に提出した報告書には、病院の建て替えのためには、東京都建築安全条例の道路幅員がネック、また、区道つけかえをすれば、杉一馬橋公園通りの9mへの拡幅が必須で、まだ新しい河北の分院を壊さなければならないことが課題と書かれていました。また、「法規制」についていうと、以前にも指摘したように、河北病院がめざす現在の3倍程度の床面積が、現在の容積率および建築規制では実現できない。要は病院の都合という話です。まちづくりの課題ではありません。

 また、「適正な土地利用が行われていない」とも書かれていますが、これは例えばどういった状況を指したものでしょうか。杉一やけやき屋敷で容積率が十分消化されていないというようなことを言っているのだとすれば、これも環境を守るという点から疑問です。以上説明を求めます。(Q1-4)

<区議会選挙の最中に計画を認可?>

 11月に新たに交わされた三者の協定書にはスケジュールの線表がついています。これによると、今年5月には土地区画整理事業の施行認可がおりる予定になっています。ところで今年4月は区議会の改選があり、私たち区議会議員の任期は4月末で切れます。新生議会が機能するのは5月も末になってからのことです。まさか4年に一度しかない、区議会が実質止まってしまうタイミングをとらえて、まちのあり方を根底から変えてしまうような大問題について、区長認可を出そうとしているのでしょうか。

<地区計画よりも先行する区画整理事業>

 また、この線表を見ると、区画整理事業が施行認可されたのちに地区計画等の都市計画手続きが行われるように読めます。しかし、今回の計画は、単なる土地区画整理事業ではなく、公共の場所に緩和型の「街並み誘導型地区計画」を導入し、独自の建築規制を設けるものです。こうしたルールは土地区画整理事業に先立って公益の観点から審査されて設定されるのがスジですが、区は逆でとにかく区画整理事業ありきの日程のようです。

 そこで、伺いますが、土地区画整理事業の施行認可の時期、他方、地区計画の都市計画審議会での審議などのスケジュールはどのように想定されているのか。また、地区計画の規制については、高さや容積率の制限、敷地の最小面積、壁面後退、などを条例で定める必要があるものと考えますが、いかがか、お尋ねします。(Q1-5)

<阿佐谷北にオオタカが飛来!>

 次に、貴重な屋敷林の保全についてうかがいます。

 先日、阿佐ヶ谷北2丁目でオオタカが目撃されました。近所の方が写真をとったのがこれです。電線にとまりスズメを押さえつけて夢中で食べているところでした。(※写真は本会議録画配信またはこちらのサイトをご覧下さい。)

 場所はJR中央線の間近です。阿佐ヶ谷にタカが飛んでくるなんてすごいことです。けやき屋敷の森があってこそのことです。この森は守らなくてはなりません。

<個人まかせにせず、区の責任で森の保全を>

 以前にも指摘したように、区はけやき屋敷を、区内10か所しかない「杉並らしいみどりの保全地区」に選定しているのですから、個人まかせにせず、区の責任で現況を保全するのが原則と考えますが、いかがか。所見を求めます。

 昨年の決算特別委員会で紹介した「東京の自然の保護と回復に関する条例」の理念も、基本的に現況を保全するか、または移植となっています。しかし、今回の計画案では「可能な限り」「できるかぎり」などと書かれるにとどまっており、守られる保障がありません。

<緑化率25%にするのか。それで十分か>

「意見交換会」ではコンサルが「けやき屋敷を中心とする河北病院の用地については、緑化率を25%程度としたい」と説明してきました。25%が妥当かどうかはわかりませんが、具体的な数値を規定する必要があると考えますが、いかがか。

 ただし、条例で定めない限り、いくら高い緑化率の目標をかかげても、拘束力がありません。したがって、都市緑地法に規定された地区計画緑化率条例を制定すべきと考えますが、いかがか。所見を伺います。(Q1-6)

<緑地を地区施設として守るのか否か>

 さらに、意見交換会ではコンサルから「緑地を地区施設として設置する。地区施設というのは安易に改変できないものなので、緑地が必ず残せる」との提案がありました。ところが、この計画案にはこのことが明記されていません。

 同じ地区施設である道路については、たとえば「幅員9m」などとその数字まで具体的に書かれていることと比べ、消極的です。緑地を地区施設とすることについては計画化されるのでしょうか、されないのでしょうか。答弁を求めます。

<けやき屋敷南側の並木は伐採?>

 特に、けやき屋敷門前の砂利道沿いのけやきの木は、景観としても歴史的にも重要なものだと、意見交換会で何度も住民の方から意見が出されています。ところが、計画案の図をみると、この道をはさんで南側のけやきは保全される緑地から外れています。じっさい、現地では、大幅な剪定がなされ、けやきは丸太のようになってしまっています。これらの木は保全することなく切ってしまうのでしょうか、伺います。(Q1-7)

<土壌汚染は豊洲市場と同じ>

 この項の最後に、杉一小の移転が計画されている河北病院敷地の土壌汚染についてうかがいます。ただでさえ、病院用地は土壌汚染対策の対象とされます。まして河北病院は、昭和初年に創業された病院です。当時の環境基準、医療廃棄物管理は、全く野放しといっていい状況だっただろうと想像されます。

 以前にも指摘しましたが、仮に病院跡地の土壌を全面的に地下3mまで入れ替えることになれば7億円以上の費用がかかるということは、区自身が算定しています。仮に7億円かかることになったとき、果たして、河北病院がそれを全部背負って責任を果たしてくれるのでしょうか。

 ここで想起されるのが東京都の豊洲市場です。東京都は市場用地の汚染処理を東京ガスに請求することを放棄し、都の費用で処理してしまいました。この例を見るとき、河北病院跡地の汚染対策を、杉並区の費用でまかなうことがないとは言い切れません。

<肺がん見落とし事件で手のひら返し>

 さらに、河北病院については、昨年から区を大きく揺るがしている肺がん検診の見落とし問題があります。この問題の当初から病院の対応は非常に鈍く、かつ、区長も先日の記者会見で述べていたように、昨年末になって突然、病院側の見落としは問題なかったかのように主張し始めました。いわば杉並区としては手のひらを返されたわけです。その法人を、本当に阿佐ヶ谷再開発のパートナーとしてよいものでしょうか。

 区担当者の説明によれば、いまのところの計画では、河北病院の移転後、現在の建物を解体した後にはじめて土壌汚染の調査を行うとのことですが、そこまで進んでしまってから、法人側がまた手のひらを返したら小学校はいったいどうなってしまうのでしょう。

<南伊豆町の病院跡地、有害物質で計画がストップ>

 実際、杉並区政にとってはある意味身近なところで、病院跡地の汚染問題が起きています。

 他の議員からも指摘があった南伊豆町の旧湊病院跡地の汚染問題です。杉並区も協力して行うCCRC事業の予定地から、微量ながら有害物質が検出されたことで、CCRC構想は現在暗礁に乗り上げているとのことです。病院跡地の利用はこうしたリスクがあるということです。ましてこちらは小学校の用地です。

<計画認可以前に土壌汚染の確認を>

 では、リスクを回避するにはどうしたらよいか。まずは、土壌汚染の状況を、いまのうちに確認しておくことです。土地区画整理事業の施工認可の前に、病院に対して土壌汚染の調査を求め、その結果を公開して区民の判断をあおぐことが適切と考えますが、いかがか、所見を求めます。(Q1-8)

2.児童館・学童クラブについて

(1)児童館の再編について

 次に、児童館・学童クラブについて質問します。まず児童館の再編に関連してうかがいます。

<下井草児童館廃止後も小学生の使用を>

 先日、下井草児童館の廃止とプラザ転用の説明会が行われました。下井草地域では「ジャリ公園」とよばれて親しまれた向井公園が2016年に廃止され保育園に転用されましたが今回さらに、隣接する児童館が廃止され、また、来年春には、隣の学区の東原児童館も廃止される計画であり、この地域の子どもの居場所が次々に廃止されていくのは、何の罰なのでしょう。

 説明会では、何人もの保護者の方が「思い切り体を動かせる場所が減ってしまった。児童館の遊戯室は、これからも小学生に使わせてほしい」と発言されました。区の計画では小さな部屋を放課後の小中学生の場所とするようですが、今まで遊んでいた子どもが、遊戯室を使えなくなるのはかわいそうです。説明会でお話を聞いているとき、廊下のほうから、子どもの声で「3月まではここで遊べるんだよね」という話し声が聞こえました。じゃり公園も失った子どもたちに、再度こんなことを言わせるのは本当にむごいです。保護者の方々の声のとおり、遊戯室のタイムシェア利用はできないか、うかがいます。(Q2-1)

<子どもプラザ天沼で小学生は>

 下井草児童館は子ども子育てプラザに転用されますが、先日、プラザ天沼利用者のこんなエピソードを聞きました。休日、お父さんが1年生と就学前の2人の兄弟をつれてプラザ天沼に遊びにいったところ、お兄ちゃんだけが小学生の部屋に誘導された。弟はお父さんと楽しく遊んでいたが、お兄ちゃんはひとりでいなくてはならず、つまらないと訴えて、3人とも早々に帰って来ることになってしまったというのです。

 プラザ天沼ができたとき、見学させていただきましたが、入口にはたくさんの下駄箱があり、多数の小学生の来館を予定しているとのことでした。しかし、このような扱いが事実でえあれば、小学生は行かなくなるでしょう。

 そこで伺いますが、プラザ天沼の小学生の利用人数はどの程度か、また、この例のような運用は改めて、小学生ももっと自由に遊べるようにしていただきたいが、いかがか。見解を求めます。(Q2-2)

<東原児童館の廃止・再編>

 次に、東原児童館の再編に関して伺います。地域の方々から要望書が区に提出されました。その内容は、新しい地域コミュニティ施設について、区は住民とよく話し合ってほしいこと。東原児童館のよさを評価し、施設が転換されても、内容を継続してほしいこと。またそのための職員を配置してほしいこと。地域も行政と協力して活動したいのでサポートをお願いしたいこと。などです。

 幸い、区の主催により地コミにかんする意見交換会が開催されることになりました。すでに第1回が開かれ、私も傍聴させていただきました。杉九小の学区にかかわる5つの町会の会長さんやPTA会長さんなどがしっかりと意見を言って下さっている様子に安心しました。

<児童館の現状を知ってほしい>

 ただ、東原児童館の地元以外の4人の町会長さんは、全員口をそろえて「児童館のことを全く知らないので意見が言えない」と困っておられました。まず現状をお知らせしてから話し合いをするのが順序ではないでしょうか。この意見交換会の構成員の皆さんに対しては、現在の、東原児童館、阿佐ヶ谷北ゆうゆう館、杉九ゆうゆうハウスの利用実態、活動の様子、地域との関係をきちんとお知らせした上で、地域にとって有益な施設になるよう実のある議論をしていただきたいと期待しますが、いかがか、所見を求めます。(Q2-3)

<児童館の庭を「空き地」という職員>

 なお、この会議で、司会の地域課長が、東原児童館の庭のことを知らず「空き地があるんですか。それも活用して」と表現していたことには仰天しました。空き地なんぞありません。東原児童館には樹木に囲まれたお庭があり、これが特徴でもあります。つまり、課長自身が東原児童館を訪れたことがなく、庭の存在すら知らずに再編を議論しようとしているわけで、地域が必死になってお庭を含めた子どもの居場所を守ろうと知恵を絞っているのに無神経な発言で、大変失礼だと思いました。

 また、傍聴していたある方は、帰りがけに立ち寄ったコンビニで、この会議に出ていた職員どうしが、ゆうゆうハウスのことを「使われている施設だったんですね」と話しているのを目撃してびっくりしたそうです。ちなみに、ゆうゆうハウスは区の事務事業評価によれば29年度利用率が97.5%とほとんど常時満席で使われている施設です。認識不足にもほどがあるというものです。大切な地域施設の廃止が与える影響を軽々しく考えているのならきわめて問題と指摘します。

<乳幼児の居場所はだれが運営するのか>

 次に、地コミには乳幼児の居場所が確保されるとのことですが、児童館のゆうキッズでは職員さんが保護者の仲間づくりをサポートしてくれます。子育て相談にものってくれます。そういう職員がいなくてスペースだけあっても、いごこちのいい場所にはなりません。運営は誰が行うのか、伺います。(Q2-4)

(2)学童クラブの民間委託ガイドラインについて

 次に、学童クラブの民間委託ガイドラインについてうかがいます。

<区議会に事後報告は言語道断>

 昨年11月の保健福祉委員会に唐突に「民間委託ガイドラインの懇談会」についての報告が出されました。唐突だったばかりか、その報告の段階ですでに第一回懇談会が終わっていたのには驚きました。このような重要な事項について事後報告とは言語道断です。議会軽視としかいいようがありません。反省の弁を求めますが、いかがか。

<保護者へは全く告知なしに重大変更>

 議会への報告ですら事後なのですから、いわんや保護者へは全く周知されていません。ホームページの開催告知も当日付だったり、全く不十分であると考えますがいかがか、見解を求めます。(Q2-5)

<営利企業に突然、学童委託を開放>

 今回のガイドライン作成にあたり、区はこれまで社会福祉法人、NPOなど非営利法人に限っていた応募資格を、営利企業にまで拡大しました。

 しかし、学童クラブの委託を非営利企業に限定してきたのには理由があるはずです。2004年に最初の学童クラブの民営化が提案された時、保護者からは反対の声が強く上がりました。紆余曲折を経て委託が決まり、利用者への配慮も含め、営利企業への委託は行わないことが杉並区のルールとして確立してきたものです。当然、慎重に扱うべき問題です。

 ところが、保護者には知らせず、意見募集も行わない、しかも11月19日に始まった懇談会が1月12日には終結してしまう、年末年始もはさんでいるのに2ヶ月足らずで4回というとんでもないタイトなスケジュールだったことは、きわめて不当な扱いであると考えますがいかがか、所見を伺います。

<否定的な意見はここでも隠されて>

 さらにもっと不当なことは、営利企業に対する否定的な意見が懇談会の資料から消されていることです。

 私は第2回の懇談会を傍聴しました。そこでは第1回目に行われた視察の感想が述べられました。視察は社会福祉法人が運営する区内の学童クラブと株式会社が運営する他区の学童保育との2カ所を対象に行われたとのこと。その感想を委員の皆さんが述べたのですが、どの委員も「株式はプレゼンはカンペキだけど、実際の運営は違う」「社福は、人材不足の悩みなど打ち明けてくれ信頼できた」といった感想だったのが印象的でした。

<保育の理念がない株式会社>

 学識の委員からは「株式会社では、子どもをどう育てたいとかの理念がなく、とにかく仕事をとって資金をまわしていくというやり方のところも多い」という指摘もありました。株式会社と「区内で現在委託している社会福祉法人の運営」とでは明らかに差があるという意見が大半でした。

 ところが、こうした意見が次の第三回に配られた「まとめ」には一切掲載されていませんでした。少しでも否定的な意見はすべて消されていました。しかし、私は聞いていました。区はこれらの意見を掲載しないことで、議論をミスリードしていたと思いますが、いかがですか。所見を求めます。(Q2-6)

<委託先への支援が必要>

 懇談会で区担当者は、委託事業者に応募する法人が少ないので、要件を緩和する必要があるとしきりに主張しました。これについて、ある委員から「なぜ応募する法人が少ないのか、理由はわかりますか」という発言がありました。これは重要なポイントだったと思います。しかし、区側はこの質問に答えず、質問は黙殺されました。

 そこで改めて伺いますが、いったいなぜ応募する法人が少ないと考えていますか。区の見解を求めます。(Q2-7)

 私は学童クラブの委託自体に反対ですが、百歩譲って委託するとしても、できるだけ優良な法人を選定しないと、犠牲になるのは子どもたちです。

 実際、私もある法人に委託に応募しないかと尋ねたことがありますが、まじめな法人ほど、事業として採算がとれるのか、人材確保ができるのかなど不安が大きいようです。保育など児童福祉の事業に実績のある優良な事業者に応募してもらうためには、資金面を見直すこと、また、職員配置を厚くし、待遇をよくして、人材確保をやりやすくするなどのサポートが必要ではないかと思いますがいかがか、伺います。 保育の質は二の次とばかりに唐突に応募要件を緩和した区の方向性は全く逆です。(Q2-8)

<学童クラブが足りないならなぜ児童館をつぶすのか>

 今後、ますます学童クラブの需要は高まることが予想されます。あらためて、区は40館の児童館という資産の価値を再評価すべきです。児童館を学童保育に活用することは国も推奨しているところです。廃止せず、逆に活用することで、子どもたちの放課後を豊かに見守る方向に転換するよう求めて質問を終わります。

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